処刑を望んだ悪役令嬢ですが、幼なじみの騎士が手放してくれません

藤原遊

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第5章 断罪の代わりに

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アメリアが熱に浮かされて呟いた「未来を見た」という言葉。
それは幻覚の戯言には聞こえなかった。

(……未来視、か)

稀に王族に現れるとされる血統魔法。
かつて歴史に名を残した王族の中にも、未来を垣間見た者がいたと記録が残っている。

アメリアは――母が王女。ならば、その力を持っていても不思議はない。

(だから、あんなにも……。未来を、見ていたのか……)

彼女の自暴自棄の理由が、腑に落ちた瞬間だった。
胸の奥がざらつき、怒りとも悲しみともつかぬ熱が込み上げる。

(ふざけるな……アメリアが死ぬ運命? そんなもの、俺は絶対に認めない)

ベッド脇で震える彼女の手を握りしめ、俺は声を絞り出した。

「アメリア……お前は死なせない。未来なんかに奪わせるものか」

だが、熱に浮かされて荒い呼吸は弱まらない。
俺は迷わず扉を開け、廊下に控えていた弟を呼び入れた。

「エリアス! 来てくれ!」

駆け込んできたエリアスは、アメリアの様子を見てすぐに額に手をかざした。
癒しと浄化の魔法が光となり、彼女の身体を包み込む。

しばらくして――。

アメリアの瞳がゆるりと開かれる。
頬に色が戻り、熱の気配が急速に引いていった。

エリアスは険しい顔のまま、小さく呟いた。

「……まさか、呪いだった?」

その言葉に、俺は奥歯を強く噛み締めた。舌打ちが自然に漏れる。

(やはり……魔族の仕業か……!)

怒りで胸が焼ける。だが今は――ただ。

「……無事でよかった」

そう言って、俺はアメリアの頭に手を伸ばした。
乱れた黒髪を、ゆっくりと撫でる。

熱に浮かされた彼女の瞳が、揺らぎながらこちらを見上げてきた。
安堵と、もう二度と手放さないという決意が胸を満たしていた。
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