【R-18】 Inner Chocolate

黒子猫

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「もうひとつのアナザーストーリー〈告白〉」

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※[⑤大切]からの別バージョンストーリーです。もうひとつ別の展開をお楽しみ下さい。


「今日が最後の診察です。今日までよく頑張りましたね。お疲れ様でした」
(主人公「今日で終わりかと思うと、少し寂しいです……」)
[SE:衣擦れの音]
(神田、空気を変えるように、話し出す)
「実は、あなたに……、贈り物があるんです……」
(神田、引き出しから小さな箱を取り出す)
[SE:引き出しを開け閉めする音]
「チョコレートはお好きですか……?」
(主人公「はい、好きです」)
[SE:衣擦れの音]
(神田、少し笑顔になる)
「良かった……。チョコレートは古来、恋の媚薬であると信じられていました。研究結果で、それは科学的には根拠はないとされていましたが……。
その後、面白い実験があったんです。カップルが、情熱的にキスをしたときと、口の中でチョコレートを溶かした時、チョコレートを溶かした時の方が4倍脳が興奮したと言う結果が出たそうです。……それが興味深くてですね。あなたのこれからの門出にピッタリだと思いました……」
(主人公「そうですね……」)
[SE:衣擦れの音]
「どうしました……?少し元気がなさそうですが……」
(主人公「……先生。せっかくなので、その実験、私も試してみたいです……」)
[SE:衣擦れの音]
「え……?試してみたいって……。チョコレートの実験を、ですか……」
(主人公「先生との最後の思い出に……。お願いします」)
[SE:衣擦れの音]
「……分かりました……。では、今、箱を開けますね……」
(神田、チョコレートの箱を開け、中身を取り出す)
[SE:箱を開ける音]
(主人公、神田の複雑な様子を見て心配になる)
(主人公「先生、もしかして、嫌でしたか……?」)
「嫌だなんて、思うわけないでしょう……?積極的になって、治療の効果が出て、嬉しく思っています……。それに、あなたは自分が思ってる以上に魅力的ですよ……。(小声で、呟く)僕があなたの要望に答えたくなるくらい……」
(主人公「え……?最後がよく聴こえなかったんですが……」)
[SE:衣擦れの音]
「(打ち消すように)あぁ、大丈夫です!ほら……、色々な種類がありますが、どれにしますか……?」
(神田、箱の中を見せる)
(主人公「わぁ……、可愛いチョコがいっぱい……!」)
[SE:衣擦れの音]
「ふふ……、喜んでくれて嬉しいです。女性は可愛いチョコレートの方がいいと思って、色々なお店を探しました」
(主人公「ありがとうございます……私、やっぱり寂しいです……もうここに来れないと思うと……」)
[SE:衣擦れの音]
「(苦笑い)……ここに来れなくなるのは寂しいですか……。それくらいここが気に入って頂けて嬉しいです。また、いつでも遊びに来て下さい」
(主人公「私は、患者としてじゃなく……」)
[SE:衣擦れの音]
「(主人公の言葉を打ち消すように)あぁ、次の診察の時間もありますから……これなんかどうですか……?」
(神田、笑顔を作って、チョコレートを見せる)
(主人公、下を向いたまま、首肯く)
[SE:衣擦れの音]
「……じゃあ……、まずはこのチョコレートをお互い食べて……」
(主人公「先生……、時間がないなら、チョコレートを食べたまま、キスしたいです」)
[SE:衣擦れの音]
「……え……!?……でも、チョコレートを食べたままキスしたら……」
(主人公、神田の顔を引き寄せ、ディープキスをする、10秒)
「(キスから一息ついて)……ふっふっふ……。あなたって人は……。これじゃ、実験の結果なんて分からないでしょう……?(クスッと笑って)本当に……、治療の成果というか……ふふ……」
(主人公「実験の結果は分かりました……。私、あなたが好きです!」)
[SE:衣擦れの音]
(少しの沈黙のあと、神田、吹き出す)
「……ふふ……っ。面白いですね……。実験の結果、あなたは、僕のことが好きだと分かった……と」
(主人公「はい……」)
[SE:衣擦れの音]
「……まったく、もう……。治療の成果は軽く越えてますよ……、これじゃあ……。ふふ……、せっかく、患者と先生という関係で終わろうと、こちらも頑張っていたのに……」
(主人公「先生……?」)
[SE:衣擦れの音]
「あなたは、それを打ち破ってしまった……。その覚悟はいいですか……?」
(主人公「私……先生に悪いことをしてしまったんでしょうか……?」)
[SE:衣擦れの音]
「違いますよ……。あなたは反省しなくてもよくて……。ただ、あなたの中の媚薬に、私が夢中になってしまっただけです……」
(神田、主人公の頭を撫でる)
「チョコレートの媚薬効果じゃなく、あなたの中の魅力に惹き付けられてしまった……。その色々な面を見せてくれる、あなたに……」
(主人公「先生……、嬉しいです……」)
[SE:衣擦れの音]
「もうこれからはあなたは、患者ではない……。(優しく言う)先生と言うのはやめて下さい……」
(主人公「由秋さん……」)
[SE:衣擦れの音]
「(耳元で)あなたが私のチョコレートだったんですね……。今、気付きました……」
(主人公、少し笑って「何を言ってるんですか……」)
[SE:衣擦れの音]
「(クスッと笑って)脳がどうやら興奮してきました……。(耳元で)抱き締めさせて下さい……」
(神田、主人公を抱き締める)

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