冥界の愛

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ヘルメスとコレー

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 いつものようにケイロンのスカウトに失敗したヘルメスは、本来のお仕事としてコレーの姿を確認する事を要求する。

しかし寝ている女性を覗き見することはお世話を任されたケイロン並びに冥界の名誉に厳しい女神のヘカテーが許さないだろうと言われた。
ならば、コレーが起きてくるまでヘルメスも待つか、一旦帰るかのどちらかだが。

ヘルメスは考える。
「 さっきのケイロンさんの結界の話を聞いてる限り、ハデス様にもコレー様は守られている様ですね。」

ケイロンも考える。
「 いや、私は結界の上塗りがされている可能性を言っただけでそれがハデス様がしたとはノーコメントですよ。」

思い出した様にケイロンがヘルメスに釘をさす。
「 もしもコレー様にヘルメスさんの姿が見つかってしまったとしても、お名前を呼ぶことはハデス様に禁じられています。ご存知ですか?」
何せ連れ出そうと無茶をするつもりだったヘルメスに言うが、聞いてなかったのかヘルメスはびっくりした顔をする。

「 記憶が混乱している今、私にも顔を見せるなとは言われたけど、ここの人達さえも名前を呼ばない様に徹底されてるなんて。結界の事と言い、ハデス様は本当に随分と大事にしているんだ。」


しばらく考えてから、もう一度コレーの扉の前で気配だけでも、いる事を確認してだけはさせて欲しいと頼むとヘルメスは許可を待った。

それで一旦帰るつもりだった。とりあえずゼウス様やアポロン様にデーメテールのおばさんに無事な事を報告だけでもする為に帰りたかった。



=○


コレーの部屋の扉の前には なんとヘカテーまでも待っていた。流石に過保護でヘルメスは心の中で苦笑した。

( 何も襲ったりしないって 。まぁ連れ出そうとしたのが、結界を弄ったからバレてるのかも知れない )
とは思ったがいつもの外交様のアルカイックスマイルで、

「 ヘカテー様、ご苦労様です。コレー様は目覚められたご様子はないですか?」
と聞く。


最近、眉間の皺が常備となってしまったヘカテーが目線だけで否定する。
「 では、失礼してと。」言い扉越しに中の気配を探る。

途端にバチバチとあたりに電気が走る。


大体、雷イカズチ系はうちの主の十八番おはこなのに!と少しムスッとしてしまい、背後に付いてきたケイロンに向かって

「 いくらなんでもここまで頑丈な結界では全く中の気配は探れませんよ」

と不満を述べた。


ケイロンはその結界を外す要望を受けたが、口元をニヒルに歪めて肩をすくめた。そうケイロンの結界はとっくに解除してあったのだ。
なのに、よほどの強い力で守られているのだな。ヘルメスはオリュンポス12神の中でもゼウスの使いをするほどの実力ある者だ。その者を持ってしても気配すらわからないとは。この結界が誰がこの部屋を守っているのかは一目瞭然だった。


抗議に行こうとするヘルメスを止めたのはヘカテーだった。
黙って天上を睨むと

「 主! 私もケイロンもおります。この小僧如きに連れ出すことはさせません。そんなに我々が信用できませんか?」

そう ヘカテーが抗議すると、ようやく少しだけ気配が緩んだ。

急いで中に力を注ぐ。今度はバチバチ鳴らなかったが、かなりわかりにくい。コレーの存在感を感じる事ができたが、せいぜい生きており、中に居てるのがコレーだとわかる程度で。起きてるのか?寝ているのか?眠らされてるのか、などは いつものヘルメスでは簡単な事がこの結界の前では全く歯が立たなかった。


もういいだろうとばかりに、結界が元に戻る。

雨の岩戸かよ? 上ではデーメテールが下ではコレーが。
「全く」
そう誰に向かってか わからない愚痴が出る。

そして
思わず、「 大丈夫なのか?コレー 」と口に出た。





元々、コレーはアポロンやヘルメスとは幼い頃によく遊んだ仲間だったのだ。ヘルメスが自分の母の事をあまりよく思っていないのを知っていたコレーは母には内緒にしていた。
幼いころから知ってる気を許した者が心から心配して出てしまった本音だったから、部屋の中のコレーに届いてしまった。
悪意ある大声の呼びかけでは無いからこそ、結界を超えたのだろう。



ヘルメスの声に反応する様に
ベッドで寝ているコレーの寝言が聞こえた。






 「 ん~にゃ?  おいしいね~ 」




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