野心家令嬢の幼馴染はオカン属性の過保護でした

やらぎはら響

文字の大きさ
8 / 31

8

しおりを挟む
そんなことがありつつも、年一回のお茶会で、候補はドンドンと絞られていく。
そんななか十五になったクレメンスが王立フェアリシエル学園の高等部に進学することになった。
初等部、中等部は自宅から通うのだが、高等部は違う。
自主性を高めるために寮に入るのだ。
まだ高等部には入れないリーゼロッテは、長いこと一緒にいた幼馴染がいなくなるということに、内心つまらなく思っていたが顔には出さなかった。
わざわざ入寮する日にウォルウィッシュ家まで見送りに行く程度には、名残惜しかった。
屋敷の前にはウォルウィッシュ家の馬車とクレメンス一人だけだ。
荷物は送ってしまったからだろう身軽な姿で、見送りに来たリーゼロッテにうっすらはにかんで見せる。

「見送りに来てくれたんだね」
「まあね。それより誰もいないの?」

 侯爵家の嫡男の旅立ちだというのに、家族はおろか使用人さえいない。

「気楽なものだよ」

 ぱちりと瞬きしたあとにはいつものぼんやりした無表情になり、クレメンスは肩をすくめる。

「えぇー……ないわ」
「リジーが来てくれただけでいいよ」
「ふうん。じゃあ、いってらっしゃい」

 ひらひらと手を振ると、リーゼロッテに背中を向けて馬車に乗ろうとしたクレメンスは肩越しに振り返った。

「リジー、僕の事忘れないでくれる?」

 何を言ってるんだこいつは。

「あーだいじょぶ、たいじょぶ」

 不審気に答えるが。

「前科があるからなあ」

 苦笑されてしまった。
 クレメンスは六歳の時のお茶会でリーゼロッテが彼に気付かなかったことを、今でも根に持っているようだ。
 まあ、たしかにあれは自分もどうかと思ったので仕方がない。

「いいから行きなさいよ」

 ぷくっと頬をふくらませてしっしっと手を振ると、今度こそクレメンスは笑いながら馬車に乗って行った。
 結論から言えば、リーゼロッテがクレメンスを忘れることはなかった。
 クレメンスは休暇のたびにリーゼロッテに会いに来たし、手紙やプレゼントも届く。
 忘れる暇などないというものだ。
 いつものクレメンスからの定期便についていたハンカチを仕舞い、読み終わった手紙を水色に白い猫が描かれたお気に入りの箱に入れて一息ついた。
 筆まめな方ではないけれど、短いながらにリーゼロッテはいつも返事を書いている。
 机の引き出しを開けてレターセットを取り出すかと思ったところで、はてと立ち止まった。
 毎回手紙と一緒にリボンやお菓子、花が一緒に届くなあと思い至ったところで、自分は手紙以外渡していないことに気付いたのだ。

「……なんかあげようかな」

 貰ってばかりもなんだと思い、そんなことを考える。
 クレメンスはおそらく気にしないだろうけれど、リーゼロッテのなかではタダより高いものはないという言葉が脳裏を駆け抜けたのだ。

「男のプレゼントって何送ればいいわけ?」

 はてと首を傾げる。
 多少髪が長めとはいえリボンなんかは無用の長物だし、お菓子はリーゼロッテの作ったものぐらいしか食べないと本人が言っていた。

「うーん……ハンカチ貰ったし、ハンカチ渡そうかな」

 そうと決まれば淑女のたしなみとして刺繍のひとつでもしてやろうと、無駄なやる気が沸いてきた。
 その日のうちに無地のハンカチを購入してきて、準備に取り掛かる。

「ミモザ好きだからミモザの刺繡しようかな」

 机に向かってミモザの柄の図を紙に何枚か書き出して、それっぽく見える図案を決めたら刺繡糸を選ぶ。
 長椅子にクッションを置いて腰を押し付けると、リーゼロッテはいざと針を手に取ったのだった。
 そんな日から二週間。
 これで完成というところで刺繡糸が絡まった。

「うぐぅ」

 またかともう何度目かわからない糸の絡まりを指先でほどいて、再び布に刺す。

「むぎぎぎ、いったー!」

 力任せに針を動かしていたら本日五度目の負傷を指に負った。
 この二週間ちまちまと進めている刺繡によってリーゼロッテの指先は穴だらけで小さな包帯を巻かれている。
 小さい頃から刺繡を一応してはいたけれど、何それ役に立つの?と真面目にしてこなかったツケが今完全に返ってきている。

「で、できた」

 ぜえはあと、およそ刺繍をしていたとは思えないほど消耗した声を出してリーゼロッテはハンカチを広げた。

「可愛いんじゃない?うん、うーん?か、わいい……か?」

 最初の感想は自信に溢れたものだったけれど、だんだんと疑問形になっていき。

「いや汚いわこれ」

 悲しい感想に落ちついた。

「えぇ……こんな頑張ったのに」

 そこには白い布の中で緑のミミズと黄色のダンゴムシが狂ったように踊っている絵にしか見えなかった。
 どう頑張ってもつる草とミモザなどと可憐なものではない。
 思わず眉がぐにゅうとなってしまう。
 トントントンと三回のノック。
 それがクレメンスのノックの癖だということにすぐに気づいたリーゼロッテは。

「ちょっとま」
「リジー入るよ」

 待てという前にクレメンスは扉を開けて入ってきた。
 濃い青のシャツにチャコールグレーの上着を着たクレメンスがさっさと長椅子の方へと歩いて来る。
 余談だがクレメンスはいつも学校の制服は着てこないので、いつも見慣れた私服姿だ。

「ちょっと返事待ちなさいよ!」
「ええ?」

 リーゼロッテがハンカチをクッションの下にくしゃくしゃと隠しながら怒鳴れば、クレメンスは今さらという顔で不思議そうに首を傾げた。

「リジー、今隠したのは何?」
「くっ目ざといわね」

 何でもないとぐいぐいとクッションの下に手の中のハンカチをいれようとしたけれど。

「あ!」
「ハンカチ?」

 クッションを取られてしまい、易々とハンカチは見つかってしまった。

「見ないでよ!」
「刺繡したの?リジーが?」

 クッションを長椅子の下に落としてリーゼロッテの手から取った布を広げると、クレメンスがマジマジとそのミモザもどきを見つめる。

「気まぐれよ」

 こんな出来だから、絶対に練習しないからだとか淑女のたしなみだよとか、小言が飛んで来るに違いないとリーゼロッテは身構えた。
 しかし現実は予想と違った。

「リジーが刺繡を完成させるなんて凄いじゃないか。花だよね?今までで一番上手く出来てるよ」

 手放しで褒められた。
 多分母親に見せてもこんなに褒めてはもらえないだろう。

「……ミモザよ」
「ミモザかあ、百合の時より上手になったね」

 何年前の話だと思うが、リーゼロッテが刺繡など年単位でしかしないので仕方がない。
 ちなみに百合を刺繡したのは十一歳の時。
 約一年前だったりする。

「でも本当珍しいね……もしかして誰かにあげるの?殿下とか」

 ハンカチを綺麗に折りたたんでリーゼロッテに返そうとしたクレメンスが、珍しくぎこちない。

「なんで殿下?」

 他の婚約者候補は何か贈っているのだろうかと焦ったけれど。

「……なんとなく。違うの?」

 そうではないらしいので胸を撫でおろす。
 変に焦らせないでくれと思いながら、もう見られたしいいかとリーゼロッテはハンカチを受け取らなかった。

「クレメンスのよ」
「え?」
「あげる」

 もうちょっと体裁の整ったものをあげたかったけれどと思っていると、クレメンスがハンカチとリーゼロッテを交互に見るので、幼馴染の反応にリーゼロッテはふてくされたように手を出した。

「いらないなら返してよ」
「や、やだ!」

 思いのほかキッパリと抵抗されてしまい。

「ならいいけど」

 ハンカチを返してもらおうとした手を引っ込めると、クレメンスは目に見えて機嫌よく笑った。

「嬉しいな。ありがとう」

 花が飛ばんばかりの笑顔は、普段のぼんやり無表情とのギャップが凄いなあと思ってしまう。
 綺麗な顔でそんなに嬉しそうに笑うのだから、プレゼントを贈ったかいがあるといものだ。
 たとえへなちょこな刺繍でも。

「手が傷だらけだ。頑張ったんだね」

 まるで小さな子共を褒めるような口調でクレメンスがリーゼロッテの指に巻いてある包帯を外していく。
 針をぶっ刺して血の滲んだ場所もあるリーゼロッテの小さな手を両手で包み込むと、クレメンスの手がぽうっと淡い光りに輝き傷を一瞬で治してしまった。

「ありがと」

 離された手の指先にまったく傷がないのをしげしげと見ながら。

「あいかわらず不思議」

 感心したように呟いた。

「にしても月に二回も来なくていいわよ。手紙が毎週届くんだから」

 隔週で姿を現す幼馴染は手紙とプレゼントも忘れない。
 マメな性格だなと思う。

「今日は渡すものがあったんだよ」
「渡すもの?」

 クエスチョンマークを浮かべると、お菓子じゃなくて悪いけどと言われてしまった。
 食べ物以外だと文句を言うとでも思っているのだろうかと遺憾に思う。

「はい」

 上着の内ポケットからクレメンスが出したのは、白い何の変哲もない便箋だった。
 普通のものよりも小さくて、封筒は無い。

「なにこれ」

 渡された便箋を表から見たり裏返したり透かしたりとしても、なんの変哲もない便箋だ。

「緊急用の便箋だよ。何かあったらそれに書いてね、最速で届くから」
「ふうん?」

 そんな緊急事態なんて早々ないのではないかと思いながらも、ありがたく受け取ることにした。
 あるに越したことはないだろう。

「ありがと」
「うん、僕こそありがとう。大事にするよ」

 虫の集合体にしか見えない刺繍の入ったハンカチにそんなことを言われ、リーゼロッテは微妙な気持ちになったのだった。

「そういえば今年もバラ祭り行くわよね!」

 もうすぐある大きな祭りを思い出して、確認のためにリーゼロッテは机の引き出しに便箋を直して、長椅子に腰かけなおした。

「リジーが一緒に行くならね」
「行くわよ、当たり前じゃない。毎年楽しみにしてるんだから、あのお祭り」

 部屋の隅のティーセットに向かったクレメンスがおかしそうに笑う。
 カチャリとお茶を入れてテーブルにカップを二人分置くと、長椅子に座る。
 リーゼロッテは当たり前のようにカップを持ち上げると、喉が渇いていたのでぐびーっと一気に飲んでしまった。

「リジー、行儀が悪いよ」
「喉乾いてたんだもん」

 ぺろりと淑女らしくないしぐさで唇の端の水滴を舐める。
 軽い溜息を吐くクレメンスだ。

「じゃあその日はまた迎えに来るから」

 毎年恒例になっている言葉にこくりと頷くと、クレメンスはお茶を一杯飲んで学園に戻って行った。
 そしてはたと気づく。

「あいつ友達とか約束しなかったのかしら」

 毎年の疑問が浮かび上がる。
 しかしリーゼロッテの誘いに乗るという事は暇なのだろうと結論づけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~

小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。 そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。 幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。 そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――? 「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」 鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。 精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。

転生賢妻は最高のスパダリ辺境伯の愛を独占し、やがて王国を救う〜現代知識で悪女と王都の陰謀を打ち砕く溺愛新婚記〜

紅葉山参
恋愛
ブラック企業から辺境伯夫人アナスタシアとして転生した私は、愛する完璧な夫マクナル様と溺愛の新婚生活を送っていた。私は前世の「合理的常識」と「科学知識」を駆使し、元公爵令嬢ローナのあらゆる悪意を打ち破り、彼女を辺境の落ちぶれた貴族の元へ追放した。 第一の試練を乗り越えた辺境伯領は、私の導入した投資戦略とシンプルな経営手法により、瞬く間に王国一の経済力を確立する。この成功は、王都の中央貴族、特に王弟公爵とその腹心である奸猾な財務大臣の強烈な嫉妬と警戒を引き寄せる。彼らは、辺境伯領の富を「危険な独立勢力」と見なし、マクナル様を王都へ召喚し、アナスタシアを孤立させる第二の試練を仕掛けてきた。 夫が不在となる中、アナスタシアは辺境領の全ての重責を一人で背負うことになる。王都からの横暴な監査団の干渉、領地の資源を狙う裏切り者、そして辺境ならではの飢饉と疫病の発生。アナスタシアは「現代のインフラ技術」と「危機管理広報」を駆使し、夫の留守を完璧に守り抜くだけでなく、王都の監査団を論破し、辺境領の半独立的な経済圏を確立する。 第三の試練として、隣国との緊張が高まり、王国全体が未曽有の財政危機に瀕する。マクナル様は王国の窮地を救うため王都へ戻るが、保守派の貴族に阻まれ無力化される。この時、アナスタシアは辺境伯夫人として王都へ乗り込むことを決意する。彼女は前世の「国家予算の再建理論」や「国際金融の知識」を武器に、王国の経済再建計画を提案する。 最終的に、アナスタシアとマクナル様は、王国の腐敗した権力構造と対峙し、愛と知恵、そして辺境の強大な経済力を背景に、全ての敵対勢力を打ち砕く。王国の危機を救った二人は、辺境伯としての地位を王国の基盤として確立し、二人の愛の結晶と共に、永遠に続く溺愛と繁栄の歴史を築き上げる。 予定です……

異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。

和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……? しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし! 危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。 彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。 頼む騎士様、どうか私を保護してください! あれ、でもこの人なんか怖くない? 心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……? どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ! 人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける! ……うん、詰んだ。 ★「小説家になろう」先行投稿中です★

冷徹と噂の辺境伯令嬢ですが、幼なじみ騎士の溺愛が重すぎます

藤原遊
恋愛
冷徹と噂される辺境伯令嬢リシェル。 彼女の隣には、幼い頃から護衛として仕えてきた幼なじみの騎士カイがいた。 直系の“身代わり”として鍛えられたはずの彼は、誰よりも彼女を想い、ただ一途に追い続けてきた。 だが政略婚約、旧婚約者の再来、そして魔物の大規模侵攻――。 責務と愛情、嫉妬と罪悪感が交錯する中で、二人の絆は試される。 「縛られるんじゃない。俺が望んでここにいることを選んでいるんだ」 これは、冷徹と呼ばれた令嬢と、影と呼ばれた騎士が、互いを選び抜く物語。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」  行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。  相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。  でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!  それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。  え、「何もしなくていい」?!  じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!    こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?  どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。  二人が歩み寄る日は、来るのか。  得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?  意外とお似合いなのかもしれません。笑

処理中です...