異世界、転生………。

ねね

文字の大きさ
11 / 23

11 魔の山へ

しおりを挟む

 翌朝。神殿のお宿はなんと、朝食にパンと水を振る舞ってくれた。

 ここって無料なんだよ。宿泊代も全部、神殿に施して貰ってる。その上ご飯まで出してくれるだなんてサービス良いわー。

 なのに利用客は私の他にホームレスのおじさんが1人いるだけ。大きな食堂は閑散としているんだから不思議だよねえ。

 まあ、それはそれとして。

『ごちそうさまでーす。』

 食堂の窓から外を覗きこむ。

 すると案の定そこには、ズラリと並んだガーゴイルが屋根から突きだしていた。

 ふむ。誰が誰だかさっぱり分からない。

 ここは一番近いガーゴイルに話しかけてみるとしよう。

『すみません。
 神殿って今日は開いてますかね?』

 ん?
 と怪訝そうにこっちを見るガーゴイル。

『いや~。お世話になったんで、神さまにご挨拶していこうと思ったんですけど。』

「御神体、つまりこちらの主はご不在です。」

『へっ?』

「半年前に魔の山へ向かわれまして。それっきり戻っていらっしゃらないのですよ。」

 ………魔の山へ行く神さまとは何ぞや。

 二の句が継げずに黙っていると、別のガーゴイルが補足を入れてくれた。

「当神殿が祀っておりますドラゴンは今、山の頂で寝そべっておられます。」

『ドラゴン。』

「おかげで巡礼も観光客も町に来なくなりました。店は潰れて人も減り、ドラゴンの威光なくしては町の守りも覚束ず。とても困っているのですよ。」

『あらまあ。』

「戻って頂きたい、と何度もお願いしているのですが。これがなかなか…。」

 ガーゴイルが全部、しなーっとなる。

「町はドラゴンの帰還に莫大な報奨金をかけました。旅の方も一度、魔の山へ立ち寄っていかれませんか?」

「ええ、討伐ではないのでそれほど危険もないですよ。どうか。」

 おぐうっ。

 よく分からないけれど。ドラゴンに会いに魔の山へ行くのは危険じゃないんだろうか。

 そんなピクニックみたいに言われても。

 だけど莫大な報奨金って、あれば助かるんだろうなー。

 それにガーゴイルさん達にお世話になったのは事実だし。礼は礼として通しておきたい気持ちはある。

 うーーーん。

 行くだけ行って、無理っぽかったら引き返すとするか。

 タダほど高いものはないのだ。ぐすっ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

魅了魔法の正しい使い方

章槻雅希
ファンタジー
公爵令嬢のジュリエンヌは年の離れた妹を見て、自分との扱いの差に愕然とした。家族との交流も薄く、厳しい教育を課される自分。一方妹は我が儘を許され常に母の傍にいて甘やかされている。自分は愛されていないのではないか。そう不安に思うジュリエンヌ。そして、妹が溺愛されるのはもしかしたら魅了魔法が関係しているのではと思いついたジュリエンヌは筆頭魔術師に相談する。すると──。

私が……王太子……のはずだったのに??

#Daki-Makura
ファンタジー
最愛と朝を迎えたら……城下が騒がしい……?? 一体……何が起きているのか……??

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...