62 / 64
第三章 中核都市エームスハーヴェン
第六十ニ話 帝国軍の到着と王国軍の撤退<完結>
しおりを挟む
エームスハーヴェンの城門から、ケニーとルナ、ティナが馬に乗ってジカイラ達の元へやってくる。
ジカイラは、両腕で気を失ったヒナをお姫様抱っこしたまま、立っていた。
ケニーは後ろにルナを乗せ、ティナは一人で騎乗していた。
ケニーが口を開く。
「ジカさん! 大丈夫!?」
ジカイラが笑顔で答える。
「大丈夫さ!!」
ルナが尋ねる。
「ヒナちゃんは?」
ジカイラは、自分の腕の中で気を失っているヒナの顔を覗き込み、穏やかな笑顔で答える。
「魔力の使い過ぎで気を失っているだけだ。・・・無茶し過ぎなんだよ」
ジカイラ達が集まって話している側に、上空から人が落ちてくる。
ルナが驚く。
「え!? 人??」
ケニーも驚く。
「今、人が降ってきた!?」
空から落ちてきた人は、地面にぶつかる。
カスパニアの宮廷魔導師ナオ・レンジャーであった。
ティナが馬から降りてナオ・レンジャーを覗き込むと、ナオ・レンジャーが呻き声を上げる。
「・・・ううっ」
ナオ・レンジャーを見たティナが驚く。
「この女の人、まだ生きてる!?」
飛行の魔法の効果が残っていたため、地上に落ちた際に墜落死こそしなかったものの、全身に凍傷を負い、唇まで紫色に変色させたナオ・レンジャーは、瀕死の状態であった。
ジカイラがティナに話し掛ける。
「ティナ。そいつの治療を頼む。死なれちゃ困るんだ」
「判ったわ。任せて」
ティナは、ナオ・レンジャーに回復魔法を掛け、手当を行う。
ティナがナオ・レンジャーの手当を行っていると、その上空に砲声と爆音が轟く。
ジカイラ達は、砲声がした方角を見る。
ヒマジンが率いる帝国機甲兵団の飛行戦艦の艦隊が雁行陣でエームスハーヴェンの上空に現れる。
砲声と爆音は、飛行戦艦の艦隊による威嚇射撃であった。
ジカイラが呟く。
「帝国軍が来たか!」
ケニーも笑顔を見せる。
「これで、もう安心だね」
「ああ」
エームスハーヴェンの上空に帝国軍の飛行戦艦の艦隊が出現し、威嚇射撃を行ったため、カスパニア軍は動揺し始める。
--中核都市エームスハーヴェン上空 帝国軍総旗艦 ニーベルンゲン 艦橋
ヒマジンが口を開く。
「間に合ったか!?」
副官のロックスが答える。
「そのようです」
ヒマジンが指示を出す。
「全艦、単縦陣に陣形を組み替えろ! エームスハーヴェンとカスパニア軍の間に割って入るぞ!!」
飛行戦艦の艦隊は単縦陣に陣形を変え、エームスハーヴェンとカスパニア軍の間に並び、カスパニア軍に砲門を向ける。
再び、ヒマジンが指示を出す。
「威嚇射撃! 斉射三連!!」
飛行戦艦艦隊は、カスパニア軍の上空に向けて、三回連続で一斉射撃による威嚇を行う。
カスパニア軍の上空で威嚇射撃の砲弾が爆発し、轟音を轟かせる。
指揮官の居ないカスパニア軍は恐慌状態になり、自国へ向けて逃げ出し始める。
ヒマジンが自軍に通達を出す。
「逃げる者は追わなくていい」
中核都市エームスハーヴェンを巡る戦いは、バレンシュテット帝国軍の到着と、カスパニア王国軍の撤退で決着を迎えた。
--数日後 エームスハーヴェン 領主の城
応接室に皆が集まっていた。
ジカイラ、ヒナ、ケニー、ルナ、ティナ、皇帝ラインハルト、皇妃ナナイ、エリシス、その副官リリー、そしてヒマジンであった。
ジカイラが口を開く。
「ラインハルト。カスパニアをどうするつもりだ?」
ラインハルトが答える。
「越境したカスパニア軍が引き上げた以上、戦争するつもりはない。王太子と護衛の騎士、将軍と宮廷魔導師の4人は、情報を引き出した上で身代金と引き換えに帰国させるさ」
ジカイラが軽口を叩く。
「ま、死人は出なかった訳だし、それで十分だろ」
ケニーが尋ねる。
「この街、エームスハーヴェンは?」
ラインハルトが答える。
「領主のヨーカンは暗殺された。直轄都市にするよ」
ナナイが口を開く。
「秘密警察とダークエルフの所在は、掴めていないわね」
ルナが尋ねる。
「彼らは何処に?」
ラインハルトが答える。
「恐らく他の国か、新大陸だろうな」
ティナが呟く。
「・・・新大陸」
ラインハルトが口を開く。
「ナナシが捕らえたジェファーソンから情報を集めている。カスパニアの王太子からもだ。・・・どうやら、以前、帝都ハーヴェルベルクにガレアスの艦隊を差し向けてきたのは、新大陸のダークエルフらしい。麻薬組織はハンガンの実を新大陸から手に入れていたようだ」
新大陸には、バレンシュテット帝国の威光も完全には行き渡っていなかった。
多くの未知の領域や未探索の地域が存在し、ダークエルフや食人鬼などの危険な種族が生息していた。
ラインハルトが続ける。
「新大陸まで出向くには、相応の準備がいる。今すぐ遠征という訳にはいかないだろう」
エリシスも口を開く。
「取り敢えずは此処までね」
ヒマジンが軽口を叩く。
「やっと少し落ち着いたな」
会議はここで終わり、解散する。
-----
ジカイラとヒナは、領主の城のテラスからエームスハーヴェン街を眺めていた。
紺碧の空が広がり、遠くに海から港に出入りする帆船が見え、心地良い潮風が二人の顔を撫でる。
ヒナが口を開く。
「良い眺めね」
ジカイラが答える。
「そうだな」
「ジカさん」
「んん?」
「落ち着いたら、欲しいものがあるんだけど」
「欲しいもの? 何だ??」
ヒナが恥じらいながらジカイラに告げる。
「・・・ジカさんの赤ちゃん」
ヒナの言葉にジカイラも照れる。
「そ、そうだな! 作るか!!」
ジカイラの言葉にヒナが笑顔で答える。
「うん!!」
照れ隠しにジカイラが冗談を口にする。
「ラインハルトのところに負けないくらい作らないとな!」
ヒナも照れながらジカイラを小突いて答える。
「もぅ・・・。何人、産ませるつもり?」
「子供は沢山、居たほうが賑やかでいいだろ」
「そうね!」
ジカイラに肩を抱かれながら、ヒナは遠くの景色を見回し、その黒い瞳でジカイラの顔を見上げる。
勅命を完遂し、自らの戦いを終えた戦士の『黒い剣士』の誇り高い横顔があった。
ヒナは誇らしげにジカイラの横顔を見詰めていた。
ジカイラは、両腕で気を失ったヒナをお姫様抱っこしたまま、立っていた。
ケニーは後ろにルナを乗せ、ティナは一人で騎乗していた。
ケニーが口を開く。
「ジカさん! 大丈夫!?」
ジカイラが笑顔で答える。
「大丈夫さ!!」
ルナが尋ねる。
「ヒナちゃんは?」
ジカイラは、自分の腕の中で気を失っているヒナの顔を覗き込み、穏やかな笑顔で答える。
「魔力の使い過ぎで気を失っているだけだ。・・・無茶し過ぎなんだよ」
ジカイラ達が集まって話している側に、上空から人が落ちてくる。
ルナが驚く。
「え!? 人??」
ケニーも驚く。
「今、人が降ってきた!?」
空から落ちてきた人は、地面にぶつかる。
カスパニアの宮廷魔導師ナオ・レンジャーであった。
ティナが馬から降りてナオ・レンジャーを覗き込むと、ナオ・レンジャーが呻き声を上げる。
「・・・ううっ」
ナオ・レンジャーを見たティナが驚く。
「この女の人、まだ生きてる!?」
飛行の魔法の効果が残っていたため、地上に落ちた際に墜落死こそしなかったものの、全身に凍傷を負い、唇まで紫色に変色させたナオ・レンジャーは、瀕死の状態であった。
ジカイラがティナに話し掛ける。
「ティナ。そいつの治療を頼む。死なれちゃ困るんだ」
「判ったわ。任せて」
ティナは、ナオ・レンジャーに回復魔法を掛け、手当を行う。
ティナがナオ・レンジャーの手当を行っていると、その上空に砲声と爆音が轟く。
ジカイラ達は、砲声がした方角を見る。
ヒマジンが率いる帝国機甲兵団の飛行戦艦の艦隊が雁行陣でエームスハーヴェンの上空に現れる。
砲声と爆音は、飛行戦艦の艦隊による威嚇射撃であった。
ジカイラが呟く。
「帝国軍が来たか!」
ケニーも笑顔を見せる。
「これで、もう安心だね」
「ああ」
エームスハーヴェンの上空に帝国軍の飛行戦艦の艦隊が出現し、威嚇射撃を行ったため、カスパニア軍は動揺し始める。
--中核都市エームスハーヴェン上空 帝国軍総旗艦 ニーベルンゲン 艦橋
ヒマジンが口を開く。
「間に合ったか!?」
副官のロックスが答える。
「そのようです」
ヒマジンが指示を出す。
「全艦、単縦陣に陣形を組み替えろ! エームスハーヴェンとカスパニア軍の間に割って入るぞ!!」
飛行戦艦の艦隊は単縦陣に陣形を変え、エームスハーヴェンとカスパニア軍の間に並び、カスパニア軍に砲門を向ける。
再び、ヒマジンが指示を出す。
「威嚇射撃! 斉射三連!!」
飛行戦艦艦隊は、カスパニア軍の上空に向けて、三回連続で一斉射撃による威嚇を行う。
カスパニア軍の上空で威嚇射撃の砲弾が爆発し、轟音を轟かせる。
指揮官の居ないカスパニア軍は恐慌状態になり、自国へ向けて逃げ出し始める。
ヒマジンが自軍に通達を出す。
「逃げる者は追わなくていい」
中核都市エームスハーヴェンを巡る戦いは、バレンシュテット帝国軍の到着と、カスパニア王国軍の撤退で決着を迎えた。
--数日後 エームスハーヴェン 領主の城
応接室に皆が集まっていた。
ジカイラ、ヒナ、ケニー、ルナ、ティナ、皇帝ラインハルト、皇妃ナナイ、エリシス、その副官リリー、そしてヒマジンであった。
ジカイラが口を開く。
「ラインハルト。カスパニアをどうするつもりだ?」
ラインハルトが答える。
「越境したカスパニア軍が引き上げた以上、戦争するつもりはない。王太子と護衛の騎士、将軍と宮廷魔導師の4人は、情報を引き出した上で身代金と引き換えに帰国させるさ」
ジカイラが軽口を叩く。
「ま、死人は出なかった訳だし、それで十分だろ」
ケニーが尋ねる。
「この街、エームスハーヴェンは?」
ラインハルトが答える。
「領主のヨーカンは暗殺された。直轄都市にするよ」
ナナイが口を開く。
「秘密警察とダークエルフの所在は、掴めていないわね」
ルナが尋ねる。
「彼らは何処に?」
ラインハルトが答える。
「恐らく他の国か、新大陸だろうな」
ティナが呟く。
「・・・新大陸」
ラインハルトが口を開く。
「ナナシが捕らえたジェファーソンから情報を集めている。カスパニアの王太子からもだ。・・・どうやら、以前、帝都ハーヴェルベルクにガレアスの艦隊を差し向けてきたのは、新大陸のダークエルフらしい。麻薬組織はハンガンの実を新大陸から手に入れていたようだ」
新大陸には、バレンシュテット帝国の威光も完全には行き渡っていなかった。
多くの未知の領域や未探索の地域が存在し、ダークエルフや食人鬼などの危険な種族が生息していた。
ラインハルトが続ける。
「新大陸まで出向くには、相応の準備がいる。今すぐ遠征という訳にはいかないだろう」
エリシスも口を開く。
「取り敢えずは此処までね」
ヒマジンが軽口を叩く。
「やっと少し落ち着いたな」
会議はここで終わり、解散する。
-----
ジカイラとヒナは、領主の城のテラスからエームスハーヴェン街を眺めていた。
紺碧の空が広がり、遠くに海から港に出入りする帆船が見え、心地良い潮風が二人の顔を撫でる。
ヒナが口を開く。
「良い眺めね」
ジカイラが答える。
「そうだな」
「ジカさん」
「んん?」
「落ち着いたら、欲しいものがあるんだけど」
「欲しいもの? 何だ??」
ヒナが恥じらいながらジカイラに告げる。
「・・・ジカさんの赤ちゃん」
ヒナの言葉にジカイラも照れる。
「そ、そうだな! 作るか!!」
ジカイラの言葉にヒナが笑顔で答える。
「うん!!」
照れ隠しにジカイラが冗談を口にする。
「ラインハルトのところに負けないくらい作らないとな!」
ヒナも照れながらジカイラを小突いて答える。
「もぅ・・・。何人、産ませるつもり?」
「子供は沢山、居たほうが賑やかでいいだろ」
「そうね!」
ジカイラに肩を抱かれながら、ヒナは遠くの景色を見回し、その黒い瞳でジカイラの顔を見上げる。
勅命を完遂し、自らの戦いを終えた戦士の『黒い剣士』の誇り高い横顔があった。
ヒナは誇らしげにジカイラの横顔を見詰めていた。
0
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる