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第一章 中核都市デン・ヘルダー
第二十話 父娘の再会
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小一時間で鮮血の涙の飛空艇は、デン・ホールンに到着する。
海賊の飛空艇が領主の城前の広場に着陸したため、一時的に騒ぎになったものの、ツバキとホドラムがその場を上手く取り繕った。
ジカイラ達を始め、関係者は領主の城の謁見の間に集まり、善後策を協議することとなった。
蜥蜴人の族長ダグワ・ドルジが、二人の蜥蜴人戦士を伴い、領主の城にやってくる。
ダグワと二人の戦士は、謁見の間に案内され、中に入る。
「お父さん!!」
その声の主は、蜥蜴人の族長の娘クランである。
「クラン!! 無事だったか!!」
ダグワは、駆け寄って来るクランを抱き締める。
父娘の再会の場面に、その場に居る一同が感じ入る。
ティナが二人に歩み寄り、話し掛ける。
「良かったね。クラン。お父さんに会えて」
クランはダグワの胸から離れ、ティナの両手を握る。
「ありがとう。ティナ。お父さん、この人達が私を助けてくれたんです」
ダグワはジカイラの前に歩み出ると、片膝を着いてジカイラに頭を下げる。
二人の蜥蜴人の戦士も、ダグワに倣って片膝を着いてジカイラに頭を下げる。
「娘を助けてくれて感謝する。この御礼は、どうすれば良いだろうか。我々にできることがあれば、何でも言ってくれ」
ジカイラは少し照れながら答える。
「まぁ、『御礼』は、ひとまず置いといてだ。こいつらがクランを誘拐した犯人だ!」
そう言うとジカイラは麻袋を取り出し、逆さまにして、その中身を謁見の間の床の上に放り出した。
麻袋から出てきたのは、秘密警察戦闘員の首と鉤爪のある右手。
それは、首だけ、右手だけになっていても、床の上で動いていた。
それを見た領主アイゼンブルクやホドラム、鮮血の涙、ダグワ達は驚愕し、ツバキやクラン、ヒナ、ティナは、動く首と右手から目を背ける。
アイゼンブルクが尋ねる。
「何なんだ!? そ、そいつらは?? 首だけ、右手だけになっていても、まだ生きているのか?」
ジカイラが答える。
「此奴等は、革命党秘密警察の戦闘員。食屍鬼だ。『怪力で素早く動く死体』と言ったところだな」
鮮血の涙が呟く。
「食屍鬼・・・」
ジカイラは、海賊剣の柄で戦闘員の首を叩き、面頬(めんぼう:顔面と喉を覆う装甲)を外す。
天井の照明が戦闘員の素顔を照らしだす。
死体のような『人ならざる者』の醜悪な顔であった。
周囲に居る者達の顔が強ばる。
ジカイラが続ける。
「此奴等は素早いうえに怪力だから、組み合ったりするな。潰されるぞ。無力化するには、首を切り落とすしか無い」
ホドラムが口を開く。
「不死者なのか?」
ジカイラが答える。
「そうだ。不死者だ。ティナの神聖魔法で接近を防ぐことはできるが、厄介な相手だ。敵の正体は、知っておく必要があるだろう」
ツバキが口を開く。
「これから、どうすれば良いのでしょう?」
ジカイラが答える。
「クランの誘拐や、帝国政府から『テロ組織』に指定されている革命党秘密警察との関係が露呈したデン・ヘルダーの領主カッパは、皇帝や帝国政府に知られないように、全力でオレ達の口を塞ごうとするはずだ。秘密警察と関係した『国家反逆罪』は、死刑だからな」
ホドラムが尋ねる。
「具体的には?」
ジカイラが答える。
「今日、明日にも傭兵を集めて、此処に攻め込んで来るだろう」
アイゼンブルクが驚く。
「デン・ヘルダーの軍勢が、此処に攻めて来るというのか!?」
ホドラムも口を開く。
「こちらは警備兵に自警団を合わせても二百人くらいだ。中核都市であるデン・ヘルダーの軍勢は、三千人以上だぞ?」
鮮血の涙が一歩前に出る。
「私も加勢するわ」
ジカイラが礼を言う。
「それは助かる。飛空艇は大きな戦力だ」
ダグワも名乗り出る。
「我々も加勢させて貰うぞ! 娘を救ってくれた礼だ! 誘拐犯共に鉄槌を下してくれようぞ!!」
ツバキが答える。
「皆さん、ありがとうございます。力を合わせて乗り切りましょう!」
伝令の警備兵が謁見の間に駆け込んでくる。
「デン・ヘルダーから軍勢がこちらに向かってきます。その数、およそ三千! 半日程で、この街に来ます!!」
ジカイラが呟く。
「早速、おいでなさったか!」
ホドラムが尋ねる。
「さて、どうする?」
ジカイラが答える。
「この速さなら、敵は重砲や攻城兵器の無い、剣や弓といった軽装備の連中だ。戦いようはある」
ジカイラが続ける。
「まず、ヒナの魔法と鮮血の涙の飛空艇で一撃を加え、オレ達とドルジ達が突撃する! ホドラム、街の防衛や籠城の準備は任せたぞ!!」
鮮血の涙が答える。
「了解したわ」
ドルジも答える。
「心得た! 近隣の集落から戦士達を集めてくる!」
ツバキも口を開く。
「私にも手伝わせて下さい!」
ジカイラが答える。
「姫様は、ホドラムを手伝ってやってくれ!」
ツバキは、覚悟を決めたように答える。
「判りました!」
アイゼンブルクが皆に尋ねる。
「私はどうしたら良いんだ?」
ジカイラが笑顔で答える。
「領主は、そこに座って、デンと構えていてくれ!」
ジカイラ達は、街の防衛準備に取り掛かった。
海賊の飛空艇が領主の城前の広場に着陸したため、一時的に騒ぎになったものの、ツバキとホドラムがその場を上手く取り繕った。
ジカイラ達を始め、関係者は領主の城の謁見の間に集まり、善後策を協議することとなった。
蜥蜴人の族長ダグワ・ドルジが、二人の蜥蜴人戦士を伴い、領主の城にやってくる。
ダグワと二人の戦士は、謁見の間に案内され、中に入る。
「お父さん!!」
その声の主は、蜥蜴人の族長の娘クランである。
「クラン!! 無事だったか!!」
ダグワは、駆け寄って来るクランを抱き締める。
父娘の再会の場面に、その場に居る一同が感じ入る。
ティナが二人に歩み寄り、話し掛ける。
「良かったね。クラン。お父さんに会えて」
クランはダグワの胸から離れ、ティナの両手を握る。
「ありがとう。ティナ。お父さん、この人達が私を助けてくれたんです」
ダグワはジカイラの前に歩み出ると、片膝を着いてジカイラに頭を下げる。
二人の蜥蜴人の戦士も、ダグワに倣って片膝を着いてジカイラに頭を下げる。
「娘を助けてくれて感謝する。この御礼は、どうすれば良いだろうか。我々にできることがあれば、何でも言ってくれ」
ジカイラは少し照れながら答える。
「まぁ、『御礼』は、ひとまず置いといてだ。こいつらがクランを誘拐した犯人だ!」
そう言うとジカイラは麻袋を取り出し、逆さまにして、その中身を謁見の間の床の上に放り出した。
麻袋から出てきたのは、秘密警察戦闘員の首と鉤爪のある右手。
それは、首だけ、右手だけになっていても、床の上で動いていた。
それを見た領主アイゼンブルクやホドラム、鮮血の涙、ダグワ達は驚愕し、ツバキやクラン、ヒナ、ティナは、動く首と右手から目を背ける。
アイゼンブルクが尋ねる。
「何なんだ!? そ、そいつらは?? 首だけ、右手だけになっていても、まだ生きているのか?」
ジカイラが答える。
「此奴等は、革命党秘密警察の戦闘員。食屍鬼だ。『怪力で素早く動く死体』と言ったところだな」
鮮血の涙が呟く。
「食屍鬼・・・」
ジカイラは、海賊剣の柄で戦闘員の首を叩き、面頬(めんぼう:顔面と喉を覆う装甲)を外す。
天井の照明が戦闘員の素顔を照らしだす。
死体のような『人ならざる者』の醜悪な顔であった。
周囲に居る者達の顔が強ばる。
ジカイラが続ける。
「此奴等は素早いうえに怪力だから、組み合ったりするな。潰されるぞ。無力化するには、首を切り落とすしか無い」
ホドラムが口を開く。
「不死者なのか?」
ジカイラが答える。
「そうだ。不死者だ。ティナの神聖魔法で接近を防ぐことはできるが、厄介な相手だ。敵の正体は、知っておく必要があるだろう」
ツバキが口を開く。
「これから、どうすれば良いのでしょう?」
ジカイラが答える。
「クランの誘拐や、帝国政府から『テロ組織』に指定されている革命党秘密警察との関係が露呈したデン・ヘルダーの領主カッパは、皇帝や帝国政府に知られないように、全力でオレ達の口を塞ごうとするはずだ。秘密警察と関係した『国家反逆罪』は、死刑だからな」
ホドラムが尋ねる。
「具体的には?」
ジカイラが答える。
「今日、明日にも傭兵を集めて、此処に攻め込んで来るだろう」
アイゼンブルクが驚く。
「デン・ヘルダーの軍勢が、此処に攻めて来るというのか!?」
ホドラムも口を開く。
「こちらは警備兵に自警団を合わせても二百人くらいだ。中核都市であるデン・ヘルダーの軍勢は、三千人以上だぞ?」
鮮血の涙が一歩前に出る。
「私も加勢するわ」
ジカイラが礼を言う。
「それは助かる。飛空艇は大きな戦力だ」
ダグワも名乗り出る。
「我々も加勢させて貰うぞ! 娘を救ってくれた礼だ! 誘拐犯共に鉄槌を下してくれようぞ!!」
ツバキが答える。
「皆さん、ありがとうございます。力を合わせて乗り切りましょう!」
伝令の警備兵が謁見の間に駆け込んでくる。
「デン・ヘルダーから軍勢がこちらに向かってきます。その数、およそ三千! 半日程で、この街に来ます!!」
ジカイラが呟く。
「早速、おいでなさったか!」
ホドラムが尋ねる。
「さて、どうする?」
ジカイラが答える。
「この速さなら、敵は重砲や攻城兵器の無い、剣や弓といった軽装備の連中だ。戦いようはある」
ジカイラが続ける。
「まず、ヒナの魔法と鮮血の涙の飛空艇で一撃を加え、オレ達とドルジ達が突撃する! ホドラム、街の防衛や籠城の準備は任せたぞ!!」
鮮血の涙が答える。
「了解したわ」
ドルジも答える。
「心得た! 近隣の集落から戦士達を集めてくる!」
ツバキも口を開く。
「私にも手伝わせて下さい!」
ジカイラが答える。
「姫様は、ホドラムを手伝ってやってくれ!」
ツバキは、覚悟を決めたように答える。
「判りました!」
アイゼンブルクが皆に尋ねる。
「私はどうしたら良いんだ?」
ジカイラが笑顔で答える。
「領主は、そこに座って、デンと構えていてくれ!」
ジカイラ達は、街の防衛準備に取り掛かった。
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