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気にするなって気になるよ
しおりを挟む考えこんでしまったデーメテールを置いて、ヘルメスはゼウスにアポロンの所にも報告に行ってもいいかと尋ねる。
「あぁ。すまないがアポロンにも話してやってくれ。気にしてるだろうしな。」
と返事をした。
しかし、すぐにアポロンの元に向かおうとはせずに、デーメテールから少し距離を取りゼウスを見つめる。
ゼウスは( 僕への伝言?)とヘルメスの意図を察する。
ヘルメスは、ゼウスにゆっくりと伝えた。
( 冥界の王は、
『 もういい加減気にするなって言ってやってくれ…』
とおっしゃってました。)
世界の全知全能の神は、一瞬たじろいだのちに 先程デーメテールがした様にまるで泣き出しそうな苦笑いを浮かべる。
兄さん
気にするなって無理だよ。気になるよ。それができればどんなに楽か。
片手で顔を覆ったゼウスが、そう呟く。
そうして微かに震えるデーメテール肩を見ながら遠い昔を思う。
神々の戦いの勝利の後、
あの混乱している最中に、何もかも後始末を兄さんに押し付けて。
今でも冥界で闇の中で怒りや恨みを押さえ込んでくれている。長い長い時が流れてしまい、こちらは何事も無かった様に暮らしている。
そこに何もかも捨ててしまい忘れ去り、まるでもう消えてしまったかの様に。
そんな簡単に怒りが収まるはずも、恨みが消える訳はないのに。自分たちに災いが降りかかなければ、相手の怒りや無念、憎悪、悔しさ、恨みなど綺麗に忘れているだろう。
そちらの凄まじい力で未だに押さえ込んでいるその苦労など、思い出しさえもしない暮らしが続いている。
それなのに、かつての愛しい女は地上にいて。
しかも、その愛しい女は手は出されたが后にもなっていない。
地獄を押し付けたその張本人と、愛しい女との娘が偶然にも冥界に落ちる。
結構ヘビーな状況だよね兄さん。
これで何を気にするなって言ってるの?
僕なら迷わず復讐一択だよね。
その子を取られると実際こっちもかなりヤバい状況だったんだよ。デーメテールがやっぱり大地の恵みの力を解放できなくて。これ以上、娘やらとにかく子供を取り上げられると、彼女の力の根源は溢れる母性だからね。母としての愛情それがポキッと折れてしまう。
今は帰ってくると信じてなんとか保たせてる。それでもこの冬程度だからね。地上界は人間界はおしまいになるかも。
きっとヘルメスは使役として最低限の状況しか伝えてないと思うけど、兄さんならもう見えてるよね?
だからこそ慎重に元気なままであの子が帰れる様に面倒見てくれてるんだろう?
今回もまた甘えるばかりだなぁ。
兄さんが本当に望むなら俺は何もかも全てを譲るつもりだよ。俺の命でも。
「 兄さん、ごめんね 」
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