シズカ

ねね

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9 カエルは帰れと言う

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 黙る真暗に悶々とする静。場の沈黙を破ったのは、少し苛立つふっちーだった。

『おい静。話が済んだなら鬼の世に戻れ。ここで悩んでたっておまえの答えは出ないだろ。』

(あ、バッサリ。どうしたふっちー?)

 真暗は自分の肩の上のアマガエルを横目で見る。ふっちーの考えは明快なようでいて読みにくい。今の態度も真意が見えなかった。

 ただしそれを理解する取っ掛かりはあって。

 彼は、彼が何を考えているのかをこちらで考えるよりも。そのやることを見ていた方がよほどよく分かる相手なのだ。

 よって真暗はふっちーの様子をただ眺める。カエルの表情は見づらいが、まあふっちーならそれなりに分かるだろう。

 ふっちーは続けて畳み掛けた。

『あのな。人の世でホネが歩いていたら坊さんと警察が来るぞ!余計な騒ぎを起こすなよ。
 誰かに見られると厄介だろう。だからお前はさっさと帰れ。』

 真暗は額を押さえた。

(余計な騒ぎねー。ああこれは……、色々と気を遣わせてしまっているような。)

 人の世で働く真暗に。あるいは地獄のリモートワークプロジェクトに。どちらも騒ぎは困るから。

 そう。ふっちーはよく気が付くし、それに面倒見も良いのだ。

 この分だとさらに、追い返した静にフォローまで入れてくれる勢いかもしれない。

 ありがたいような、申し訳ないような。

 せめて弟のフォローは真暗の方でも入れておきたいものだ。できるものならば。

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