10 / 23
10 家守りたち
しおりを挟む『こんにちはー。ごめんくださーい。』
シーーーン。
『すみませーん。』
シーーーーーン。応答なし。
そこで玄関から首を突っ込むと。
建物は至って簡素な作りで、廊下の片側に扉が幾つも並んでいた。
開いた扉の向こうにあるのは小さな部屋。中には素っ気ないベッドが一つだけ。
あ。神殿の泊まれる所ってここかも?
だってなんか巡礼の宿っぽい。ほら、神殿の慈善事業みたいなやつ。
よ、良かった~。宿が見つかった~~!
昨日寝てないんだよなー。うう。気分的にはすぐにでもここで寝さしてほしい。
だけど黙って寝る訳にも行かないし。
誰かいないかなあ。
キョロキョロしながら廊下を進む。
すると…、入ってちょっとのところにある部屋で。窓の上の方から首を突っ込み、ベッドのシーツを口で咥えたガーゴイルと目が合った。
うん、ガーゴイル。石作りで細長い鼻面の、建物の屋根からぶら下がったアレね。アレが滑らかに動いてる。
なんじゃこりゃ。
ソレは目をぱちくりさせて。無言でシーツを引っ張ると窓の外へ撤収して行った。
かと思えば再び部屋に戻り、今度は枕を窓の外へ。その動きはてきぱきとして迷いがない。雰囲気的にどう見ても勤務中の従業員である。
な、なんと。
ここのスタッフはガーゴイルなのか……!
え。ここってどういう神殿よ?
呆然としながら突っ立っていると、別のガーゴイルが窓の外からやって来て声をかけられた。
「こちらのチェックインは午後3時からになります。」
『あ、そうなんですね。あのー、ずっと歩いてきたものでかなり疲れていて……。ちょっと休める所とかはありませんか?』
「うーん。そうですね。奥の部屋なら掃除がすんでおりますので、どうぞ。」
『ありがとうございます。』
親切なガーゴイルだなー。
世界にはいろんな生き物がいるもんだ。
もう何も気にするまい。一眠りして、起きてから情報収集するとしよう。
すすーっと足早に廊下を通りすぎる。壁に大きなドラゴンの絵が描かれているのを目の隅で捉えながら、私は奥の部屋へなだれ込んだ。
なんか。ドラゴンの足の下に神殿の絵が書いてあったような気がする……。
あー、眠っ。ふあ~~あ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
魅了魔法の正しい使い方
章槻雅希
ファンタジー
公爵令嬢のジュリエンヌは年の離れた妹を見て、自分との扱いの差に愕然とした。家族との交流も薄く、厳しい教育を課される自分。一方妹は我が儘を許され常に母の傍にいて甘やかされている。自分は愛されていないのではないか。そう不安に思うジュリエンヌ。そして、妹が溺愛されるのはもしかしたら魅了魔法が関係しているのではと思いついたジュリエンヌは筆頭魔術師に相談する。すると──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる