20 / 49
ダンジョン・マスター第一部
20.第一章エピローグ
しおりを挟む
調査団との戦いから約二ヶ月、俺達の生活は落ち着きを取り戻していた。
相変わらず冒険者達はやってくるが、防衛の方はメリルの働きでなんとかなっている。
王国の動きはわからないが、キリネ村で情報収集をしているセレナによると、今のところ大規模な軍隊が派兵される様子はなさそうとのこと。そう言えば、皮肉にもダンジョンが出来たことによりキリネ村に訪れる人々が増えて、これから大きく発展していきそうだとも言っていた。
ダンジョンという宝に誘引された冒険者達から金を落としてもらうため、商人達が様々な投資を始めたらしい。人間というのは全く利に聡い生き物である。
後何年かすれば、キリネ村が都市となることもあるのかもしれない。
ダンジョンに住む皆の生活も、以前のように戻った。
違いと言えば、前よりもお互いが打ち解けてきて、仲が良くなったことだろうか。
人間が嫌いなメリルも、セレナとリーゼに対しては険しい顔を見せなくなった。
和気あいあいと会話するまではいかないが、それでも世間話程度はするようになったのだ。
これから時間をかけて、もっと打ち解けていければいいと思う。
ちなみに俺の生活にも多少変化があった。
普段通り魔法の練習やセレナとの戦闘訓練、そしてリーゼとの雑談などは変わらないが、週に一度程度、そこにメリルとの晩酌が追加された。
メリルは酒が入っても饒舌に喋るようなタイプではないので、結構静かな晩酌だったりするのだが、俺としてはその空気が居心地よく感じる。
しかし、一度メリルの持ってきたお酒が、酒じゃなくてジュースだったことがあった。疑問に思ってメリルを見ると、メリルは一瞬眉根を寄せてから執務室を出ていき、しばらく後にアーシャを引っ張ってきた。どうやらアーシャが酒の中身を入れ替えたらしい。
既に半分酔っ払った状態のアーシャがメリルに怒られながら、飲んでしまった酒の代わりにつまみを差し出したことにより、メリルの怒りは鎮静した。
それからの晩酌には、たまにアーシャが合流するようになった。
なんだかんだで、あの二人は良いコンビである。
ちなみに飲んだ翌日は、アーシャはいつにも増して眠そうである。いや、いつも眠そうだからあまり区別がつかないっちゃつかないのだが。
ダンジョンの方は、順調に開拓が進んでいる。第四層の開拓は概ね完了しており、後は細かい調整をすれば引越し作業に入れる。
第四層の開拓がほぼ終わったことにより、結界陣で呼び出せる魔物もより強力なものとなった。とはいえまだぎりぎり中級に届くか届かないかという強さの魔物しか呼び出せないのだが。
そう言えば結界陣の扱いに慣れたためか、過去に呼び出したことのある魔物であれば、その魔物をイメージしながら召喚を行うことにより、任意に呼び出すことが可能になった。
しかし、今はまだ魔物のレパートリーを増やしていきたいので、任意召喚はほとんど実施していない。もっともっと多くの種類の魔物を呼び出せるようになったら、任意召喚で種族の統一を図って行きたいと思う。
こうして俺達の生活は一時の平和が訪れた。願わくば、このまま穏やかな日々を過ごしたいものだ。
──人間界某所──
「失敗した? なぜですの!?」
魔王征伐軍が結成されるどころではない、調査団すら次に派遣されるのはいつになるかわからない、そう報告されたエレーナが部下を叱責する。
「は、人間共の調査団が全滅したためです」
「全滅? どうしてそんなことが!」
「まともにやりあったら奴らの戦力では殲滅など出来ないでしょう、恐らく魔王か幹部が前線に出たのだと」
「恥知らずの魔族共、人間風情に自分たちで戦ったのですか!」
「はい、そうでなければ全滅などありえません」
ダンジョンに全員が突入するわけではないのだ、よっぽどのことが無い限り、通常は全滅などありえない。
「こんな結果では、お姉さまに合わせる顔がありませんわ……」
「どうしますか?」
「今考えてるのよ! 静かになさい!」
「も、申し訳ありません」
「もういいわ、一旦下がって」
「は、失礼いたします」
一礼して部下が出ていく。
「……どうすれば、どうすればいいかしら……」
エレーナは何か案がないかと必死に考える。
「このまま終わるなんて絶対に認めませんわ」
エレーナは所詮人間と期待はそこまで高くなかったが、自分の考えた案を破られたことに許しがたい屈辱を味わっていた。
「人間が駄目なら兵を使って……いや、駄目ですわ、それはお許しにならないでしょう」
自分に兵を動かす権限はない、兵を動かすには上層部の許可が必要になる。
「いや、ですがあの手なら……そうですね、いけますわ」
何事かを思いついたエレーナは、笑みを浮かべると早速準備へと取り掛かった。
相変わらず冒険者達はやってくるが、防衛の方はメリルの働きでなんとかなっている。
王国の動きはわからないが、キリネ村で情報収集をしているセレナによると、今のところ大規模な軍隊が派兵される様子はなさそうとのこと。そう言えば、皮肉にもダンジョンが出来たことによりキリネ村に訪れる人々が増えて、これから大きく発展していきそうだとも言っていた。
ダンジョンという宝に誘引された冒険者達から金を落としてもらうため、商人達が様々な投資を始めたらしい。人間というのは全く利に聡い生き物である。
後何年かすれば、キリネ村が都市となることもあるのかもしれない。
ダンジョンに住む皆の生活も、以前のように戻った。
違いと言えば、前よりもお互いが打ち解けてきて、仲が良くなったことだろうか。
人間が嫌いなメリルも、セレナとリーゼに対しては険しい顔を見せなくなった。
和気あいあいと会話するまではいかないが、それでも世間話程度はするようになったのだ。
これから時間をかけて、もっと打ち解けていければいいと思う。
ちなみに俺の生活にも多少変化があった。
普段通り魔法の練習やセレナとの戦闘訓練、そしてリーゼとの雑談などは変わらないが、週に一度程度、そこにメリルとの晩酌が追加された。
メリルは酒が入っても饒舌に喋るようなタイプではないので、結構静かな晩酌だったりするのだが、俺としてはその空気が居心地よく感じる。
しかし、一度メリルの持ってきたお酒が、酒じゃなくてジュースだったことがあった。疑問に思ってメリルを見ると、メリルは一瞬眉根を寄せてから執務室を出ていき、しばらく後にアーシャを引っ張ってきた。どうやらアーシャが酒の中身を入れ替えたらしい。
既に半分酔っ払った状態のアーシャがメリルに怒られながら、飲んでしまった酒の代わりにつまみを差し出したことにより、メリルの怒りは鎮静した。
それからの晩酌には、たまにアーシャが合流するようになった。
なんだかんだで、あの二人は良いコンビである。
ちなみに飲んだ翌日は、アーシャはいつにも増して眠そうである。いや、いつも眠そうだからあまり区別がつかないっちゃつかないのだが。
ダンジョンの方は、順調に開拓が進んでいる。第四層の開拓は概ね完了しており、後は細かい調整をすれば引越し作業に入れる。
第四層の開拓がほぼ終わったことにより、結界陣で呼び出せる魔物もより強力なものとなった。とはいえまだぎりぎり中級に届くか届かないかという強さの魔物しか呼び出せないのだが。
そう言えば結界陣の扱いに慣れたためか、過去に呼び出したことのある魔物であれば、その魔物をイメージしながら召喚を行うことにより、任意に呼び出すことが可能になった。
しかし、今はまだ魔物のレパートリーを増やしていきたいので、任意召喚はほとんど実施していない。もっともっと多くの種類の魔物を呼び出せるようになったら、任意召喚で種族の統一を図って行きたいと思う。
こうして俺達の生活は一時の平和が訪れた。願わくば、このまま穏やかな日々を過ごしたいものだ。
──人間界某所──
「失敗した? なぜですの!?」
魔王征伐軍が結成されるどころではない、調査団すら次に派遣されるのはいつになるかわからない、そう報告されたエレーナが部下を叱責する。
「は、人間共の調査団が全滅したためです」
「全滅? どうしてそんなことが!」
「まともにやりあったら奴らの戦力では殲滅など出来ないでしょう、恐らく魔王か幹部が前線に出たのだと」
「恥知らずの魔族共、人間風情に自分たちで戦ったのですか!」
「はい、そうでなければ全滅などありえません」
ダンジョンに全員が突入するわけではないのだ、よっぽどのことが無い限り、通常は全滅などありえない。
「こんな結果では、お姉さまに合わせる顔がありませんわ……」
「どうしますか?」
「今考えてるのよ! 静かになさい!」
「も、申し訳ありません」
「もういいわ、一旦下がって」
「は、失礼いたします」
一礼して部下が出ていく。
「……どうすれば、どうすればいいかしら……」
エレーナは何か案がないかと必死に考える。
「このまま終わるなんて絶対に認めませんわ」
エレーナは所詮人間と期待はそこまで高くなかったが、自分の考えた案を破られたことに許しがたい屈辱を味わっていた。
「人間が駄目なら兵を使って……いや、駄目ですわ、それはお許しにならないでしょう」
自分に兵を動かす権限はない、兵を動かすには上層部の許可が必要になる。
「いや、ですがあの手なら……そうですね、いけますわ」
何事かを思いついたエレーナは、笑みを浮かべると早速準備へと取り掛かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜
タナん
ファンタジー
オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。
その世界は魔法があり、強大な獣が跋扈する男女比が1:20の男が少ないファンタジー世界。
モテない自分にもハーレムが作れると喜ぶ湊だが、弱肉強食のこの世界において、力で女に勝る男は大事にされる側などではなく、女を守り闘うものであった。
温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。
それでも戦わなければならない。
それがこの世界における男だからだ。
湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。
そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。
挿絵:夢路ぽに様
https://www.pixiv.net/users/14840570
※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる