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第二章 士官学校
第十七話 捜索
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--時間を少し戻した士官学校、会議室。
ジカイラは、飛空艇の飛行実習の際にアレクとルイーゼが遭難した事をフクロウ便でラインハルトに伝えると、程なくラインハルトがエリシスを伴って士官学校の会議室に転移門を通って現れる。
ジカイラは口を開く。
「来たか」
ラインハルトは答える。
「ああ。エリシス、済まないが外で待っていてくれ」
「御意」
エリシスは、ラインハルトに一礼すると会議室から廊下に出て、廊下にあるソファーに座る。
会議室は、ラインハルトとジカイラの二人だけになり、ラインハルトが口を開く。
「それで。アレクとルイーゼは、助かりそうなのか?」
「大丈夫だ。二人の機体は、恐らく海上に着水している。心配無い」
「そうか……世話を掛けるな」
「お前は、アレクの事を『出来が悪い』だの、『甘ったれ』だのと嘆くが、十分、優秀な子だぞ? あの子と比較する対象が悪い。単純にお前やナナイ、ジークがケタ違いに優秀過ぎるだけだ」
「だが、アレクには、もう少し、しっかりして貰わないとな」
「いいか? アレクは、親元を離れて、毎日、寮で自炊して、学校に来て勉強しているんだぞ? 十分、立派だよ……オレなんて士官学校に入るまで、軍の特等刑務所に無期懲役刑で服役してたぞ」
ラインハルトは苦笑いする。
「……おいおい」
再びジカイラが話す。
「それと、済まないな。今回の飛空艇のエンジントラブルは、学校側の手落ちだ」
ラインハルトは、諦めているようにジカイラに答える。
「仕方あるまい。飛行実習に使っているコンプテタは、私やお前も学生時代に乗っていた古い機体だ。仮に整備班の者達を斬首刑にしたところで、機体の老朽化による故障が無くなる訳ではないだろう」
「まぁな。コンプテタは、次の定期オーバーホールでほぼ寿命だ。今も順次、退役している機体だしな」
「私の方で、士官学校で使う訓練機の老朽化更新について手配しておくよ」
「助かる」
「……それと、アレクとルイーゼの遭難のことは、ナナイには知らせるなよ?」
「何故だ?」
「ナナイが知れば、皇妃直属の皇宮警護団を差し向けて二人の捜索をさせるだろう。帝国軍所轄の士官学校と皇妃直属の皇宮警護団は指揮系統が違う。捜索現場が混乱するだけだ」
「なるほどな。判った」
--翌朝、士官学校。
士官学校に併設された格納庫に教官のジカイラとヒナ、そしてユニコーン小隊の仲間たちが集まる。
ジカイラは口を開く。
「これより状況説明を行う。アレク、ルイーゼが搭乗したユニコーン・リーダーは、恐らく帝都南の海上から、湾の反対側である南岸へ気流に流されて不時着していると思われる。従って、捜索は、武装した上で、湾の南岸の砂浜周辺を中心に行う」
ドワーフのドミトリーが手を挙げる。
「質問、よろしいですか?」
ジカイラが答える。
「何だ?」
ドミトリーは尋ねる。
「『湾の反対側』、『南岸』とは、何でしょうか? 何故、捜索活動に武装を?」
ジカイラは、壁に貼られた大きな地図を指し示して説明する。
「そうか、北東部の山岳地帯の出身だったな……。帝都南の海は、アスカニア大陸の西に広がる外洋から帝都まで、細長い大きな入り江の形状『湾』になって続いている。この湾の北側は、帝都や士官学校などがある『人間が住む地域』、言わば帝国本土だ。ここまでは判るか?」
「はい」
「ところがアレク、ルイーゼが搭乗したユニコーン・リーダーは、湾の反対側、南側である南岸の砂浜周辺に不時着していると思われる。南岸の砂浜の先に続いているのは、獣人荒野だ」
ジカイラの説明に小隊の仲間たち達がざわめく。
「獣人荒野って……」
ジカイラが続ける。
「『革命戦役』後、どこの国の領土でもない無主の地であった獣人荒野は、帝国領に組み込まれ帝国政府によって徐々に開拓が進んでいるが、あの荒野に住む全ての獣人種族が帝国に服属している訳じゃない。万が一の時には、戦闘することもあり得る。そのための武装だ」
「了解しました」
「他の教官や軍監は、既に飛空艇で捜索に出ている。我々は、三十分後に出発する。では、解散!」
ユニコーン小隊の六人は、各自、武装すると再び格納庫に戻った。
アルがエルザに尋ねる。
「そういえば、エルザって、獣人荒野の出身じゃなかったっけ?」
「そうよ」
トゥルムがエルザに聞く。
「獣人荒野、どんなところなんだ?」
「何も無い荒野よ。それに獣人は、色んな意味で肉食だから気を付けないと」
ドミトリーもエルザに尋ねる。
「その『色んな意味』とは?」
「獣人は色んな種族がいるのよ。獣に近い種族も、私みたいに人間に近い種族も。それに、人間を食べる種族もいる」
ナタリーが驚く。
「え? 人間を食べるの?」
「そうよ。獣に近い種族なら、人間の男を捕まえると、奴隷にするか、食べちゃうし。人間の女を捕まえると、犯して孕ませるか、食べちゃうし」
アルがエルザをからかう。
「なるほどなぁ~。だから、エルザも色んな意味で肉食なんだ」
エルザは両手の人差し指を頬に当てる仕草をして、おどけながらアルに答える。
「あは。そうよ。ユニコーンの獣耳アイドル、エルザちゃんは肉食女子で~す。彼氏募集中」
ナディアがおどけるエルザを見て笑っていると、エルザがナディアの腕を捕まえる。
「ここにも、もう一人、肉食がいるよね」
ナディアもエルザと同じポーズをとっておどける。
「ナディアお姉さんはベジタリアンの肉食女子で~す。彼氏募集中」
おどける二人を見て、アルが呆れる。
「お前ら、なぁ……」
ジカイラが格納庫に現れ、ユニコーン小隊の仲間たちに告げる。
「時間だ! 出発するぞ!」
ジカイラとヒナが搭乗して離陸した教官機の後を、ユニコーン小隊の仲間たちの乗る機体が離陸して追従していく。
こうしてジカイラ達とユニコーン小隊は、アレクとルイーゼの捜索に出発した。
ジカイラは、飛空艇の飛行実習の際にアレクとルイーゼが遭難した事をフクロウ便でラインハルトに伝えると、程なくラインハルトがエリシスを伴って士官学校の会議室に転移門を通って現れる。
ジカイラは口を開く。
「来たか」
ラインハルトは答える。
「ああ。エリシス、済まないが外で待っていてくれ」
「御意」
エリシスは、ラインハルトに一礼すると会議室から廊下に出て、廊下にあるソファーに座る。
会議室は、ラインハルトとジカイラの二人だけになり、ラインハルトが口を開く。
「それで。アレクとルイーゼは、助かりそうなのか?」
「大丈夫だ。二人の機体は、恐らく海上に着水している。心配無い」
「そうか……世話を掛けるな」
「お前は、アレクの事を『出来が悪い』だの、『甘ったれ』だのと嘆くが、十分、優秀な子だぞ? あの子と比較する対象が悪い。単純にお前やナナイ、ジークがケタ違いに優秀過ぎるだけだ」
「だが、アレクには、もう少し、しっかりして貰わないとな」
「いいか? アレクは、親元を離れて、毎日、寮で自炊して、学校に来て勉強しているんだぞ? 十分、立派だよ……オレなんて士官学校に入るまで、軍の特等刑務所に無期懲役刑で服役してたぞ」
ラインハルトは苦笑いする。
「……おいおい」
再びジカイラが話す。
「それと、済まないな。今回の飛空艇のエンジントラブルは、学校側の手落ちだ」
ラインハルトは、諦めているようにジカイラに答える。
「仕方あるまい。飛行実習に使っているコンプテタは、私やお前も学生時代に乗っていた古い機体だ。仮に整備班の者達を斬首刑にしたところで、機体の老朽化による故障が無くなる訳ではないだろう」
「まぁな。コンプテタは、次の定期オーバーホールでほぼ寿命だ。今も順次、退役している機体だしな」
「私の方で、士官学校で使う訓練機の老朽化更新について手配しておくよ」
「助かる」
「……それと、アレクとルイーゼの遭難のことは、ナナイには知らせるなよ?」
「何故だ?」
「ナナイが知れば、皇妃直属の皇宮警護団を差し向けて二人の捜索をさせるだろう。帝国軍所轄の士官学校と皇妃直属の皇宮警護団は指揮系統が違う。捜索現場が混乱するだけだ」
「なるほどな。判った」
--翌朝、士官学校。
士官学校に併設された格納庫に教官のジカイラとヒナ、そしてユニコーン小隊の仲間たちが集まる。
ジカイラは口を開く。
「これより状況説明を行う。アレク、ルイーゼが搭乗したユニコーン・リーダーは、恐らく帝都南の海上から、湾の反対側である南岸へ気流に流されて不時着していると思われる。従って、捜索は、武装した上で、湾の南岸の砂浜周辺を中心に行う」
ドワーフのドミトリーが手を挙げる。
「質問、よろしいですか?」
ジカイラが答える。
「何だ?」
ドミトリーは尋ねる。
「『湾の反対側』、『南岸』とは、何でしょうか? 何故、捜索活動に武装を?」
ジカイラは、壁に貼られた大きな地図を指し示して説明する。
「そうか、北東部の山岳地帯の出身だったな……。帝都南の海は、アスカニア大陸の西に広がる外洋から帝都まで、細長い大きな入り江の形状『湾』になって続いている。この湾の北側は、帝都や士官学校などがある『人間が住む地域』、言わば帝国本土だ。ここまでは判るか?」
「はい」
「ところがアレク、ルイーゼが搭乗したユニコーン・リーダーは、湾の反対側、南側である南岸の砂浜周辺に不時着していると思われる。南岸の砂浜の先に続いているのは、獣人荒野だ」
ジカイラの説明に小隊の仲間たち達がざわめく。
「獣人荒野って……」
ジカイラが続ける。
「『革命戦役』後、どこの国の領土でもない無主の地であった獣人荒野は、帝国領に組み込まれ帝国政府によって徐々に開拓が進んでいるが、あの荒野に住む全ての獣人種族が帝国に服属している訳じゃない。万が一の時には、戦闘することもあり得る。そのための武装だ」
「了解しました」
「他の教官や軍監は、既に飛空艇で捜索に出ている。我々は、三十分後に出発する。では、解散!」
ユニコーン小隊の六人は、各自、武装すると再び格納庫に戻った。
アルがエルザに尋ねる。
「そういえば、エルザって、獣人荒野の出身じゃなかったっけ?」
「そうよ」
トゥルムがエルザに聞く。
「獣人荒野、どんなところなんだ?」
「何も無い荒野よ。それに獣人は、色んな意味で肉食だから気を付けないと」
ドミトリーもエルザに尋ねる。
「その『色んな意味』とは?」
「獣人は色んな種族がいるのよ。獣に近い種族も、私みたいに人間に近い種族も。それに、人間を食べる種族もいる」
ナタリーが驚く。
「え? 人間を食べるの?」
「そうよ。獣に近い種族なら、人間の男を捕まえると、奴隷にするか、食べちゃうし。人間の女を捕まえると、犯して孕ませるか、食べちゃうし」
アルがエルザをからかう。
「なるほどなぁ~。だから、エルザも色んな意味で肉食なんだ」
エルザは両手の人差し指を頬に当てる仕草をして、おどけながらアルに答える。
「あは。そうよ。ユニコーンの獣耳アイドル、エルザちゃんは肉食女子で~す。彼氏募集中」
ナディアがおどけるエルザを見て笑っていると、エルザがナディアの腕を捕まえる。
「ここにも、もう一人、肉食がいるよね」
ナディアもエルザと同じポーズをとっておどける。
「ナディアお姉さんはベジタリアンの肉食女子で~す。彼氏募集中」
おどける二人を見て、アルが呆れる。
「お前ら、なぁ……」
ジカイラが格納庫に現れ、ユニコーン小隊の仲間たちに告げる。
「時間だ! 出発するぞ!」
ジカイラとヒナが搭乗して離陸した教官機の後を、ユニコーン小隊の仲間たちの乗る機体が離陸して追従していく。
こうしてジカイラ達とユニコーン小隊は、アレクとルイーゼの捜索に出発した。
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