真野君は私の気になる後輩

黒子猫

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〈気になる後輩〉

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「白石さん、ちょっと聞きたいことがあるんですけど……」
私は、パソコンのキーボードを打つ手を止めた。
声のした方を向くと、そこには新入社員の真野君がいた。
「お忙しい所、すみません……。
ちょっと分からない所があって、お聞きしたいのですが……」
申し訳なさそうに聞いてくる様子に、なんだか可愛いと思ってしまう。
私はそんな自分の気持ちを察知して、表情を変えないように気を付ける。
謙虚だし、勤務態度も真面目だし、私の中で好感度も高い。
正直、ちょっと気になってしまう……。
ただ、私は、職場で恋愛はしたくないと思っている方なので、彼を意識しないように努めている。
極力、事務的かつ簡潔に、仕事のやり方を伝える。
なるべく、仕事のやり方を教えることだけに集中して、彼の顔を見ないように……。
意識していることを悟られないように……。
「ありがとうございます。白石さん、教え方上手いから、助かります」
嬉しそうに真野君は言った。
あんまり見ないようにしているから分からないけど、多分、笑顔でこっちを見ているんだと思う。
「そう……。良かった」
そういうと私は、すぐに自分のパソコンに向き直り、作業の続きを始めた。
早く立ち去って欲しい。
そう願っていた。
「……あの……今度良かったらなんですけど……、飲みに行きませんか……?」
「えっ!?」
動揺して、大きな声が出た。
思わずキーボードの変な所を触ってしまい、パソコンにエラーメッセージが出た。
「あっ……!大丈夫ですか!?」
「だ……、大丈夫……。そ、それより……、飲みに行くって……」
「あ、そうなんです。大木先輩と白石さんさんと、3人で今度ゆっくりお話したいな、と……。
お二人は僕にとって、一番話しやすい先輩方ですし。
お時間作って頂けませんか……?」
私は悩んだ。
二人っきりな訳じゃないけど、どうしようかな……。
大木さんは、確かに私も話しやすいし、久しぶりに飲みに行きたい気もするけど……。
私は考えこんだ。
「じゃあ、決まりで!お店予約しときます♪今週の金曜で♪」
「え……っ!?いや……ちょっと……っ」
「楽しみにしてますね♪」
そう言って、真野君は去っていった……。
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