その火遊び危険につき~ガチで惚れたら火傷した模様~

ちろる

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 家に帰ってすぐにスマートフォンを取り出すと真夜まやから何かメッセージが入っていないか確認してみたが、何も連絡はきていなかった。

 仕事の合間に送った『真夜、明日は来るよな? どこにいる? 連絡をくれ』というメッセージにも〝既読〟の表示はついていない。

 真夜は今頃どうしているだろうか。

 例えこのままホストを辞めてしまうとしても、しばらくは昼職を探すこともなく遊んで暮らせるだろうから金には困らないかもしれない。

 しかし、性依存という問題がある。

 金に困らずとも隙間を埋めてくれる男を探すために男娼の道へ戻ってしまう可能性はあるのだ。

 あの臀部でんぶに押し付けられていた無数の煙草の火傷痕のように、またどんな危ない客に引っかかるかわかったものじゃない。

 真夜の依存は俺だけが埋める、俺だけがそばにいる……そう誓ったはずなのにどうしてこんなことに……。

 確かに俺がした行為は許されないものだが、一人を愛することに怯え、恐怖に逃げ出される程度にはまだ俺は真夜にとって信じるに値しなかったということだ。

(俺は添い遂げるつもりで男に手を出したんだがな……)

 信じてもらえなかったことも悔しいし、信じきれないでいた真夜に追い打ちをかけてしまったのも最低だ。

 悶々とビールを煽っていると不意にスマートフォンが着信を告げたので(真夜!?)と思いながら急いで持ち上げるとディスプレイには『九条くじょうさん』と表示されていた。

「九条さん?」

宇大うた、真夜の家に行ってみたんだけど居なかった。とりあえず今日はもう手の打ちようがない。真夜からの連絡を待つしかないな』

「本当にすみません……。とりあえず明日は出勤すると信じて今日は休みます。失礼します」

 電話を切って、再び真夜にメッセージを送った。

『真夜、悪いのは俺だ。俺をかばわなくていい』

 〝既読〟がつかないのはスマートフォンが壊れてしまったのだろうか。
 やっぱり、俺が真夜を壊してしまったからだろうか。

 こんな機械の文章に返事などいらないから、今すぐ俺に声を聴かせてはくれないだろうか――。
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