冥界の愛

文字の大きさ
34 / 107

『DO NOT DISTURB 』か 引きこもりか?

しおりを挟む


 ポトってなんか、おちてきた。お手てにあたってちょっとつめたい。
なぁに?と、おもって目をあけるとママだった。

ママ ないてるの?
どうしたの? どこかいたいの? さみしかったの?わたしが寝てておしゃべりできなかったから? ちがうの?
おなかすいたの?

って言ったらママが笑ってくれた。お腹空いた?ってニッコリ笑って聞いてくれたから うん!って言った。そうしてギュッと抱きしめてくれた。




ママが、かあさまが、泣いてる。






久しぶりに小さな頃の夢を見た。
ゆっくりと意識が上がってくる。

 時々、私の寝顔を見ながら泣いていたの知ってたわ。時々、違う名前呼んでたでしょう?謎だったけど、いつもニコニコのお母様が本当に切なそうな声で呼ぶから結局、誰の事か聞けなかった。
 だって私への愛情は疑いもなくたっぷりと注いでくれた。
 側のニンフ達が「ホント食いしん坊の所は良く似てますね」って言われたけど。幼い頃はママと似てると言われて嬉しくて一緒に声を揃えて

「これ、おいしいね~」

とよく言ったわ。大きくなって段々とわかって来た。
私と母はあまり似てないんだわ。
母は私が似てると言われると上機嫌になるから余計にあんな風に声を揃えていたのね。
どこか不安そうだった。まるで間違いなく私の娘だからって何か大声で言いたがってる様な不安定感が、時々心配だった。
 でも、母は紛れもなく私の本当の実母だったし、見た目はともかく私達の力は瓜二つだった。
もちろん私の力の使い方を教えてくれたのが母だから、そうだと思っていたが、そういう問題では無いとニンフ達が教えてくれた。


「〇〇様は将来、お母様の様な大地の女神の役目を引き継ぐんでしょうね。」







  え? なんて言ったの? 〇〇様って何ーーーー! えーーー!


ガバっと枕から頭を起こした。


どこまでが夢なんだか?
もうわからないけど、後一歩もう少しで自分の、名前思い出したのに~。
このタイミングで目覚めるのか~い。


 がっくりと頭を垂れていたが、周りの良い香りに気がつくと部屋中お花だらけ💐🌼🌸だった。
せめてこっちの夢 見ようよと思ったけど女子力の無さは仕方ない。

たっぷりな水を吸って綺麗に咲いている花を見ながら(ごめんね)って謝った。
少し力を流すと自ら花びらを揺らす。
(いいのよ、選ばれて嬉しいわ)
って返って来た。

たくさんの花達の為に少しでも長く生きてもらえる様に せめて風を送ろうと立ち上がりお部屋の窓を開けに行く。

少しだけ窓を開けると気持ちの良い風が丘の方から流れて来た。
部屋の花達もみんな嬉しそうに揺れていた。
部屋の全ての花達に回復の力を流した所で、控えめにドアがノックされる。




「 はい 」

と返事する。

「お目覚めでしょうか?入ってもよろしいですか?」

慌てて居住まいを正す。

「はい、大丈夫です」

と、返事をしたら
ゆっくりと扉が開いてケイロンさんが中に入ってくる。

「お疲れの方はどうですか?少しおやすみになれましたか?外がうるさくて目が覚めてしまったでしょうか?」

と、声をかけてくれる。


「 いいえ。もしかして何度もお声をかけて頂いてだんでしょうか?気がつかずに申し訳なかったです。ぐっすりと休ませてもらって久しぶりに夢を見ました。」

「いえいえ。今、初めてですよ。
いい夢を見れましたか?
うちには望む夢が見られる様な力を持つ者がいてますよ。またおっしゃって頂ければ。」

「へー、面白いんですね。その方はどんな夢でも見られる方はきっと良い夢ばかりなんでしょうね。」

「いやいや、彼は引き受けた悪夢を代わりに見せられる様ですよ。」

「 それはお気の毒です。お願いできないじゃないですか。」

「まぁその人にとっては悪夢をでも、他人から見たら絶世の美人にでも迫られてるいい夢になる事もありますしね。ハハハハハ 趣味嗜好は人それぞれですね。」

「ふーん。 まぁ色々な好みの方が居てる『お陰で世の中が上手く回ってるんですわ』ってのが私の側に仕えてくれてるニンフの格言なんです。それと同じですかね。」

「お? お嬢さん思い出して来ましたか?」

「はい、まだ全部ではないですが所々で思い出してるみたいです。」

「そう、それは良かった。でも、頭が痛くなったり 気持ち悪くなったりしたら少し休んでくださいね。」

「はい、ありがとうございます。でも頭が痛くなったりするんですか?」

「私もお嬢さんに休んでもらってる間に少し調べたんですが、
界渡りの花の記憶障害はそれぞれまちまちみたいです。
 初めからわかって使うときには時間が経てば思い出すように 先に解毒剤の様に薬を飲んどくらしいですが、そんな余裕が無くて緊急の時の記憶障害は結構長くかかる者もいてた様です。
 人や神でない物を送った時に最後まで飼い主がわからない事になったりする例もある様ですが、人や神もしくは神の血を継ぐ者の場合は時間がかかっても、最後まで思い出さないという者は居ませんでした。
 だから、とりあえずは安心なさって下さい。
ただ、さっき言った症状が出る者も居てる様です。
 お嬢さんの癒しの力が回復しない様ならば、本来なら私の薬を飲んでもらいたいんですが。飲んだり食べたりするのが禁止されてるので、誰か痛みを和らげる力を持つ者を呼ぶか、こうしてせめてリラックス効果のある花を並べたんです。」

「素敵なお花達をありがとうございます。お陰で様で癒されました。痛みもなく少しずつ記憶を取り戻しています。ご迷惑をおかけしてますがもう少しだと思います。」

「 それは良かったですが、この花の礼はハデス様に仰ってください。ハデス様が自ら向こうの野原からこの部屋の前まで運ばれてまして、皆あまりの驚きにお声をかけるのも忘れてしまいました。
できれば中に飾って差し上げたいと部屋の外の者から私に連絡が来て、眠っていらっしゃいましたが、失礼して女性陣だけで中に入らせてもらいました。勝手に入ってすみませんでしたね。」

私はヘカテー様にお手数かけたかなと少し頭をよぎりましたが、なんだか察した様でケイロン様が
「皆、ここの手伝いの者達ですよ」と伝えてくれた。
本当にここの方達は心が読めるのかしら?ほら、また首を振って笑ってらっしゃるわ。


 「さてと、お嬢さん。体調の方回復されたのなら少し私と散歩に行きませんか?
ミノスも口煩くしてますし、カロン殿もしばらく休んでる事を心配されてましたよ。
それとももう少しおやすみになりますか?」

 ケイロンさんが外に出る事を誘ってくれたが私は首を横に振った。


「  ここでハデス様の面会を待とうと思います。順調に記憶も戻ってきている様ですし。ケイロン様にもお手数をおかけしました。もし、お会いになるのならばハデス様にお花のお礼を伝えてもらえないでしょうか?」

わたしがそう返事すると、少しビックリした顔をして尋ねる。

「 何かお気に触ることがございましたか?」
「 とんでもないです。本当によくして頂いて反対に申し訳なく思うぐらいです。」
と言うが、ケイロン様は尚も尋ねる。

「では、何故に引きこもろうとするんですか?
思い出して冥界の怖い気持ちが出ましたか?」

私は慌てて否定する。
 「 それこそ本当にとんでもないです。でも、記憶が少し戻っても やっぱりあまり冥界の事は知らないみたいです。怖いとかではなく死後にみんなそこに行くんだという認識程度ですし。」

ケイロン様は尚も私に続きを促す。
仕方なく私は本音をお話しすることなった。

「 ただ、全てを忘れて帰ってしまうにはあまりに ここの方達が素敵なんです。
お別れがこれ以上辛くなるのは、困るんです。」

そう言ってケイロン様から目を逸らす。部屋の花々が慰めてくれる様に揺れ出す。






「もう しばらく 私眠っている事にしていただけませんか?」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~

伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華 結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空 幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。 割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。 思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。 二人の結婚生活は一体どうなる?

籠の鳥〜見えない鎖に囚われて✿❦二人の愛から…逃れられない。

クラゲ散歩
恋愛
私。ユリアナ=オリーブ(17)は、自然豊かなオータム国にあるグローパー学院に在籍している。 3年生になって一ヶ月が経ったある日。学院長に呼ばれた。技術と魔術の発展しているフォール国にある。姉妹校のカイト学院に。同じクラスで3年生の男子3名と女子3名(私を含め)。計6名で、半年の交換留学をする事になった。 ユリアナは、気楽な気持ちで留学をしたのだが…まさか学院で…あの二人に会うなんて。これは…仕組まれていたの?幼い頃の記憶。 「早く。早く。逃げなきゃ。誰か〜私を…ここから…。」

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

落ちこぼれ村娘、拾った王子に溺愛される。

いっぺいちゃん
恋愛
辺境の村で育った元気娘 ミレイ。 ある日、森で倒れていた金髪の青年を助けるが、 実は彼は国一の人気者 完璧王子レオン だった。 だがレオンは外に出ると人格がゆるみ、 王宮で見せる完璧さは作ったキャラだった。 ミレイにだけ本音を見せるようになり、 彼は彼女に依存気味に溺愛してくる。 しかしレオンの完璧さには、 王宫の闇に関わる秘密があって—— ミレイはレオンの仮面を剥がしながら、 彼を救う本当の王子に導いていく。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。 ※この作品は「小説家になろう」でも同時投稿しています。

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について

えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。 しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。 その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。 死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。 戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

処理中です...