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10 家守りたち
しおりを挟む『こんにちはー。ごめんくださーい。』
シーーーン。
『すみませーん。』
シーーーーーン。応答なし。
そこで玄関から首を突っ込むと。
建物は至って簡素な作りで、廊下の片側に扉が幾つも並んでいた。
開いた扉の向こうにあるのは小さな部屋。中には素っ気ないベッドが一つだけ。
あ。神殿の泊まれる所ってここかも?
だってなんか巡礼の宿っぽい。ほら、神殿の慈善事業みたいなやつ。
よ、良かった~。宿が見つかった~~!
昨日寝てないんだよなー。うう。気分的にはすぐにでもここで寝さしてほしい。
だけど黙って寝る訳にも行かないし。
誰かいないかなあ。
キョロキョロしながら廊下を進む。
すると…、入ってちょっとのところにある部屋で。窓の上の方から首を突っ込み、ベッドのシーツを口で咥えたガーゴイルと目が合った。
うん、ガーゴイル。石作りで細長い鼻面の、建物の屋根からぶら下がったアレね。アレが滑らかに動いてる。
なんじゃこりゃ。
ソレは目をぱちくりさせて。無言でシーツを引っ張ると窓の外へ撤収して行った。
かと思えば再び部屋に戻り、今度は枕を窓の外へ。その動きはてきぱきとして迷いがない。雰囲気的にどう見ても勤務中の従業員である。
な、なんと。
ここのスタッフはガーゴイルなのか……!
え。ここってどういう神殿よ?
呆然としながら突っ立っていると、別のガーゴイルが窓の外からやって来て声をかけられた。
「こちらのチェックインは午後3時からになります。」
『あ、そうなんですね。あのー、ずっと歩いてきたものでかなり疲れていて……。ちょっと休める所とかはありませんか?』
「うーん。そうですね。奥の部屋なら掃除がすんでおりますので、どうぞ。」
『ありがとうございます。』
親切なガーゴイルだなー。
世界にはいろんな生き物がいるもんだ。
もう何も気にするまい。一眠りして、起きてから情報収集するとしよう。
すすーっと足早に廊下を通りすぎる。壁に大きなドラゴンの絵が描かれているのを目の隅で捉えながら、私は奥の部屋へなだれ込んだ。
なんか。ドラゴンの足の下に神殿の絵が書いてあったような気がする……。
あー、眠っ。ふあ~~あ。
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