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第2章 幼なじみ
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王都に戻ってからの数年、私は侯爵令嬢としての務めを果たすことに徹した。
お茶会では微笑みを絶やさず、誰かの失敗をそっと庇い、意見が対立すれば優しく仲を取り持つ。
「まあ、アメリア嬢は頼もしいわ」
「やっぱり侯爵家のご令嬢ね」
そんな声に、私は可憐に微笑み返す。
王女殿下から「アメリア嬢がいてくれると安心するの」と言葉をもらうこともあった。
(……そう。なら、私は役目をきちんと果たせているのね)
侯爵令嬢として振る舞い、悪役令嬢として断罪されるための舞台を整える。感情など不要。務めを果たすこと、それがすべてだった。
だが――。
あの日。二度目の辺境伯領への滞在から、喧嘩別れのように終わってしまったあの日から。ユリウスからの手紙は一通も届かなくなった。
最初は、ただ忙しいのだと思った。けれど待てど暮らせど便りはなく、沈黙だけが続いた。私が彼を拒んだからだ。
あの瞳に「これ以上言わせてはいけない」と背を向けたのは、私自身だ。だから、もう戻らないのだと理解していた。
(……ああ、やっぱりこれで良かったんだ)
胸の奥で何度もそう呟いた。ユリウスは攻略対象。私と関われば不幸になる。ならば、私の方から遠ざけたのは正しい。
けれど、理性が何度そう言い聞かせても――夜、机の上に広がるのは、空白の便箋ばかりだった。
その支えが途絶えたことで、私はようやく悟った。
誰に何を言われても、笑顔を作っていれば良い。
紅茶の味も、菓子の甘さも、称賛の声も、何ひとつ感じなければ痛くもない。
(私は悪役令嬢。いずれ断罪されて、世界が救われるきっかけになる存在。……それでいいのよ)
そう言い聞かせながら、私は完璧な令嬢の仮面を深く被り直した。
そして――気づけば十五歳。学園入学の年齢を迎えた。
人々の目に映る私は、完璧な侯爵令嬢。
あと3年で処刑される。
もう少しで終われるのだと、学園への入学はこんな生活の終わりを示してくれる指標のように思えた。
お茶会では微笑みを絶やさず、誰かの失敗をそっと庇い、意見が対立すれば優しく仲を取り持つ。
「まあ、アメリア嬢は頼もしいわ」
「やっぱり侯爵家のご令嬢ね」
そんな声に、私は可憐に微笑み返す。
王女殿下から「アメリア嬢がいてくれると安心するの」と言葉をもらうこともあった。
(……そう。なら、私は役目をきちんと果たせているのね)
侯爵令嬢として振る舞い、悪役令嬢として断罪されるための舞台を整える。感情など不要。務めを果たすこと、それがすべてだった。
だが――。
あの日。二度目の辺境伯領への滞在から、喧嘩別れのように終わってしまったあの日から。ユリウスからの手紙は一通も届かなくなった。
最初は、ただ忙しいのだと思った。けれど待てど暮らせど便りはなく、沈黙だけが続いた。私が彼を拒んだからだ。
あの瞳に「これ以上言わせてはいけない」と背を向けたのは、私自身だ。だから、もう戻らないのだと理解していた。
(……ああ、やっぱりこれで良かったんだ)
胸の奥で何度もそう呟いた。ユリウスは攻略対象。私と関われば不幸になる。ならば、私の方から遠ざけたのは正しい。
けれど、理性が何度そう言い聞かせても――夜、机の上に広がるのは、空白の便箋ばかりだった。
その支えが途絶えたことで、私はようやく悟った。
誰に何を言われても、笑顔を作っていれば良い。
紅茶の味も、菓子の甘さも、称賛の声も、何ひとつ感じなければ痛くもない。
(私は悪役令嬢。いずれ断罪されて、世界が救われるきっかけになる存在。……それでいいのよ)
そう言い聞かせながら、私は完璧な令嬢の仮面を深く被り直した。
そして――気づけば十五歳。学園入学の年齢を迎えた。
人々の目に映る私は、完璧な侯爵令嬢。
あと3年で処刑される。
もう少しで終われるのだと、学園への入学はこんな生活の終わりを示してくれる指標のように思えた。
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