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第三章 空中都市
第六十八話 鏖殺(おうさつ)
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ギリアム・ローズは、大急ぎで第三陣を用意していた。
「奴隷輸送車を下げろ! 第三陣、前へ! こいつが本命だ! 準備できたものから前進させろ!!」
士官の一人が尋ねる。
「東方不敗の二人は如何しますか? まだ戻ってきていませんが・・・」
「知るか! 放っておけ!!」
「しかし、第三陣は、食人鬼ですよ!?」
「構わん! 前進だ!!」
大通りに引き出された食人鬼達の鎖が解かれ、食人鬼達は、帝国軍に向かって歩みを進めていく。
帝国軍の前に食人鬼達が現れる。
ジカイラが口を開く。
「おいでなさったぞ!」
ジカイラやヒナ、アレク達は迫り来る食人鬼達に対して身構える。
臨戦態勢を取る教導大隊の前に、エリシスとリリーが現れる。
エリシスがジカイラに話し掛ける。
「ジカイラ大佐。ここは私達に任せて。教導大隊は少し休んでいて。・・・行くわよ。リリー」
「はい」
そう告げると、二人は白手袋を脱いでポケットに仕舞い、食人鬼達に向かって歩いて行く。
ジカイラは構えを解くと、気の抜けた返事をする。
「はぁ・・・」
傍らのヒナがジカイラに尋ねる。
「ジカさん、あの二人、大丈夫かしら?」
ジカイラは、苦笑いしながらヒナに答える。
「大丈夫も何も・・・。敵さんに同情するよ」
アレクがジカイラに尋ねる。
「あの・・・、大佐? 自分達はどうすれば??」
ジカイラは気の抜けた声で答える。
「休憩だ。しばらく交代で休んでて良いぞ」
エリシスとリリーは、食人鬼達に対峙する。
リリーが傍らのエリシスに話し掛ける。
「エリシス。街ごと破壊するのは、無しですよ?」
エリシスが微笑みながら答える。
「大丈夫よ」
食人鬼の一体が二人に向かって威嚇するように吠えると、棍棒を振り上げて襲い掛かる。
「ゴァアアアア!!」
食人鬼が横殴りに振り下ろす棍棒を、二人は後ろに飛び退いて避ける。
エリシスが攻撃してきた食人鬼に向かって手をかざし、魔法を唱える。
「кромешная тьма」
(漆黒の闇よ)
エリシスの足元に一枚、頭上に等間隔で直径十メートルほどの光る大きな魔法陣が五枚、描かれ浮かび上がる。
「Примите форму и станьте сферой」
(形を成し、球となれ)
エリシスの手のひらの先の空中に漆黒の球体が造られていく。
「стрелять сквозь моих врагов!!」
(我が敵を射抜け!!)
「漆黒球撃!!」
エリシスの手のひらの先に浮かぶ漆黒の球体は、狙いを定めた食人鬼に向かって飛んで行き、当たった食人鬼の上半身を吹き飛ばす。
別の食人鬼がリリーに向かって横殴りに棍棒を振り下ろす。
リリーは、立ったまま両手で食人鬼の棍棒の一撃を受け止めるが、そのまま三メートルほど地面の上を横滑りに滑る。
両手で棍棒を押さえたまま、リリーが呟く。
「下等な妖魔風情が!!」
リリーは、手のひらを上にして右手を食人鬼の顔に向けると、五本の爪を伸ばす。
「フゴッ!?」
嗚咽と共に食人鬼の喉元に、リリーが伸ばした五本の爪が突き刺さる。
リリーが手首を返すと、食人鬼の首が、千切れて飛ぶ。
頭が千切れ飛び、首から黒い血を噴き上げながら倒れる食人鬼の胴体を尻目に、エリシスとリリーは歩みを進める。
二人は、圧倒的な魔法と身体的能力でヴェネト共和国軍の食人鬼達を次々と鏖殺していく。
次々と仲間が殺され、食人鬼達は怯み始める。
食人鬼の一体が逃げ出し、ギリアム・ローズの方に走って来る。
棍棒を投げ捨て、自分の前を走って逃げていく食人鬼を見て、ギリアム・ローズが驚く。
「なんだ!? どうしたんだ??」
ギリアム・ローズが前線を見ると、エリシスとリリーが次々と食人鬼達を血祭りにあげていく。
リリーが逃げ出した食人鬼を、伸ばした五本の爪で背中から貫く。
背中から刺された食人鬼は、絶命して前のめりに倒れる。
食人鬼が一撃でやられた事に、ギリアム・ローズは驚く。
「食人鬼が一撃で!? なんなんだ!? あの女達は??」
ジャンプしてきたエリシスがギリアム・ローズの近くに着地し、傍らのヴェネト軍士官の顔を素手で掴む。
エリシスが微笑みながら士官に告げる。
「ふふ。捕まえた」
<吸収接触>
不死王のスキルであり、接触した相手の生命力や魔力を奪うスキルである。
エリシスに掴まれた士官は、生命力を吸い取られ、瞬く間に体が干からびていく。
生命力を全て吸い取られた士官の男は、干からびたミイラのような姿になって床に倒れる。
士官が目の前で干からびていく様を見たギリアム・ローズは、悲鳴を上げ、腰を抜かしてその場にへたり込む。
「うわぁああああ!!」
腰を抜かしてへたり込むギリアム・ローズの目の前に、エリシスとリリーが並び立つ。
リリーが尋ねる。
「エリシス。こいつ、どうします?」
エリシスは、少し考える素振りを見せると、リリーに答える。
「取り敢えず、生かしておきましょ」
「判りました」
そう告げると、リリーは右手の爪を伸ばして、ギリアム・ローズの両手と両足を斬り飛ばした。
「ぎゃぁあああ!!」
両手両足を失った激痛に、ギリアム・ローズは地面をのたうち回る。
エリシスが口を開く。
「リリー。死者の魔導師に連絡を。帝国南部方面軍は前進するように」
リリーが答える。
「了解しました」
「奴隷輸送車を下げろ! 第三陣、前へ! こいつが本命だ! 準備できたものから前進させろ!!」
士官の一人が尋ねる。
「東方不敗の二人は如何しますか? まだ戻ってきていませんが・・・」
「知るか! 放っておけ!!」
「しかし、第三陣は、食人鬼ですよ!?」
「構わん! 前進だ!!」
大通りに引き出された食人鬼達の鎖が解かれ、食人鬼達は、帝国軍に向かって歩みを進めていく。
帝国軍の前に食人鬼達が現れる。
ジカイラが口を開く。
「おいでなさったぞ!」
ジカイラやヒナ、アレク達は迫り来る食人鬼達に対して身構える。
臨戦態勢を取る教導大隊の前に、エリシスとリリーが現れる。
エリシスがジカイラに話し掛ける。
「ジカイラ大佐。ここは私達に任せて。教導大隊は少し休んでいて。・・・行くわよ。リリー」
「はい」
そう告げると、二人は白手袋を脱いでポケットに仕舞い、食人鬼達に向かって歩いて行く。
ジカイラは構えを解くと、気の抜けた返事をする。
「はぁ・・・」
傍らのヒナがジカイラに尋ねる。
「ジカさん、あの二人、大丈夫かしら?」
ジカイラは、苦笑いしながらヒナに答える。
「大丈夫も何も・・・。敵さんに同情するよ」
アレクがジカイラに尋ねる。
「あの・・・、大佐? 自分達はどうすれば??」
ジカイラは気の抜けた声で答える。
「休憩だ。しばらく交代で休んでて良いぞ」
エリシスとリリーは、食人鬼達に対峙する。
リリーが傍らのエリシスに話し掛ける。
「エリシス。街ごと破壊するのは、無しですよ?」
エリシスが微笑みながら答える。
「大丈夫よ」
食人鬼の一体が二人に向かって威嚇するように吠えると、棍棒を振り上げて襲い掛かる。
「ゴァアアアア!!」
食人鬼が横殴りに振り下ろす棍棒を、二人は後ろに飛び退いて避ける。
エリシスが攻撃してきた食人鬼に向かって手をかざし、魔法を唱える。
「кромешная тьма」
(漆黒の闇よ)
エリシスの足元に一枚、頭上に等間隔で直径十メートルほどの光る大きな魔法陣が五枚、描かれ浮かび上がる。
「Примите форму и станьте сферой」
(形を成し、球となれ)
エリシスの手のひらの先の空中に漆黒の球体が造られていく。
「стрелять сквозь моих врагов!!」
(我が敵を射抜け!!)
「漆黒球撃!!」
エリシスの手のひらの先に浮かぶ漆黒の球体は、狙いを定めた食人鬼に向かって飛んで行き、当たった食人鬼の上半身を吹き飛ばす。
別の食人鬼がリリーに向かって横殴りに棍棒を振り下ろす。
リリーは、立ったまま両手で食人鬼の棍棒の一撃を受け止めるが、そのまま三メートルほど地面の上を横滑りに滑る。
両手で棍棒を押さえたまま、リリーが呟く。
「下等な妖魔風情が!!」
リリーは、手のひらを上にして右手を食人鬼の顔に向けると、五本の爪を伸ばす。
「フゴッ!?」
嗚咽と共に食人鬼の喉元に、リリーが伸ばした五本の爪が突き刺さる。
リリーが手首を返すと、食人鬼の首が、千切れて飛ぶ。
頭が千切れ飛び、首から黒い血を噴き上げながら倒れる食人鬼の胴体を尻目に、エリシスとリリーは歩みを進める。
二人は、圧倒的な魔法と身体的能力でヴェネト共和国軍の食人鬼達を次々と鏖殺していく。
次々と仲間が殺され、食人鬼達は怯み始める。
食人鬼の一体が逃げ出し、ギリアム・ローズの方に走って来る。
棍棒を投げ捨て、自分の前を走って逃げていく食人鬼を見て、ギリアム・ローズが驚く。
「なんだ!? どうしたんだ??」
ギリアム・ローズが前線を見ると、エリシスとリリーが次々と食人鬼達を血祭りにあげていく。
リリーが逃げ出した食人鬼を、伸ばした五本の爪で背中から貫く。
背中から刺された食人鬼は、絶命して前のめりに倒れる。
食人鬼が一撃でやられた事に、ギリアム・ローズは驚く。
「食人鬼が一撃で!? なんなんだ!? あの女達は??」
ジャンプしてきたエリシスがギリアム・ローズの近くに着地し、傍らのヴェネト軍士官の顔を素手で掴む。
エリシスが微笑みながら士官に告げる。
「ふふ。捕まえた」
<吸収接触>
不死王のスキルであり、接触した相手の生命力や魔力を奪うスキルである。
エリシスに掴まれた士官は、生命力を吸い取られ、瞬く間に体が干からびていく。
生命力を全て吸い取られた士官の男は、干からびたミイラのような姿になって床に倒れる。
士官が目の前で干からびていく様を見たギリアム・ローズは、悲鳴を上げ、腰を抜かしてその場にへたり込む。
「うわぁああああ!!」
腰を抜かしてへたり込むギリアム・ローズの目の前に、エリシスとリリーが並び立つ。
リリーが尋ねる。
「エリシス。こいつ、どうします?」
エリシスは、少し考える素振りを見せると、リリーに答える。
「取り敢えず、生かしておきましょ」
「判りました」
そう告げると、リリーは右手の爪を伸ばして、ギリアム・ローズの両手と両足を斬り飛ばした。
「ぎゃぁあああ!!」
両手両足を失った激痛に、ギリアム・ローズは地面をのたうち回る。
エリシスが口を開く。
「リリー。死者の魔導師に連絡を。帝国南部方面軍は前進するように」
リリーが答える。
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