64 / 107
カエラネバ、カエサネバ
しおりを挟む~もう二度と俺を思い出さない~
「本当に眠っているだけか?」
「はい。私が診たところ大変お疲れのご様子でした。」
意識を失ったペルセフォネを心配したハデス様の命で、冥界の医者が冥府宮の客間に呼ばれた。
冥界で暮らしてるからといって何も病気もなく、いつも元気で体調万全とは限らない。いや、元気いっぱいの冥界は想像しにくいが。
とにかく、死者として肉体を持たずにこの冥界に存在している者もいれば、不老不死の神の肉体を持ったまま冥界で暮らしている者もいる。
さすがに死後の国で、これ以上死ぬ様な事は無いが、心の持ち様なのか、地上での病気の症状が出てくる者もいてる。
そこで、天上界地上界ときっての医学博士のケイロンが、今ではここ冥界の主治医殿となっている。まぁ、たまに地上の森の奥底にしか咲かない薬草を調達しに地上界へ渡る事もあるそうだ。地上に行くために、黒いマントの人の姿に変身する。(その姿を見て「ブラックジャックだ」とミノスに言われ「海賊の旗?そんな悪趣味なマントは着てないが」と、大真面目に返事をしたケイロンだが。遠い未来の弟子の一人が本当にブラックジャックだった。)
その大賢者医学博士のケイロンの見立てに異を唱える愚かな者がいるはずもない。
「本当に寝てるだけなのか?」
いました。溺愛馬鹿なんでしょうね。
「はい。何度も言いますが、忘却水の作用で体調が悪くなったという訳ではなさそうです。ただ色々な事が急に体験された様でお客様の意識が疲労されていると出ております。
もしかしたら、冥府宮のお部屋を出てからずっと気を張ってる状況だったのでしょう。それで、さすがに緊張の糸も切れたと言えばご納得して頂けますか?」
「わかった。ケイロンありがとう。目を覚ましたらまた部屋に行って診察してくれ。」
「畏まりました、冥府王様」
と、報告にきたケイロンは 冥府王の部屋から退室する。
その後、ハデスは一人部屋で考える。
量としては僅かになった様だが、確実にペルセフォーネに忘却のレテの河の水がかけられた。
次に目が覚めた時には何も覚えてないだろう。
何も…。
誰も…。
それでいい。
君は君のふさわしい場所で生きて行く。
君の笑顔が見れる場所に返そう。
一刻も早く。
何故かここが痛くなり、味わった事のない激情が押し寄せる。
必死に抑えているが、これが「唯一の定め」の力なのか? ある意味本当に恐ろしい。
だが、それでもやっぱり 君は笑顔でいてくれないと。
この冥界の奥深くまで引き込んで囲い込み閉じ込めてしまいたい欲望を、いつまで無視もできるか?初めてそんな欲望を持ってしまい、抑制の仕方も分からずに無駄に力を放出するから、冥界の(入り口の一つと言われてる)テ・メハニ火山がずっと大炎を噴き出しまくってる。
優しいあの子に悟られてはいけない。悟られる前に地上に戻さないといけない。
何より、彼女と同じで地上を愛しんでる。
小さき人達やニンフ達に囲まれて母親の側にいるあの子を思い出せ。
…そうだ。 カエサネバ…
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
籠の鳥〜見えない鎖に囚われて✿❦二人の愛から…逃れられない。
クラゲ散歩
恋愛
私。ユリアナ=オリーブ(17)は、自然豊かなオータム国にあるグローパー学院に在籍している。
3年生になって一ヶ月が経ったある日。学院長に呼ばれた。技術と魔術の発展しているフォール国にある。姉妹校のカイト学院に。同じクラスで3年生の男子3名と女子3名(私を含め)。計6名で、半年の交換留学をする事になった。
ユリアナは、気楽な気持ちで留学をしたのだが…まさか学院で…あの二人に会うなんて。これは…仕組まれていたの?幼い頃の記憶。
「早く。早く。逃げなきゃ。誰か〜私を…ここから…。」
カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華
結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空
幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。
割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。
思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。
二人の結婚生活は一体どうなる?
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
落ちこぼれ村娘、拾った王子に溺愛される。
いっぺいちゃん
恋愛
辺境の村で育った元気娘 ミレイ。
ある日、森で倒れていた金髪の青年を助けるが、
実は彼は国一の人気者 完璧王子レオン だった。
だがレオンは外に出ると人格がゆるみ、
王宮で見せる完璧さは作ったキャラだった。
ミレイにだけ本音を見せるようになり、
彼は彼女に依存気味に溺愛してくる。
しかしレオンの完璧さには、
王宫の闇に関わる秘密があって——
ミレイはレオンの仮面を剥がしながら、
彼を救う本当の王子に導いていく。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
※この作品は「小説家になろう」でも同時投稿しています。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる