冥界の愛

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忘れて生きていく

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 結界の外まで送り出すように命を受けたアスカラポスは、戸惑っていた。



 何故?何があったのか?順調に結界の壁をお渡りになっていた地上界の大地の女神の娘であるコレー様が、(ここでペルセフォネ様となられた方が)不意に立ち止まり、手元の花を見つめたまま固まってしまった。そのまま後ろ姿が一向に動かない。

 不用意にお声をかけてしまっては、此方を後ろを振り向いてしまっても困るし。

 どうするか、、、、。何が起こったんだ?


 そう思っていると、両手で持っていた花を片手に持ち替えて もう片方の手を足元あたりに何か探っている。

 そうだ。 確か足を怪我されていた様だった。服に血が滲んでいた。血が滲んであたりに手を当てているようだ。その足が痛くて立ち止まっているんだろうか?

 そう考えると私は決心して声をかけた。


「コレー様、振り向かずにお聞きください。足が痛むとは思いますが、もう少しです。向こうにつけば痛みを和らげる薬も手に入ります。どうかお急ぎください。
本来はこれは冥界の入り口であって出口ではないのです。生きたまま地上界に出る事はないのです。それを無理矢理に反対に入り口側に何もないのに力で扉の内側から開かせているのです。万が一でも、途中で閉じてしまって挟まれたりしたら、物理的にどうなるかよりも永遠にどこに飛ばされるのか?予測もつかないのです。時空か空間の迷い人となってしまい、元に戻るどころか、探すは不可能なのです。どうかこのまま流される様に前にお進みください。お願いします。私はハデス様より、無事に母君の所にお戻りになる様にヘルメス様に引き渡せとの命を受けております。どうかお願いします。」


 私の説明を聞いて納得された様で、さすっていた足元あたりから片手を出してこられて、何か握って?ん? 今度は何か顔に手を持っていった。まさか泣いておられたのか?涙を拭っておられたのか?後ろ姿だけではよくわからないが。

 記憶が無い今 『悲しい思いはさせたくない』と主が気にしておられた。泣いている様に見えるのは気のせいか?


 しばらくすると、決心したかのようにまた歩き出したペルセフォネ様は、多分それが結界の最後だとわかったのだろう。


「お見送りありがとうございました。皆様にも感謝をお伝え下さい。ではまた会う日まで!」

と、最後に仰って 振り向かずに鉢植えを揺らして別れの合図をして消えていった。



 そうですね。また会う日まで、see you again は、永遠の別れ、今後はもう二度と会えないさようならです。どうか、お元気でペルセフォネ様。
 
 



~~~~~~~~~~~~~~

  
 その頃、Kerberosを撫でながらある男が黄昏ていました。



 あぁ、行ったか。

彼女の気配が冥界から消えたな。

無事に結界を越えて帰ったならよかった。

 それにしても、ここしばらく忙しかったな。

 嵐のように色々とあった。皆もしばらくは寂しく思うだろう。


だが、これで良かった。

 『俺の唯一』

あの時、カオスから助ける為とはいえ勝手に『俺の唯一』にした事は彼女の記憶の中で消えているだろう。すまなかったな。
 でも、その事は誰にも知られなくて、このまま過ぎるだろう。



 君の一番輝ける場所で暮らしてて欲しい。君の幸せだけが、俺の唯一の願いだから。

 忘れて生きてくれ。
 この冥界は君には似合わないだろう。
 君にとっては、『唯一』では無いから大丈夫だよ。君に相応しい場所で相応しい相手と幸せになってくれ。


君が幸せそうに笑ってるあの姿を思い浮かぶ、あのデーメテールの丘で。


 どうか幸せに、俺の唯一よ。



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