毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝

文字の大きさ
135 / 158
第十六章 神ティアとアルマ

第百三十五話 歓迎会

しおりを挟む
金曜夜。
店長は店を閉めて、バイトメンバーと共に街の居酒屋に向かった。

「はぁ…歓迎会って緊張する…」
ティアは胸の前で手をぎゅっと握りしめる。

店内は和やかな雰囲気で、宴会用の個室を貸し切って、テーブルには料理や飲み物が並ぶ。

「では!私達の新しいメンバーとなったティアちゃんに、かんぱーい!」
店長クレスンの掛け声でグラスがぶつかる。

「か、乾杯です…!」
ティアは炭酸ジュースで控えめに応じる。

その瞬間――
同卓の男性陣の視線が、完全にティアに集中した。

「ティアちゃんってさ、セイントスター学園だよね?」
「今日も可愛いなぁ~」
「セイントスターの制服可愛いよな!」

全方向からティアに言葉が飛んでくる。
ティアはにっこり微笑みながら――内心、完全に逃げ腰。

(な、なにこれ…?
この圧…男性陣の視線が…、他の女性陣からの冷たい視線も気まずい…!)

アリサが猛スピードで救助に入る。
「はい!
男性陣落ち着いて。
ティアちゃん困ってるでしょ?」

「「「は、はい……」」」

アリサは強い。

しかし、そこへマイクが動いた。

「ティアちゃん、席こっち来ない?
落ち着いて話そ?」

「……あ、はい、では……(断りづらい…!)」
ティアは控えめに席を移動した。

だが、その瞬間。

アリサと店長の視線がマイクに突き刺さる。

『お前…調子に乗るなよ?』

それでもマイクは笑顔でティアに語りかける。

「ティアちゃんさ、学校終わってバイトしてるなんて偉いよね。」

「い、いえ……普通です……」

「いやいや、可愛い上に性格いいってさ、もう反則だよね。」

マイクが少し体を寄せてくると、ティアの背中に冷や汗が流れる。
(この距離…近い…!
周りの視線も…!)

その時

不意に、扉が開いた。

「ティアーっ!!遅れたーーー!!」
ミミィが勢いよく飛び込んできた。
「センターはどこかなー!?
アイドルの顔はここに座るのが基本でしょう!!」

「ちょっ…!?
ミミィ!
何しにきたの?」
ティアはそのままミミィに抱きしめられ、椅子ごと引き寄せられる。

「ふふふ、助けに来たよ…。」
ミミィが小さく呟く。

アーシャも続く。

「ティアは私たちのユニットのセンターですので。」
さらりと宣言。

どうやらティアが学園の休み時間に歓迎会に呼ばれていると話したのを覚えていて、ミミィ達は来店していて様子を見ていたようだ。

男性陣:
「「「センター…?」」」
「「「……アイドル……?」」」
そこに居た者達は驚いた顔でティアとミミィ、アーシャ達を見ていた。

ティアは小声でミミィに耳打ちした。

「た、助かった……本気で…。」

ミミィはドヤ顔で親指を立てる。

「任せなさい。
すぐそこで見ていてティアのピンチぽいから乱入させて貰ったわ!」

ティア、完全に救われた。

「君達はティアちゃんの同級生かな?」
店長のクレスンが笑顔でミミィの横に座った。

「はい!親友です!」
ミミィが元気よく笑顔を見せた。

「私達は同じクラス。」
アーシャも静かに話した。

「そうなんだ。
アイドル目指してるの?」
クレスンはミミィとティア、それにアーシャに目を向けると神妙に話し出す。

「私達は学園でアイドルユニットを結成したんです。
将来は3人でアイドルやれたら夢ですね。」
ミミィは店長に向かって身を乗り出して話す。

「て、店長。
すいません。
友達が乱入して。」
ティアは申し訳なさそうに苦笑いして見せた。

「いやいや、楽しければ大丈夫だよ。
お名前、聞いても良いかな?」
店長はミミィとアーシャを見て微笑んだ。

「あ、私はミミィです。
そして、こっちの無愛想な子がアーシャです。」

「ちょっと、ミミィ!
無愛想しゃないし!」
ミミィは賑やかに笑って、アーシャは不貞腐れている。

「私は店長のクレスンです。
今年35歳で妻子持ち。
それでね、もしアイドル目指してるなら。
私の友達がテレビ局でプロデューサーしててね。
確か…、アイドルグループのオーディションを近々企画するらしいから、紹介しようか?」

「え?」
ティアを含めてミミィとアーシャもその発言に言葉を失って放心状態となった。

「いやいや!店長…。」
とティアが申し訳なさそうに言うと同時に。
「はい!お願いします!」
ミミィが身を乗り出して満面の笑顔。

「ちょっとミミィ!
ダメだよ!
また勝手に話を進めようとして!
ねぇ?アーシャ?」
とアーシャは怒り出すと踏んで同意を求めるも。
「良いわね!」
アーシャは乗り気。

「ちょっと!アーシャまで。」
ティアは立ち上がると2人の手を引っ張って店の外に連れ出した。

「ミミィ。
流石にアイドルのオーディションなんてご両親にも相談なしに決めたらダメだよ。」

「ティア。
これはチャンスよ!
蒼炎神ティアさまが与えてくれたチャンスなのよ!」
ミミィの目は完全にいってしまっている。
『いやいや、そんな事私与えてません…。』
ティアは心の中で呟く。

「ティア。
ミミィは強引だけど。
私もこれはチャンスだと思う。
ティアと言う超可愛い女子とそこそこ可愛い私達がそこそこチャンスに巡り合ってる気がする。」

「何よそれ。
アーシャもミミィも凄く可愛いよ。
でも、ちゃんとご両親に話してからにしてよ。
私達は学園生なんだから。
学業こそ本分よ。
アイドルなんて始めたら学業が疎かになっちゃう。
一年生のうちに魔法士検定2級に合格しないと進級できないんだよ。」
ティアは腰に手を当てて正論を話し出す。

「わかってるよ。
ティアは魔法得意だもん。
それに比べて私とアーシャは普通だから頑張らないとダメだけど。
アイドルもやりたい。」
ミミィから笑顔が消えて真剣な表情となる。

「ティア。
ミミィも私も頑張るよ。
ちゃんと学業を頑張る。
3人で一緒に進級して学園生活を楽しみたいもの。
ミミィ!
先ずは親に話そう!
そして、ティアとアイドルになる!」
アーシャは握り拳で気合の入った声となっていた。

「アーシャ…。
もう、仕方ないわね。
ちゃんとご両親に説明してよね。
それでダメだと言われたら今回は諦めるのよ!」

「うん!わかった!」
2人は大きく頷いた。

3人は店の中に入って賑やかな雰囲気の部屋に戻ると店長の近くに座った。
「話は出来たみたいだね。」
クレスンはゆるい笑顔で迎えてくれた。

「はい。
あのう、店長。
お話はとても嬉しいのですが。
お友達のプロデューサーさんに話すのはもう少し待ってください。
私達は学園生です。
学業が優先されます。
いろいろ確認を取らないと行けませんので。」
ティアは申し訳なさそうに話すと。
店長は微笑んで頷いている。

「そうだね。」
店長は理解を示してくれて、ミミィ達もその後歓迎会に加わって楽しい時間を過ごすことが出来た。


そして帰り道

ティアはため息をつきながら笑った。

「ミミィとアーシャが来てくれたから助かったわ。」
ミミィとアーシャは両側で腕を組みながら歩く。

「ね、私達。アイドルに成れるかな?」
ミミィはティアの顔を覗き込む。

「ミミィはいつも先行し過ぎ。
ティアに迷惑かけた。」
アーシャがミミィの顔を覗き込んで冷たい視線を送る。

「ごめん!ティア。」
両手を合わせてミミィはティアに謝った。

「良いわよ。
許す!
その代わり、今度ミュウオケ奢ってよね!」
ティアは意地悪い笑顔でミミィに微笑む。

「どうして私だけ?
アーシャだって、一緒に乱入したじゃない!」

三人の夜道は、少しだけ賑やかだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
 病弱な僕は病院で息を引き取った  お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった  そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した  魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...