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真夜の太客、キャバクラ嬢のエミリさんが騒いでいたのは翌日の開店後すぐのことだ。
基本的にホストは『永久指名制』になっているので、自分の担当客以外の客の話は知らないものだが、エミリさんは真夜が働き出した三ヶ月前から、真夜が休みの日以外は合間を縫って毎日のように会いに来ているので名前と顔くらいは認識している。
昨日も真夜に会いに来ていたのに欠勤、今日も会いに来て欠勤……ということで、ややヒステリックに店の入口で「真夜はどこ!? まさか飛んでないわよね!? もう会えないだなんてことないわよね!?」と喚いているのを九条さんが必死に宥めていた。
『ネロック』は基本的に客層の品位が高いので、このように喚く客は珍しい痛い客、いわゆる〝痛客〟と言える。
真夜の二日連続の欠勤で店の売り上げにとっても九条さんは頭を抱えているだろうに、このような真夜に心酔している客のあしらいも相当な苦労だろう。
(それでも真夜を見限らないなんて本当に良い人だよな……。一時でも真夜の愛人だと信じていて申し訳ない……)
まぁ、店の売り上げについては時也さんも俺も、そしてナンバーファイブまでの売れっ子がいつも以上に営業を増やしカバーしている。
九条さんはいつ真夜が戻ってきてもいいように真夜の客へのフォローを怠らないし、体調不良で出勤出来ないのだと一人一人丁寧に扱っていた。
入口でヒステリックに叫ぶエミリさんを横目に入れながら、俺は自分の客のテーブルを周っていた。
(真夜……早く戻ってこい。お前を待っている客がたくさんいるぞ……)
多分、俺や九条さんが身動きが取れない営業中などはちょこちょこ家に帰っているだろうし、一日中真夜の家の前に張り付いていれば会えるのかもしれない。
ただ、九条さんも俺も店を疎かにするわけにはいかないからどうすることも出来ないのがもどかしくてたまらない。
スーツの内ポケットの中でスマートフォンが振動するたび真夜じゃないかと焦るけれど、何度見ても営業メッセージへの客からの返信だけだった。
今日はどこの男と居るんだ、真夜――。
真夜の太客、キャバクラ嬢のエミリさんが騒いでいたのは翌日の開店後すぐのことだ。
基本的にホストは『永久指名制』になっているので、自分の担当客以外の客の話は知らないものだが、エミリさんは真夜が働き出した三ヶ月前から、真夜が休みの日以外は合間を縫って毎日のように会いに来ているので名前と顔くらいは認識している。
昨日も真夜に会いに来ていたのに欠勤、今日も会いに来て欠勤……ということで、ややヒステリックに店の入口で「真夜はどこ!? まさか飛んでないわよね!? もう会えないだなんてことないわよね!?」と喚いているのを九条さんが必死に宥めていた。
『ネロック』は基本的に客層の品位が高いので、このように喚く客は珍しい痛い客、いわゆる〝痛客〟と言える。
真夜の二日連続の欠勤で店の売り上げにとっても九条さんは頭を抱えているだろうに、このような真夜に心酔している客のあしらいも相当な苦労だろう。
(それでも真夜を見限らないなんて本当に良い人だよな……。一時でも真夜の愛人だと信じていて申し訳ない……)
まぁ、店の売り上げについては時也さんも俺も、そしてナンバーファイブまでの売れっ子がいつも以上に営業を増やしカバーしている。
九条さんはいつ真夜が戻ってきてもいいように真夜の客へのフォローを怠らないし、体調不良で出勤出来ないのだと一人一人丁寧に扱っていた。
入口でヒステリックに叫ぶエミリさんを横目に入れながら、俺は自分の客のテーブルを周っていた。
(真夜……早く戻ってこい。お前を待っている客がたくさんいるぞ……)
多分、俺や九条さんが身動きが取れない営業中などはちょこちょこ家に帰っているだろうし、一日中真夜の家の前に張り付いていれば会えるのかもしれない。
ただ、九条さんも俺も店を疎かにするわけにはいかないからどうすることも出来ないのがもどかしくてたまらない。
スーツの内ポケットの中でスマートフォンが振動するたび真夜じゃないかと焦るけれど、何度見ても営業メッセージへの客からの返信だけだった。
今日はどこの男と居るんだ、真夜――。
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