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4 弟の困りごと
しおりを挟む「さて。それじゃ聞いて良い?
静はどうして鬼の世を出て来たの。」
「………。」
しばし無言となる静。
彼は頭の中で何かをまとめているらしい。
別に急ぐ話でもない。真暗は鞄からグミをひとつ取り出すとふっちーに向かって投げつけた。
カエルの舌でグミをナイスキャッチ。
そのまま投げ返すふっちー。
これはあまり行儀のよろしくない遊び方だが時間繋ぎには調度良い。
そうしてポイポイ飛ばしていると、やがて静が手を挙げた。
「いいかな。
姉さんと話したいことがあるんだ。」
ごくり。ふっちーの口の中へとグミが消えて行く。真暗は静の方へと向き直る。
静の声は低く、とても落ち着いていた。
「僕のお仕え先のこと。15歳になったからそろそろ勤めに来ないかってお話を頂いていて。雲取さんのお家からお声が掛かったんだよ。」
「おおっ!」
それは良い話だ。雲取家は勢い盛んな家で羽振りも良い。たしか静も自分の勤め先に望んでいたところではなかったか。
(つまり希望どおりの就職だよね?
その割にはずいぶん静の顔が硬いなあ。)
真暗は口から出かけたお祝いを飲み込んで話の先に耳を澄ませた。
この先にいったい何があるのだろう。
「…………………それが、その。」
「うん?」
「雲取さんは、僕に。………侍女の見習いに来て欲しいって言うんだ。」
「っっ!!」
(うわー、あちゃー。侍女、侍女って。)
なるほど。
ようやく真暗にも状況が見えてきた。
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