0歳からいきなり最強無双〜薔薇の騎士が紡ぐ英雄譚〜

なーさん

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第一章 ローズちゃん0歳。

リベンジの狼煙が高らかに上がる

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 ◇◇◇◇◇

 場面はローズが消えた直後のサタンの領域、大聖堂の中へと戻る。
 ロゼの魔法は重ねがけが出来ない。
 ローズを自分の世界に連れて行った時点で、前の魔法は解けている。
 故に止められていた時間は既に解けていた。

「ガアアアアア!」

「ふん」

 夜叉猿が哮りながら殴りかかり、サタンが魔剣でそれを捌く。
 大怪獣対大魔王の闘いは五分の凌ぎ合いとなってはいるが、どこか本域ではない様子だった。
 魔法や術を使うことなく単純な殴り合いを繰り返している。

「おい。闇の王」

 魔剣を構えるサタンの呼びかけに、夜叉猿は襲い掛かりながらそれに応える。

『何だ、大魔王』

 それを捌きながらの再びサタン。

「何故、精霊の王が人族の味方につく」

 以下略。
 とても激しく殴り合いながらの会話です。

『我は人族の味方に在らず。あの娘の味方よ』

「何故だ。逃げ出すような腑抜けだぞ」

『グワーハッハッハッハ!』

「何がおかしい?」

『笑わせてくれるな』

「何だと」

『アレが尻尾を巻いて逃げるような玉なものか』

「………。」

『必ずリベンジをしに舞い戻ってくるぞ』

「………。」

『しかしだ、そうは言っても、今のあの娘の力では無謀にも見える』

「フン、ならば戻って来る訳がないではないか」

『グワッハッハッハ!』

「何がおかしい?」

『それをどうにかするのがあの娘よ。
 アレはただの人族ではない。
 正体は神に等しいナニカだ』

「フン。馬鹿らしい」

『摂理を捻じ曲げてでも、必ず勝機を手にして舞い戻ってくる。
 しかも、それはもう間も無くだ。
 我には女の未来が見えるからな』

「フン」

『コレはそれまでの暇つぶしの次いで、ただの繋ぎよ』

「戯言を」

『それまでは純粋な殴り合いを楽しもうではないか』

「チッ、暇人が」

『ぬ』

 突然ピタリと、夜叉猿が殴りかかるのをやめてしまった。

「む?どうした?」

『クックック』

「何だ一体?」

 訝しむサタンに対して、夜叉猿は顎をしゃくる。

『ほれ、後ろだ』

「っ!」

 振り返ると、五間先にて、銀光の瞬きを後光にした人影が立っていた。

「おーほっほっほっほー!」

「ピッピッピッピ~」
[ロゼの高笑いのつもりの囀りです]

 スライムを頭にのせた美女、成長したローズさんだ。
 腰に手を当ててボインな胸を強調するように踏ん反り返っている。

「お待たせしましたわ」

「ピッピピッピ~、ピッピ?」
[待たせてごめん、寂しかった?と言っている]

 長くなった銀の髪を後ろで一つに束ね、スリットの入った燃えるように赤いチャイナドレス姿のローズさんだ。
 胸にはもちろん一輪の金の薔薇が見事に咲き誇っている。
 西の大陸の衣装を錬金術で仕立て直したミスリル製の逸品だ。

 大怪獣と大魔王のじゃれ合いは幕である。
 暇つぶしの前座などはもう終いだ。
 主役がパワーアップして、リベンジを果たしに参上したのだから。

『クックック、主よ』

 夜叉猿が顎を撫でながら、いやらしく舐め回すような視線を向ける。

『見違えたではないか。
 予想通りに美しく、何ともそそられる扇情的な肉体よ。
 だが、完熟ボインまでは、あと五年といったところか』

「む」

 予想通りのエロい目を向けて来やがって。
 セクハラな発言など無視だ、無視。
 それよりも、挨拶がまだだったな。

 ローズさんは夜叉猿を無視してサタンを正面に見据えると、合掌してペコリと一礼してから名乗りをあげる。

「わたくしの名はローズ・アルファ・ザッツバーグ」

「ピッピッピッピ~、ピッピピッピ~」
[私はスライムのロゼ、先程そのような名前を頂きました、と言っている]

 そこで区切ると、半身となり、ググッと重心を後ろに屈伸するよう深く腰を落とし、左右の掌底を突き出したカンフーポーズを決めて、いざ宣言する。

「我が薔薇薔薇拳で、サタンをバラバラにしに参りましたわ!」

「ピッピッピッピ~」
[それを見届けに参りました、と言っている]

 バーンという幻聴の効果音と共に、燃ゆるローズさんのリベンジの狼煙がドーーンッと盛大に立ち上るという幻覚も見えた。
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