真野君は私の気になる後輩

黒子猫

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〈迫り来る、後輩〉

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「……で、三香子先輩は、どうして僕と目を合わせてくれないんですか?」
「……え……っ?」
気付いたら随分飲んでいたようだった。
彼と2人だとどうしても緊張してしまうので、それを取り払うために、ピッチをあげて飲んでいたら、思っていた以上に飲んでしまった。
そして、気付いたら、下の名前で呼ばれていて、なんだか距離が近くなっていた。
「シャイなのは分かりますけど……」
「シャイじゃないわよ!」
ちょっと見透かされたような気がして、思わずむきになって大きな声が出てしまった。
目の前の真野くんは、キョトンとした驚いた顔をしている。
私は、思った以上に酔ってしまっているみたいだ。
「いや……、ごめんね……。えっと……私……、社内恋愛はしない主義っていうか……」
……私、何を言っているんだろう……?
何か、変なこと言ってないか……?
真野くんが笑顔になっている。
「……あぁ……!そういうことだったんですね!」
彼は、少し身を乗り出してきた。
「……つまり……、三香子さんは、僕と目が合うと、異性として意識してしまうから、目を合わせないようにしていたと……」
なるほど……と真野くんは興味深そうに呟いた。
「じゃあ……、練習しましょうよ」
「……え……?練習……?」
気付くと、真野君の顔がさっきより近付いていた。
「酔ってる時の方がぼーっとしてるから、やりやすいでしょ?」
いや……、そうかもしれないけど……。
……そんなに私の顔を見つめないで欲しい。
心臓の音が強くなるのが分かった。
私は、視線を横に向けた。
恥ずかしさを紛らわように、グラスに半分位残ったビールを一気に飲んだ。
それを見た、真野君はクスッと笑って、私と自分の分のビールを注文した。
「三香子さんって、やっぱり照れ屋なんですね」
私を見つめて、少し笑う。
「……いや、だから違うって」
私はまだなんとか体裁を繕おうとしていた。
でも、こんなに酔った状態ではそれも難しい。
半分やけになって、新たに用意されたビールをゴクゴク飲む。
その様子を見ながら、真野君が面白そうに笑ったのが見えた。
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