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ライバルとの初遭遇。因縁の始まり。
しおりを挟む「はう、うううーーーん!」
と、両手を思いっきり上に伸びあげて気持ち良さそうなのびをする。うん、目が覚めた。
「あーよく寝た!スッキリした!」
あら?そう言えば、また寝てた。
嫌だ、こんなにお腹出て寝ちゃってた。恥ずかしい。誰も見てないわよね?
急いで上着でお腹を隠すと、キョロキョロと周りを伺う。
幸いにして誰もいない様だ。
でも、どうしよう。
「誰もいませんか?」
と、小声で辺りに話しかけるが返答はない。そっと部屋の扉を開けて外に出てみる。
すると、冥府宮の裏の森で何やら黒い影が見えた。
何だろう?何かの動物かしら?
そっと、近づくと何やら一生懸命に首を伸ばしているが美味しそうな木の実に届かなくて困ってるみたいだ。
何で立ち上がらないのだろう?と不思議に思ってそばまで行ってみると、
なんと!体から、もう二つ頭があって、その頭はどうやら仲良く もたれあいながら眠っているらしかった。
その起きている一頭が一生懸命首を伸ばしてる。まぁ他が寝てるから体も起き上がれないのね。
これが食べたいの?
そう思ってお人好しのペルセフォーネはそっと手を伸ばして木の実を摘み取ると一頭の口まで持っていってあげた。
すると、少しビックリした顔をしていたが、届かない木の実を取ってくれたと気がついたその一頭が嬉しそうに大きな口を開ける。
口に入れろって事かしら?
そう思って一頭の口の中にそっと入れてやるとニコニコしている。
ふふふふふ。 これ、可愛い!!
その内に、食べて終わった木の実を催促する様にまた口を開けた。
もう一つ二つと、木の実を取って口まで運ぶとあんまり欲張り過ぎたのか?木の実のジューシーな汁が口の周りに滴り落ちて、大きな口と立派な犬歯が木の実の赤で汚れてしまっている。
ふふふ。こんな可愛い💕ペット欲しい
可愛いけど、お口がベトベトになるわね。
そう思ったペルセフォーネが自分の服で拭いてあげようと屈んで、顎から口元まで手を添えたその時、
『 止めろ!! Kerberos!! 』
と、大声で静止の命令と共に私に向かって何かバリアみたいなものが覆いかぶった。
ビックリした‼️なんだなんだ?大きな声で!
あ~~、ビビった!
それは目の前の可愛い子ちゃんも同じだった様で、ビックリして、食べた木の実が喉に引っかかった様だ。
ゲホっゲホゲホっと苦しそうだ。
大丈夫?水は?どこかに水がないかしら?
そう思って辺りを探していると、向こうからさっきの大声を出しであろう人がこちらに駆けつけてくる。
「大丈夫か?怪我したのか?
この子達は普段は大人しいいい奴なんだが。君に噛みついたりしたんだろうか??
どうして……」
と、言ってるほうが余程痛そうな苦しそうな表情で。
「どこも何とも無いですよ。噛まれてなんかいないですよ。」
と言うと、心底ホッとした様にしゃがみ込む。
そして口から転がって木の実を見て
「柘榴か、、、、。だから赤い汁だったのか。てっきり俺はー」
すっかり目の覚めた他の2頭も、事の顛末がわかった様でジトーっとやや非難の目で見ている。
「すまなかった。私が誤解してしまった。」
まるで、裏切られた妻が夫を見る目の様な非難の視線だったので思わず笑ってしまった。
そして森のすぐそばに泉があるみたいで両手でスカートを受け皿にして水を汲んで来てあげた。
水を飲んでようやく咳き込みが治った一頭の可愛い子ちゃんを「良かったね」って撫でてやると、「ありがとう」って喋った!
え?犬が喋った?!まさか、またどこかの神が変身してるの?と、ビックリしてると、慌てて他の2頭が咳払いしてる。
あーバレたら不味い系なのね。
はいはい、空気の読める女だから、空耳だとしてあげましょう。
それぞれ三頭とも可愛いなーと思って
「ハデス様のお友達(飼い犬)なんですか?」
って聞いたら、こっちも、ビックリした目で見開いてた。
ん? なんか不味かった?
今度は空気読んでないか?
そう考えたが、思い当たる事がなかった。
「やっぱり少量ではダメなのか。」
そう つぶやいて、急いで来た道をトボトボと冥府宮へと戻って行った。
ただ、ハデス様の後ろ姿の背中がしょんぼりした中で何故か、跳ねている後ろ髪だけは少し嬉しそうに見えた。
何がお気に召さない事したかしら?何かやらかした?と頬に手を当てて考えていると、
「お前のせいだかな」と後ろから低い唸り声が聞こえた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
さあさあ、因縁の対決
〈ペルセ VS Kerberos〉のゴングが鳴り響きましたよ。
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