処刑を望んだ悪役令嬢ですが、幼なじみの騎士が手放してくれません

藤原遊

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第3章 学園入学

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学園生活が始まっても、私は心のどこかで三年後を見据えていた。

――断罪、そして処刑。

物語はそう進む。ならば、私が用意すべきは「最期」に向けた準備だ。

部屋に置くものは、最低限に減らしていった。
衣装も宝飾品も、必要最低限。華美なものを遠ざければ、もし断罪の場に引き出されても、惜しむ物は少なくなる。

(……これでいい。私の役目は、最期を迎えて世界を救うことだから)

そう思って、机の引き出しを開ける。
そこに収められている一本の小刀に、私は手を止めた。

銀の刃。柄にはグラシア辺境伯家の家紋と、鷹を象った紋様。
ユリウスが、あのとき「お守りだ」と言って渡してくれたもの。

「…………」

これだけは、どうすればいいのか分からなかった。
捨てることなど、とてもできない。けれど遺品として見つかれば、誤解を招くだろう。

「辺境伯家が侯爵令嬢に渡したもの」
――それはつまり、私が不義の子の証として扱われかねない。

辺境伯領で過ごしてみて、ルシアン様が不貞を働いたとはとても思えない、と私は既に理解していた。
実の父よりも親身になって、稽古に付き合ってくれたあの方は心底エリシア様に惚れていた。だから、噂は噂でしかないともう私もわかっている。

(……でも、困ったわね)

掌に重みを感じながら、苦笑が漏れる。
断罪される悪役令嬢の手元に、彼の“証”が残っているなんて。
あの真剣な瞳を思い出して、胸が痛んだ。

(こればかりは、どうしても整理できない……)

最期を迎える準備を整えるつもりが、机の引き出しの奥には、どうしても消せない思いが一つ残ったままだった。
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