冥界の愛

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身代わりの娘

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 [   やめよ ] 

ハデスの命がほんの少しでも遅ければ、ヘルメスの体には無数の剣が突き刺さる事になっていた。

一番にヘルメスに怒りの剣を貫こうとしていたのは、なんとドアの外にいて入ってくる瞬間にヘルメスの無礼な言葉を聞いた冥界の戦神ヘカテーだった。
その素早さは、速き事風の如し。

ヘルメスの心臓を狙って剣と暗器ナイフが多数。
あとは死神タナトスがいつもしている様に後ろを取って喉を掻き切ろうとしており、
愛犬ケルベロスが腹に食らいつき内臓を食い破ろうとしている直前だった。


主の命には逆らえない。
ピタッと体は硬直し、指先すら動かす事はできないが、ヘルメスを睨み続けている二人と 一匹?(3頭?)

ハデスが椅子に取り残されてるヒュプノスに向かって言う。

「 そこの花を持って来てくれ 」

ヘカテーが部屋に入って来るなり落とした花をヒュプノスがハデスの元に届ける。

「 はいどうぞ、ハデス様」
「 ありがとう ヒュプノス 」


へへへへ~

ハデスに礼を言われて嬉しそうなヒュプノスの締まらない笑声が皆の硬直を溶かす。


まだまだ怒りが治らない

ハデス様に無礼は許さないとヘカテーが灼眼を燃え上がらせる。タナトスが黒いオーラを纏わせてヘルメスに向けてスーッと目を細める。獲物を狙う豹の眼だ。
ハデスの足元に帰ったケルベロスはもう無視を決めた様で3頭共にあちらを向いてる。

そんな触発の中 ハデスが花を手に取るとボウっと光り始める。

そこには
地上でコレーが界渡りの花に話しかけてる所から、力を流し出した時、冥界の結界を破りここに来てしまった事など
全ての事情がわかる記憶が映し出された。


ハデスが攫って来たわけでもなく、コレーが役目として花に力を流した結果、界渡りの花が作動してしまった。

じっと花の記憶を見ていた皆がヘルメスに謝罪の言葉を要求する様に再び見つめる。


しかし、ヘルメスも大凡はわかっていた様子であまり驚いたりはしていない。
なぜあんな事を言ったのか?
皆を怒らせてまでハデスの何を見たかったのか?試したかったのか?

相変わらず、真実を隠す油断ならない使者だ。



「ご無礼を申し訳ございません。
事情はわかりました。
では、デーメテール様の御子神様は私が一緒に地上まで御連れして帰りますので、よろしくお願いします。
どちらにいらっしゃるのですか?お迎えに参りますが。」


そう言うヘルメスに向かってハデスは はっきりと言った。







「 駄目だ。連れ帰る事は許さない。」



「 なぜですか?
今 花の記憶を見せてもらったらどう見ても事故じゃないですか?
コレー様は自ら望んでこの地にやって来たのではない。だからこちらの事情の時は 再び生き返る事ができるのでしょう?

本来ならこの地に辿り着くまでに三ツ辻四ツ辻で元の道に戻ってしまう様になっているでしょう?
私も長く旅する者に四つ角などで選択をかけての供物を捧げられます。安全に旅する道は?危険の無い道はどれか?どの道が冥界に繋がってしまうのか?などと。ですが山賊の隠れている道は間違える事もあるが、冥界の道は隠れており人たちなどでは例え間違えても戻り道になっており、冥府に行く事はできない。

それはこの冥界が生きたまま冥府に来る事を許していない、結界を破る事ができない証でしょう。

なのに、間違えた訳でもないコレー様に咎を与えて地上に返さないんですか?

このまま冥界にやってきたコレー様を気に入って留めおくつもりでしょうか?」


ヘルメスはハデスを見上げて言う。







「 やはり
 かつて恋人同士であったデーメテール様と結ばれなかった代わりとして、コレー様を手に入れたからでしょうか? 」







次は少しお休みします。


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