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「失礼します」
亜美さんを見送って閉店の準備を終えるなり、俺はすぐさまオーナー・九条さんの居る事務所を訪ねた。
真夜と共通で親交が深い知り合いと言えば九条さんだけだ。
「ああ……。お疲れ、宇大」
「九条さん、今日……真夜、無断欠勤しましたね。まさかこのまま飛ぶつもりじゃないですよね? 九条さんには何か連絡はありましたか? 真夜の家が何処かわかりますか? 俺……真夜がまた男娼に戻るんじゃないかって心配で……」
ソファに座っていた九条さんが吸っていた煙草を灰皿に揉み消しながら「まぁ、座れ」と促してきたので、俺は黙って九条さんの正面に座った。
「俺には何も連絡は無い。真夜を拾った当初こそしばらく一緒に暮らしたけど、アイツがホストで稼げるようになってからは一人暮らしをしている。なぁ……宇大。真夜が飛ぶような原因を作ったのはお前だろ? そんなアイツの行動を詮索するような真似を出来る立場だと思うか?」
「……すみません……。俺にはそんな資格がないのはわかっています。でも、俺が傷付けてしまったからこそ真夜が心配で……。せめて今、どこでどうしているのか……俺のせいでこのまま店に出ないようなことになってしまったら……それだけは避けたいんです」
「真夜はさ……宇大にそんな仕打ちを受けたのに『俺が悪かった』と泣いていたよ。今日は俺がアイツの様子を見に行くから、後でまた連絡する。宇大も一緒に連れて行ったりしたら出てくるモンも出てこないかもしれない。今日はもう帰ってくれ。お前にそんな風に傷付けられた真夜が追い詰められている心境を思うだけで胸が痛むんだ。そんなことをされて――どうして宇大を庇うのか理解出来ない。ただ、俺はこのまま真夜が行方をくらませても見限るつもりは無いから。そこは安心してくれ」
――真夜……何でお前のせいなんだよ。悪いのは俺だろう。
亜美さんを見送って閉店の準備を終えるなり、俺はすぐさまオーナー・九条さんの居る事務所を訪ねた。
真夜と共通で親交が深い知り合いと言えば九条さんだけだ。
「ああ……。お疲れ、宇大」
「九条さん、今日……真夜、無断欠勤しましたね。まさかこのまま飛ぶつもりじゃないですよね? 九条さんには何か連絡はありましたか? 真夜の家が何処かわかりますか? 俺……真夜がまた男娼に戻るんじゃないかって心配で……」
ソファに座っていた九条さんが吸っていた煙草を灰皿に揉み消しながら「まぁ、座れ」と促してきたので、俺は黙って九条さんの正面に座った。
「俺には何も連絡は無い。真夜を拾った当初こそしばらく一緒に暮らしたけど、アイツがホストで稼げるようになってからは一人暮らしをしている。なぁ……宇大。真夜が飛ぶような原因を作ったのはお前だろ? そんなアイツの行動を詮索するような真似を出来る立場だと思うか?」
「……すみません……。俺にはそんな資格がないのはわかっています。でも、俺が傷付けてしまったからこそ真夜が心配で……。せめて今、どこでどうしているのか……俺のせいでこのまま店に出ないようなことになってしまったら……それだけは避けたいんです」
「真夜はさ……宇大にそんな仕打ちを受けたのに『俺が悪かった』と泣いていたよ。今日は俺がアイツの様子を見に行くから、後でまた連絡する。宇大も一緒に連れて行ったりしたら出てくるモンも出てこないかもしれない。今日はもう帰ってくれ。お前にそんな風に傷付けられた真夜が追い詰められている心境を思うだけで胸が痛むんだ。そんなことをされて――どうして宇大を庇うのか理解出来ない。ただ、俺はこのまま真夜が行方をくらませても見限るつもりは無いから。そこは安心してくれ」
――真夜……何でお前のせいなんだよ。悪いのは俺だろう。
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