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11 咄嗟にできること
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「ちょっと待って。えっと。」
鞄の奥からある物を引っ張り出す。
光沢のある小さな袋に“商売繁盛”の文字。それは神社の御守りであった。
「これあげる。きっと仕事運が上がるよ。」
すると静はずざーーーーっと離れて行く。
「姉さんっ、それ、厄除け!!
ぴりぴりしないの?大丈夫!?」
「平気平気。別に鬼避けの札でもないし。
ほら、触ってみて?」
「…………。」
静は白い指をそっと伸ばしてきた。
ちょっとつついて首を傾げては、またちょっとつつく。慎重だ。
「ね、平気でしょ。」
「うん………。」
「へっへっへっ。ご利益があると良いね~。」
ニコニコと笑う真暗。
まあ、もはや笑うしかない。
結局のところ真暗には大した力もなくて。こんな気休め程度のフォローしか出せるネタがないのだから。
せめてあと一つくらい、他にも何かしてやりたいという気持ちはあるのだが。
あとは、真暗に出来ることと言えば……。
「ね。今度、また人の世においで。一緒に遊びに行こうよ♪大型客船に乗ってさー。こっそり幽霊船ごっこしよう!」
こうして遊びに誘うくらいだ。
就活中に遊びに誘われて喜ぶか?というと、かなり怪しいところで。実際、静にはよく分からない顔をされてしまっている。
それでもコレは。静が十何年と見てきた、お勝手でテキトーな姉。
つまり、いつもの真暗なのだ。
多少呆れられようともそこは家族。静の雰囲気は慣性で緩くなる。
プレッシャーというか、変な緊張はほぐれたのではなかろうか。
(あ、もうそれで良いや。)
真暗はそう思った。
鞄の奥からある物を引っ張り出す。
光沢のある小さな袋に“商売繁盛”の文字。それは神社の御守りであった。
「これあげる。きっと仕事運が上がるよ。」
すると静はずざーーーーっと離れて行く。
「姉さんっ、それ、厄除け!!
ぴりぴりしないの?大丈夫!?」
「平気平気。別に鬼避けの札でもないし。
ほら、触ってみて?」
「…………。」
静は白い指をそっと伸ばしてきた。
ちょっとつついて首を傾げては、またちょっとつつく。慎重だ。
「ね、平気でしょ。」
「うん………。」
「へっへっへっ。ご利益があると良いね~。」
ニコニコと笑う真暗。
まあ、もはや笑うしかない。
結局のところ真暗には大した力もなくて。こんな気休め程度のフォローしか出せるネタがないのだから。
せめてあと一つくらい、他にも何かしてやりたいという気持ちはあるのだが。
あとは、真暗に出来ることと言えば……。
「ね。今度、また人の世においで。一緒に遊びに行こうよ♪大型客船に乗ってさー。こっそり幽霊船ごっこしよう!」
こうして遊びに誘うくらいだ。
就活中に遊びに誘われて喜ぶか?というと、かなり怪しいところで。実際、静にはよく分からない顔をされてしまっている。
それでもコレは。静が十何年と見てきた、お勝手でテキトーな姉。
つまり、いつもの真暗なのだ。
多少呆れられようともそこは家族。静の雰囲気は慣性で緩くなる。
プレッシャーというか、変な緊張はほぐれたのではなかろうか。
(あ、もうそれで良いや。)
真暗はそう思った。
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