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23 無言の応援
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ある日のこと。井戸端で鍋を洗っていたシンデレラに、別の女中さんから声が掛かりました。
「おーい。
仕事やめて、いったん玄関前に集合ー。」
「はーい。」
鍋を持って行くのもおかしいので、一度台所に戻ります。
その前にちらりと玄関前を覗き見て。シンデレラは危うく声を出しそうになりました。
フードで顔は見えませんが。
間違いなく……。
ガラスのブーツを持った王子さまが、お屋敷の前に来ていたのです。
☆ ☆ ☆
(会いに来て、くれた。ここここういう時、どういう顔で出ていくの!?)
おそらく嬉しい、のだと思われますが。気持ちが混乱してよくわかりません。
(ええと、お嫁さんなんちゃらって真に受けて良いんだろうか。わっっっかんないよー。
うーーーん。どうしよう?
私は、王子さまにひっ付きたい。それで、仮に子どもが出来ても産んじゃうつもり。
まあ結婚出来なくても、片親で子連れの女中さんはいるし……って、そもそもできるかどうかも分からない子どものこと考えてもなー。
あ、じゃあ、そこまでの仲になれなかったとしても。やっぱり会いたいな。ずーっと。……あれ、私の希望なんてそんなもんか。)
並べてみれば難しい話ではないと思うのですが。その割に気持ちの揺れ幅がすごいです。
(王子さまにはどこかキツい?ううう。それもわっっかんない。
あー、私、今ぜったい眉間にシワ寄ってる。魔よけの石像みたいな顔してる…。)
強ばった顔筋でニターッと笑い、窓ガラスをチェックすれば。まるでホラー小説の挿し絵のような自分の顔が映ります。
(な、なんじゃこりゃ。あーーもう、今すぐ暖炉の火を消して奥でふて寝したい!!)
どっしりしたポカポカの暖炉の中は、さぞかし落ち着くことでしょう。
(それは、ダメなんだろうけどさー。)
誰もいなくなった台所をグルグル歩き回ります。
そして、ふと顔を上げると。壁紙のお魚と目が合ったのです。
台所の壁には、それはそれはブスッとしたお魚の絵が等間隔にならんでいます。
魚はゴツい顔ですが。
壁紙は、かわいいですね。
(おっ?)
ひどい顔でも、愛嬌はあるかもしれません。
(あ。いける、気がしてきた。むむむ。
ええい、よし行くぞー!)
少しは気持ちが楽になったので。この機を逃さず、シンデレラは台所を飛び出しました。
「おーい。
仕事やめて、いったん玄関前に集合ー。」
「はーい。」
鍋を持って行くのもおかしいので、一度台所に戻ります。
その前にちらりと玄関前を覗き見て。シンデレラは危うく声を出しそうになりました。
フードで顔は見えませんが。
間違いなく……。
ガラスのブーツを持った王子さまが、お屋敷の前に来ていたのです。
☆ ☆ ☆
(会いに来て、くれた。ここここういう時、どういう顔で出ていくの!?)
おそらく嬉しい、のだと思われますが。気持ちが混乱してよくわかりません。
(ええと、お嫁さんなんちゃらって真に受けて良いんだろうか。わっっっかんないよー。
うーーーん。どうしよう?
私は、王子さまにひっ付きたい。それで、仮に子どもが出来ても産んじゃうつもり。
まあ結婚出来なくても、片親で子連れの女中さんはいるし……って、そもそもできるかどうかも分からない子どものこと考えてもなー。
あ、じゃあ、そこまでの仲になれなかったとしても。やっぱり会いたいな。ずーっと。……あれ、私の希望なんてそんなもんか。)
並べてみれば難しい話ではないと思うのですが。その割に気持ちの揺れ幅がすごいです。
(王子さまにはどこかキツい?ううう。それもわっっかんない。
あー、私、今ぜったい眉間にシワ寄ってる。魔よけの石像みたいな顔してる…。)
強ばった顔筋でニターッと笑い、窓ガラスをチェックすれば。まるでホラー小説の挿し絵のような自分の顔が映ります。
(な、なんじゃこりゃ。あーーもう、今すぐ暖炉の火を消して奥でふて寝したい!!)
どっしりしたポカポカの暖炉の中は、さぞかし落ち着くことでしょう。
(それは、ダメなんだろうけどさー。)
誰もいなくなった台所をグルグル歩き回ります。
そして、ふと顔を上げると。壁紙のお魚と目が合ったのです。
台所の壁には、それはそれはブスッとしたお魚の絵が等間隔にならんでいます。
魚はゴツい顔ですが。
壁紙は、かわいいですね。
(おっ?)
ひどい顔でも、愛嬌はあるかもしれません。
(あ。いける、気がしてきた。むむむ。
ええい、よし行くぞー!)
少しは気持ちが楽になったので。この機を逃さず、シンデレラは台所を飛び出しました。
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