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5 鬼の就職 募集側の事情
しおりを挟む物心ついた頃からずっと。
誰かに“山奥のお嬢さん”と言われたらそれは弟の静のことだった。姉の真暗の方は、専ら“山奥の坊っちゃん”と呼ばれていた。
互いに男装・女装をしている訳でもない。ただ、生来の容姿がそのような方向に寄っていたことが周りの鬼たちの悪ノリを招いたのだ。
(静はいつもちゃんと抗議してたのになあ。“僕は男です、お嬢さんではありません”って。なのに、それなのにお仕事で侍女なのねー。)
たまに世は無情だ。
しかし大抵の場合、適当な抜け道はある。だからこの話ももう少し確認してみよう。
「あ~静。それさー、雲取さんとこ以外からお仕事の話は来てないの?」
「いくつか来てるよ。だけどみんな侍女が欲しいみたいで。」
「えっ?みんなって、どこも侍女に欲しいってこと??な、なんじゃそりゃ………。」
悪ふざけにしてもやり過ぎである。
真暗は絶句した。
そこへふっちーがボソボソと喋り出す。
『その、な。強い家は、美女や才女を侍女として集めて娘のサロンを形成するんだよ。そうやって出来るだけ話題を集めるのがステータスなんだ。
………静がデビューすれば、おそらくかなり大きな話題になる。うちだってもし娘がいたら、やっぱり静が欲しかっただろうな。』
「はあ……。そりゃ華やかだねえ。侍女なんて女の子ばっかりだろうし、静は美人の男の子だからまあ目立つだろうね。
どうする?静。そういう話なら待遇は良さそうだよ。雲取さんちの娘さんのお花になってみる?」
「イヤだ。」
静はツンと横を向いて即答した。
その横顔もまた美しく、真暗はこっそりため息をついたものだ。
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