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22 春の便り
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夜も更けたお屋敷の台所。この時期の室内はまだまだ冷え込みます。
今日もよく働いたシンデレラは、暖炉の灰に荒布を敷いて古毛布にくるまりました。
目を閉じれば1日はおしまいで、あとは眠るだけ。
ええ、だけ……の、はずだったのですが。
コココココッコココココッ。
お客さまでしょうか、こんな真夜中に。誰かが木の棒で勝手口を叩いています。
コココココッコッコッコッコッコッ。
どうやら、気の短いお方のようです。
☆ ☆ ☆
やって来たのは偉い魔女でした。
「舞踏会の感想を聞こうかと思ってねえ。で、どうだい首尾の方は。」
「あー……それが、その。言うに言えないアホな次第になっておりまして…。」
人様に説明するのも情けないですが、偉い魔女にはお世話になっている身です。シンデレラはポツポツと事情を伝えました。
「ええと。最後の夜に、ちと気後れして。もしも魔法がとけた状態で王子さまに会ったら……その、フラれるのではなかろうかと。
怖くなって、それで……好き放題した挙げ句、次の約束をしないで帰ってしまったんです。」
「おやまあ。」
「自分でも下手を打ったと思います。王子さまは今、ガラスのブーツを頼りに私を探しているんだとか。でも、私の足のサイズは至ってフツーの一般サイズ……!
これじゃ、他の女の人と差し替えされるかもしれません。」
「困ったねえ。で、どうするんだい?」
「うーん。今は、捜索隊を待ってます。行き違いにはなりたくないし。」
気分は遭難者です。先が見えません。
「そうかい。そりゃあしんどいねえ。」
「はい……。」
偉い魔女はニヤッと笑いました。
「それじゃ、ひとつ良いことを教えてあげよう。あの坊やはブーツを持って歩いているけれど、まだ誰にも履かせてないよ。」
「へっ?」
「ちゃんとあんたを覚えてる。あんたを探してる。ブーツは口実さ。だから良い子で待っておいで。」
「!!」
(え、覚えてる、本当に?一瞬だったのに、私に特徴なんてないのに。
会いに来てくれる?こんなの怒ってない?うぎゃあーーーー!!)
なんて破壊力のある情報でしょう。
シンデレラは、復活しました。
今日もよく働いたシンデレラは、暖炉の灰に荒布を敷いて古毛布にくるまりました。
目を閉じれば1日はおしまいで、あとは眠るだけ。
ええ、だけ……の、はずだったのですが。
コココココッコココココッ。
お客さまでしょうか、こんな真夜中に。誰かが木の棒で勝手口を叩いています。
コココココッコッコッコッコッコッ。
どうやら、気の短いお方のようです。
☆ ☆ ☆
やって来たのは偉い魔女でした。
「舞踏会の感想を聞こうかと思ってねえ。で、どうだい首尾の方は。」
「あー……それが、その。言うに言えないアホな次第になっておりまして…。」
人様に説明するのも情けないですが、偉い魔女にはお世話になっている身です。シンデレラはポツポツと事情を伝えました。
「ええと。最後の夜に、ちと気後れして。もしも魔法がとけた状態で王子さまに会ったら……その、フラれるのではなかろうかと。
怖くなって、それで……好き放題した挙げ句、次の約束をしないで帰ってしまったんです。」
「おやまあ。」
「自分でも下手を打ったと思います。王子さまは今、ガラスのブーツを頼りに私を探しているんだとか。でも、私の足のサイズは至ってフツーの一般サイズ……!
これじゃ、他の女の人と差し替えされるかもしれません。」
「困ったねえ。で、どうするんだい?」
「うーん。今は、捜索隊を待ってます。行き違いにはなりたくないし。」
気分は遭難者です。先が見えません。
「そうかい。そりゃあしんどいねえ。」
「はい……。」
偉い魔女はニヤッと笑いました。
「それじゃ、ひとつ良いことを教えてあげよう。あの坊やはブーツを持って歩いているけれど、まだ誰にも履かせてないよ。」
「へっ?」
「ちゃんとあんたを覚えてる。あんたを探してる。ブーツは口実さ。だから良い子で待っておいで。」
「!!」
(え、覚えてる、本当に?一瞬だったのに、私に特徴なんてないのに。
会いに来てくれる?こんなの怒ってない?うぎゃあーーーー!!)
なんて破壊力のある情報でしょう。
シンデレラは、復活しました。
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