神様になれる学校【神技神術学校】第1SEASON

名探偵プリンス

文字の大きさ
6 / 16
第1章 失われた命

6 残酷な事実

しおりを挟む
ヒリュー「疑問なのは、今回は例年よりなぜかイケニエが2人も増えたという事実だ。なぜ神々はそんなことをしたのか?

君たち2人は気をつけたほうがいい。 神々はなんらかの理由があって君ら2人をイケニエに選んだ可能性があるかもしれない。

君らは政府からだけではなく、神々からも狙われているのだ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


カホ「タカト!タカト!」


タカトは、ハッ!とする・・・・


カホ「タカト、ちゃんと聞いてるの?今、丁寧に説明してくれてるのよ。」


タカトは、昨日ヒリュー将軍に言われたことが頭からずっと離れず、マーベルの校舎内の説明をちゃんと聞いていなかった・・・



カホ「ごめんね、タカトがボーッとしてて・・・」

マーベル「いや・・・・」


なんだか、知らないがマーベルは、かなり2人を警戒している様子だ・・・・・同時に2人に何やら、言い知れぬ怒りみたいなものも抱えてそうな様子だ。



【神技神術学校】の中は、想像以上に広かった。

中世ヨーロッパのお城をイメージしてもらえれば、わかりやすい。

レンガと鉄筋で造られた、いかにも頑丈そうなお城だった。



校舎内には、赤いマントに、革命軍が作ったと思われる制服に身を包んだ様々な年代の子供たちがいた。


恐らく、この学校の生徒だろう・・・


生徒たちは、タカトとカホを見かけると、口々に「ヒ!」と悲鳴を上げ、2人から距離をとって、ヒソヒソと恐ろし気に何か話している・・・


「あれって・・・大量殺人鬼の・・・」

「ああ、今、指名手配中の奴だろ?」

「ゼギウス府を呪った子供たち・・・」

「なんで、ここに・・・」


2人をまるで悪魔かのように、そんな噂話をしている。




タカト「まあ、無理もないか・・・・俺たちは今、お尋ね者だからな・・・・」

カホ「根も葉もない様なデマばかりを、人類新聞がながしているからね。」

タカト「だが、そんな情報を鼻から信じているようじゃ、ここの連中の頭もたかが知れているぜ。そんな調子じゃ、神々と闘う前に、やられちまうだろうな・・・・」


タカトは、周りの生徒を見下すように、そう言い放つ。


マーベル「!!」


マーベルは、その言葉にピクッと反応する・・・・



カホ「ちょっと、タカト!そんなこと言ってたら、また友達なんて出来ないわよ!」


カホは、心の中で、もう!と言いながら

今のタカトの発言で、マーベルが怒ってないか、確認するように会話を始めた。



カホ「あ、あの・・・マーベル君って言ったよね?君は、機械をいじったりするのが好きなの?」


マーベル「え?」


マーベルは、なんでそれがわかるの?と言わんばかりの目でカホを見る・・・


カホ「だって、君のポケットの中にはペンチやスパナ、ボルトが入ってるし、さっきもアカギさんに勝手に戦車を触ったりして怒られたって言われていたじゃん。
そんなに機械いじり好きなのかな~って・・・」


カホが微笑みながら、そう質問してきて


ドキ!


思わず、胸が激しく動くマーベル・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


マーベル「父さんは、革命軍の科学者だったんだ・・・・だから、僕も得意なだけ・・・ただ、それだけさ・・・」


マーベルは、顔が赤くなったのを見られないよう、背を向けながら、そう言った。


タカト「だったってことは・・・・今、親はどうしてんだよ?」

カホ「タカト!」


カホは、察しろ!と言わんばかりに、デリカシーの欠片もないタカトに強い声を上げる。


そして、それは禁断の質問だった・・・

マーベル「両親とも革命軍のスパイとして、ゼギウス府に潜入し、人類政府の動向を調査する任務の矢先、府内に神獣と天使が襲来した・・・・君らが、府内から逃げた日だ。

そして、僕の両親の死亡報告が来た。神獣に踏みつぶされて亡くなったと・・・・」


マーベルは、2人を思いきり睨んだ。

君らが、逃げなければ、あの日神々がゼギウス府に攻めてくることもなかった・・・・僕の親も死ぬ必要がなかった・・・・と言わんばかりの目で。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




タカト「そうか・・・・それは気の毒だったな・・・・」

と他人事のように言うタカト・・・・・


マーベルは、信じられない!と言わんばかりの顔でタカトを見た。

こいつ・・・人間の心はあるのか? 




マーベル「僕の親だけじゃない!この学校にいる多くの生徒の中には、ゼギウスに親を残し、ここに来た子がたくさんいる。 君らの勝手な行動が、ここにいる多くの子の親を奪ったんだ!
それに対して申し訳ない、という気持ちはないのか?!」


マーベルは、感情を抑えきれずに、溢れ出る怒りを荒げた声に、のせてしまった・・・


タカト「だったらなんだ?謝ってほしいのか?人類のためにイケニエならず、勝手に逃げてしまって、すいませんって!
じゃあ、俺たちの命は踏み台か?黙ってされるがままに、お前らの親のためにイケニエになって死ねって言うのかよ?!」


タカトも完全に敵意むき出しで、言葉の攻撃をする。


マーベル「ああ!黙って人類の犠牲になって死ねばよかったんだ!」


頭に血がのぼったマーベルは、売り言葉に買い言葉のようにそう言ってしまった・・・
実際は、そんなこと思ってないのに・・・・

でも親を失ったやり場のない感情を、誰かにぶつけないと気が済まない・・・

その思いが勝ってしまったマーベル・・・・


タカト「お前らだってイケニエになるのが、死ぬのが嫌だったから、革命軍に入って、この学校に入学したんだろう?!
死にたくない気持ちは、お前らだって同じだろうが!なんで、それがわからねえんだよ?!」


それはわかっていた・・・・マーベルも・・・でも・・・・


タカト「あの天刑台で・・・・俺らと同じ年代の子供たちが、イケニエとなって、兵士に殺される悲鳴をお前は聞いたことがあるのか?
俺たちは、それを目の前で見ちまったんだぞ!それを見て、同じことが言えんのかよ?!」


わかってる・・・・わかってるんだよ・・・・でも・・・

誰かに感情をぶつけないと・・・・

誰かのせいにしないと・・・・

父さんと母さんを失った悲しみや怒りが、晴れないような気がしたんだ・・・・



タカト「それに・・・俺だって・・・・俺だって・・・・」


タカトは、その時・・・・

脳裏に、あの時、自分に話しかけてきた神との対話の記憶と、両親の涙に濡れた顔がよぎった・・・・


そうだ・・・・・


俺は、自分で親を殺したようなものだ・・・・




タカト「もう、親はいない・・・・・」


!!

マーベルは、ハッ!とっする。


そして、もう何も言えなくなったのか、2人の前から急いで走って去っていってしまった・・・・


そこにいるのが、耐えられなくなったのだ・・・・



カホ「マーベル君!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



辺りは急に静かになった・・・・


言い合いで真っ赤になった顔のタカトに近づくカホ・・・・・・


見ると、タカトは必死に涙をこらえている様子だったが、どうやら我慢できなかったらしい。


ポロポロと地に雫が落ちていた・・・



そんなタカトの様子を見て、冷静だったカホも思わず泣きそうになってしまった・・・・



カホはタカトの肩をギュッと抱きしめ、なるべく冷静さを保った声で、さとすようにこう言った。



カホ「起こった事実に関しては、【仕方なかった】で解決するしかないけど・・・・・


人の気持ちは【仕方なかった】じゃ解決することはできない。



大切な人を失った、やり場のない悔しい気持ちは、あなたが1番わかるはずでしょ?」




タカトは何か言おうしたが、返せる言葉がなかった・・・・



カホ「こんな事言う権利、私にはないかもしれないけど・・・・

痛みを分かち合う心を持たないと、いつまでも仲間なんてできないと思う。


私達が、逃げたことで、多くの人が亡くなったのは事実なのだから・・・・・

みんな、大切な人を・・・・・・・故郷をなくしている・・・・・・まずは、その痛みを互いに理解してからでないと、前には進めない。


神様と闘うにしても、故郷を取り戻すにしても・・・・・私たちは、1人じゃ何もできないんだから・・・・・


例え、人類新聞が私たちのデマを流していようと・・・・

その情報に振り回されて、みんなが私たちから遠ざかろうと・・・・


その心さえあれば・・・・いつか、きっと・・・・・」



タカト「んなもん理想論にすぎねえよ! 所詮、人間なんてバカなんだからよ!それに俺は仲間なんていらねえ!
そんなものなくたって、1人で戦える!」


カホの言っていることを理解できてはいる・・・・

そして、俺みたいに、すぐつっかかる奴が、上手くいかないことも・・・・

でも、どうしても素直に言うことを聞けねえ・・・・・




その時だった!


校舎内のどこからか、大きな鐘の音がなった・・・・

そして、大きな声で誰かが・・・・


「ただいまより、訓練を開始する!全校生徒は、いつもの場所に集まれ!」























しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...