毒が効くまで長すぎる

ねね

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13 ほんの少しのひっかかり

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 午後になると、"白鳩"の連中がお館に到着した。

 今日はこの後、夕方に顔合わせのみ。話し合いは、明日から一週間かけて行う予定だそうだ。

 いやあ、一週間も持つのかね~。

 始まる前から、もう大荒れじゃないか。
 私には、話が流れる絵しか見えないよ。

 それでも一応、"白鳩"の様子を眺める為、青い霧の状態になって部屋を出た。

 私の死体は、サルマと一緒に部屋でお留守番。ここで外国人女性がウロウロしてたら、変に目を付けられかねない。

 死体と置いてきぼりにされたサルマが、何とも言えない顔をしていたけれど。

 隠密行動なら、霧のままに限るよね。

 体を薄~く伸ばして影に潜めば、フツーに気付かれないし。

 日が当たると青い粒子がちょっとは見えるものの、見えたところで、コレを見て生き物だと思う奴がいたら頭がおかしいと思うんだ。

 館の端に行くと、今到着した鳩さんたちが、一人ずつ上に引っ張り揚げられているところだった。

 お館のおじさんが2人がかりで、大きな滑車を回して網を引き揚げる。

 文字通り、人が入った網を、縄で吊り上げている。

 エレベーターが原始的すぎてスリル満点。
 この岩山、高さ何メートルあるんだろう。

 引き揚げ場には兵士も2人いて、館に到着した"白鳩"さんは、一人ずつ武器を取り上げられていた。

 槍とか、ハンマーとか、鉄球とか。
 背丈ほどある大弓なんかを。

 ええと、おまえらも威嚇スタートなんだな。

 いっぺん熊さんと話してみたら?
 似た者同士で、案外、気が合うかもよ。

 "白鳩"側のメンツも皆、大変ごつい。見た目はもう、白ハトじゃなくて白クマだ。

 外見で人を判断するのは良くないかもしれないが、話し合いをする為に選ばれたメンバーにはとてものこと見えない。

 これは暴れられると厄介だろうなあ。

 武器を取り上げるのは当然としても、人間の場合、体は取り上げられないもんね。

 会議室の机や椅子は、ちゃんと床に固定してあると良いね。間違っても花瓶なんか飾るなよ、領主。

 あれ、素朴な疑問が沸いてきた。

 サルマって、なんでこの話し合いに立ち合おうと思ったのかな?

 彼は、ここが地元だと言っていた。領主も、"赤熊"も、"白鳩"も、どういう連中かサルマはわかっているはずだ。

 話し合いは、ほぼ間違いなく決裂する。
 奇跡でも起きない限り、和解には何の進展もないだろう。

 結果がわかっているのに、危険を冒してまで立ち合う意味ってあるの?

 例えばこれが私なら、首を突っ込むのは好奇心のなせるワザってことで説明がついてしまうのだけれども。

 サルマがそこまで野次馬を頑張るとは思えない。彼は生身の人間で、魔物の私とは、そもそも抱えるリスクが全く違う。

 今だって部屋で待機してるし、寝ているかもしれないし。

 むむ?謎だな。

 何か胡散臭い感じがするけれど、サルマの考えがいかなるものか、この時の私には解らなかった。

 そして小さな疑問をさほど考えることもせずに、目の前にある別のことへと思考が移って行ったのだ。

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