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11 魔の山へ
しおりを挟む翌朝。神殿のお宿はなんと、朝食にパンと水を振る舞ってくれた。
ここって無料なんだよ。宿泊代も全部、神殿に施して貰ってる。その上ご飯まで出してくれるだなんてサービス良いわー。
なのに利用客は私の他にホームレスのおじさんが1人いるだけ。大きな食堂は閑散としているんだから不思議だよねえ。
まあ、それはそれとして。
『ごちそうさまでーす。』
食堂の窓から外を覗きこむ。
すると案の定そこには、ズラリと並んだガーゴイルが屋根から突きだしていた。
ふむ。誰が誰だかさっぱり分からない。
ここは一番近いガーゴイルに話しかけてみるとしよう。
『すみません。
神殿って今日は開いてますかね?』
ん?
と怪訝そうにこっちを見るガーゴイル。
『いや~。お世話になったんで、神さまにご挨拶していこうと思ったんですけど。』
「御神体、つまりこちらの主はご不在です。」
『へっ?』
「半年前に魔の山へ向かわれまして。それっきり戻っていらっしゃらないのですよ。」
………魔の山へ行く神さまとは何ぞや。
二の句が継げずに黙っていると、別のガーゴイルが補足を入れてくれた。
「当神殿が祀っておりますドラゴンは今、山の頂で寝そべっておられます。」
『ドラゴン。』
「おかげで巡礼も観光客も町に来なくなりました。店は潰れて人も減り、ドラゴンの威光なくしては町の守りも覚束ず。とても困っているのですよ。」
『あらまあ。』
「戻って頂きたい、と何度もお願いしているのですが。これがなかなか…。」
ガーゴイルが全部、しなーっとなる。
「町はドラゴンの帰還に莫大な報奨金をかけました。旅の方も一度、魔の山へ立ち寄っていかれませんか?」
「ええ、討伐ではないのでそれほど危険もないですよ。どうか。」
おぐうっ。
よく分からないけれど。ドラゴンに会いに魔の山へ行くのはそれほど危険じゃないんだろうか。
そんなピクニックみたいに言われても。
だけど莫大な報奨金って、あれば助かるんだろうなー。
それにガーゴイルさん達にお世話になったのは事実だし。礼は礼として通しておきたい気持ちはある。
うーーーん。
行くだけ行って、無理っぽかったら引き返すとするか。
タダほど高いものはないのだ。ぐすっ。
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