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 三本目のドンペリニヨンを入れた頃には酒に弱い俺は既にフラフラで、それでも時也ときやさんとまだ話がしたくて気力を振り絞る。

「あー、そうだー時也さんのその瞳の色、カラコンですかー?」

「コレ? 俺の祖父じいさんがロシア人なんだよ。みんなにカラコンって言われんのがちょっとコンプレックスなんだよなぁ……。ってか、ひじりちゃん大丈夫か? 顔真っ赤だしフラフラだし喋り方おかしいぞ? 酒弱いのか? 無理して飲んでる?」

「全然大丈夫ですよー。時也さんのためならいくらでもボトル入れちゃいますからー。あー、でも俺ちょっとトイレ――」

 そこで立ち上がると一気に酔いを自覚したのだろうか、足元が覚束おぼつかなくなり、フラッと意識が朦朧として――。

「おっと」

 時也さんの腕に抱き留められたのだとわかったけれど、「あ、すみませ――」それだけ何とか呟いたらたちまち頭の中が真っ白になって。

 時也さんが「聖ちゃん? 聖ちゃん?」と遠くで名前を呼んでくれているのがわかったけれど、既に半ば意識を手放していた――。

(時也さんにこのまま介抱してもらえたら……。俺のために時間を使ってくれたら……)

 なんて、ナンバーワンを独占するだなんて無理な話だとわかっているくせに、そんなことを頭の中で祈りながら。

(俺、まさか恋じゃないよな……?)

 時也さんが抱き留めてくれている腕が温かくて、何かよくわからない多幸感に包まれて縋るようにそれを掴んだまま、俺の意識は断絶した。
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