テメェを離すのは死ぬ時だってわかってるよな?~美貌の恋人は捕まらない~

ちろる

文字の大きさ
8 / 58

しおりを挟む
「おかえりなさい、はやてくん」

 リビングの扉をくぐると由貴ゆきが既にシャワーを浴びていたようで、バスローブ姿で白磁はくじの素足を組みながらソファでくつろいでいた。

「ああ……」

 短く返事をしてネクタイを引き抜いていると、由貴が「――で、あかりちゃんと話していたみたいですけど、連絡先は訊けましたか? 今日こそおつかいはちゃんと出来たんですよね?」なんて話し掛けてくるから。

 俺は不機嫌さを隠そうともせずに由貴の隣に座ってスーツの内ポケットから煙草を取り出すと、一本くわえて火を点けた。

 また、バレないように煙と一緒に溜め息も吐き出す。

「テメェのおつかいとやらは遂行した。けどな――」

 そこで言葉を切ると由貴は俺の硬質な顎のラインをてのひらで辿ってくるので、思わず身体にも火が点きそうになって焦る。

 そんな俺の焦りを知ってか知らずか、なまめかしい手付きで内腿を撫でさすりながら「けどな? なんですか?」と際どい部分に指を這わせてくるから厄介だ。

小鳥遊たかなしは俺のことが好きだとさ。どうする?」

「どうするってどういう意味ですか? 颯くんこそどうするんです?」

 言いながら、今度は確信を持って下腹の中心をなめらかな手で揉んでくるから「……っ」と、思わず煙草の灰を落としそうになって慌てて灰皿に揉み消した。

「――お前と同じことをするって言ったらどうする?」

「颯くんも言うようになりましたね? 僕に止めて欲しいですか?」

 ――止めて欲しいっつーの。

 由貴だって俺に執着してるんだってところを少しは見せてはくれないのかよ……なんて素直に言えない俺は何故かされるがままソファに押し付けられて。

 ゆっくり、唇を由貴のそれで塞がれる。

「颯くんの行動に任せますよ?」

「煙草吸ったらキスしねぇんじゃなかったのか?」

 俺の衣服を剥ぎ取りながら「今日は例外サービスです」なんてぼたんをむしり取られるように開かれたシャツの中に忍び込んできた繊細な指が、探し出された胸先をつままれる刺激に「ふっ……」と甘い息が吐き出される。

 いささか性急にスラックスのベルトが外されて、下着ごとそれを引き抜かれたと思ったら、由貴はバスローブの腰紐を惜しげもなくほどいて、陶器のように白い裸身らしんを晒して圧しかかってきた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ショコラとレモネード

鈴川真白
BL
幼なじみの拗らせラブ クールな幼なじみ × 不器用な鈍感男子

僕のために、忘れていて

ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────

君に二度、恋をした。

春夜夢
BL
十年前、初恋の幼なじみ・堂本遥は、何も告げずに春翔の前から突然姿を消した。 あれ以来、恋をすることもなく、淡々と生きてきた春翔。 ――もう二度と会うこともないと思っていたのに。 大手広告代理店で働く春翔の前に、遥は今度は“役員”として現れる。 変わらぬ笑顔。けれど、彼の瞳は、かつてよりずっと強く、熱を帯びていた。 「逃がさないよ、春翔。今度こそ、お前の全部を手に入れるまで」 初恋、すれ違い、再会、そして執着。 “好き”だけでは乗り越えられなかった過去を乗り越えて、ふたりは本当の恋に辿り着けるのか―― すれ違い×再会×俺様攻め 十年越しに交錯する、切なくも甘い溺愛ラブストーリー、開幕。

先輩のことが好きなのに、

未希かずは(Miki)
BL
生徒会長・鷹取要(たかとりかなめ)に憧れる上川陽汰(かみかわはるた)。密かに募る想いが通じて無事、恋人に。二人だけの秘密の恋は甘くて幸せ。だけど、少しずつ要との距離が開いていく。 何で? 先輩は僕のこと嫌いになったの?   切なさと純粋さが交錯する、青春の恋物語。 《美形✕平凡》のすれ違いの恋になります。 要(高3)生徒会長。スパダリだけど……。 陽汰(高2)書記。泣き虫だけど一生懸命。 夏目秋良(高2)副会長。陽汰の幼馴染。 5/30日に少しだけ順番を変えたりしました。内容は変わっていませんが、読み途中の方にはご迷惑をおかけしました。

六日の菖蒲

あこ
BL
突然一方的に別れを告げられた紫はその後、理由を目の当たりにする。 落ち込んで行く紫を見ていた萌葱は、図らずも自分と向き合う事になった。 ▷ 王道?全寮制学園ものっぽい学園が舞台です。 ▷ 同室の紫と萌葱を中心にその脇でアンチ王道な展開ですが、アンチの影は薄め(のはず) ▷ 身代わりにされてた受けが幸せになるまで、が目標。 ▷ 見た目不良な萌葱は不良ではありません。見た目だけ。そして世話焼き(紫限定)です。 ▷ 紫はのほほん健気な普通顔です。でも雰囲気補正でちょっと可愛く見えます。 ▷ 章や作品タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではいただいたリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

明日の君は俺を知らない。

マジ卍
BL
幼なじみの蓮と悠人。 一緒に生きていくはずだったふたりの関係は、ある日突然崩れた。 病気、記憶喪失、そして──再会。 「俺を……置いていかないで」 切なくて、優しい。再び心をつなぐ、純愛BLストーリー。 ストックの方は完結済みです。

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

処理中です...