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0 くらやみ
しおりを挟む午後3時の東京。
突如として空がどす黒い雲に覆われて行く。冷たい風が吹き、辺りは夜のような闇となった。
「ええっ?」
「あっ暗い。」
「なになに、雨!?」
道行く人々の口から漏れるのは困惑の声だ。
(あー、却って大事になったか。)
山奥真暗は右手で頭を掻いた。
今、辺りを暗くしたのはこの真暗だ。彼女は自分が見渡す範囲を暗くできる。
しかし現状を見る限り、闇は望んだ効果をもたらしてくれていない。
何故ならたちまち幾つもの街灯が点いていく。そして建物からこぼれる店の明かり。
この街は自然には暗くならないのだ。
真暗は黙って自分の左手の方を見た。繋いだ手の先には子供のスケルトンが一体。
それはもう骨しかなくて、スカスカの体を電気の光に晒している。
「……………。」
(これはちょっと。
コスプレでーす、とは言えないなあ。)
もう少し後の時代なら、“3D映像です!”とか言えたかもしれないのに。
真暗は一瞬だけ現実逃避した。
しかしいつまでもぐずぐずしては居られない。通行人は次々にこちらを二度見し、足を止めた者もいる。
(これは鬼の力じゃダメだ。物理で逃げないと。)
繋いだ手をきつく握りなおす。
「静、走るよ!」
より暗い場所、骸骨が見えない場所へ。
文字どおりの意味で都会の闇を求めて。
スケルトンと真暗は駆けた。
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