神様になれる学校【神技神術学校】第1SEASON

名探偵プリンス

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第1章 失われた命

10 新たな出会いの果てにあるもの

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カホ「きゃ!!」

間一髪、全身針だらけの吸血植物スブロダの手から逃れるカホ・・・

カホの悲鳴で、タカトも目が覚め、瞬時に何が起こっているのか把握した・・・・


タカト「ちくしょう・・・こんな所で死んでたまるか・・・・」


死んでたまるか・・・死んでたまるか・・・

いきなり日常を奪われ、わけもわからず、必死に逃げてきて、それでも何もわからず、殺されていくなんて・・・


タカトは、ポケットの中に入れていた肉切り用のナイフを取り出した!


タカト「カホ!離れてろ!」


もう、ごめんだ・・・何かを奪われるのは・・・・

死ぬのはごめんだ・・・


俺たちは、まだ何も知らないんだぞ!



タカトがナイフを持ち、スブロダを刺そうとする・・・・

ドガン!

だが厳しい自然界で生き抜いてきた吸血植物の太い茎の攻撃は、タカトの小さな身体を簡単に
吹っ飛ばしてしまった・・・・


タカト「うわあああ!」

カホ「タカト!」


絶体絶命のピンチ・・・・・・・その時だった!!


「君たち!そこをどいてるんだ!」

その声と同時に、巨大な火炎がスブロダの身を包んでいく・・・・

火炎に包まれたスブロダは、植物なのに、まるで人間のように悶え苦しみ、やがて焼け焦げて動かなくなった・・・・

火炎放射器を手に持った背の高い優顔のその少年は、倒れている2人を見ながら・・・


「やあ、大丈夫かい?」


と優しく声をかけた・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ギルデロイ「丸腰の子達は毎回数名出るけど、入学初日で何も知らないまま、丸腰でこの森に入らされるのは可愛そうだね(笑)」

優顔の少年の名は、ギルデロイと名乗った。

装備は、しっかりと身につけており、騎士の甲冑に、腰には剣・・・背中には火炎放射器を背負っている・・・・

どうやらギルデロイは、倉庫での激しい争奪戦に勝った勝ち組らしい。


タカトとカホの2人は、ギルデロイの後ろについてゆきながら、周囲を警戒しながら歩く。

またいつ何時、あの恐ろしい植物や、まだ遭遇してない巨大怪獣や怪物に鉢合わせるかわからない・・・


カホ「あの・・・本当にありがとね・・・」

ギルデロイ「なあに、困った時はお互い様さ。今度、僕がピンチの時は君たちが助けてくれればいい・・・」

カホ「もちろん、そうさせてもらうわ。」

ギルデロイ「それに、こんな恐ろしい森を何の知識もない新入生2人が歩くのは危険すぎるよ・・・まったく・・・訓練長もみんなも慈悲の心ってのが無さすぎる・・・この森は、訓練で入る度、毎回生徒の3割は生きて帰ってこられないんだ・・・ほとんどが行方不明者として処理されてるけど、たぶんほとんどが怪物か怪獣・・もしくはスブロダの餌になっているんだと思う。」

その話を聞いたタカトとカホの顔から血の気がひいていく・・・

ギルデロイ「ハハハハハ、安心しなよ・・・僕だって、毎回死にかけてるけど、こうやってなんとか生還しているんだ・・・君らも僕と一緒にいれば、大丈夫さ。」




タカト「恨んでねえのか?」

タカトが突然、一番気になっていたことを深刻そうに質問した。

ギルデロイ「え?」

タカト「恨んでねえのかよ・・・俺たちが、神々のイケニエにならず、ゼギウスから逃げたことで、この学校の生徒たちの家族や友人の多くが神々に殺されたんだろ? もしかしたらお前の家族だって・・・」

ギルデロイは、そんなタカトの声に素直に回答した。

ギルデロイ「僕の親は、ゼギウスから遠く離れた田舎町に住んでいた・・・だから、今も生きてるし、そもそも恨む動機もないよ・・・でも・・・・この学校のみんなの気持ちもよくわかるよ・・・・」


タカト「そうか・・・そうだよな・・・・」

タカトは、深く落ち込んだように、そう言う・・・

ギルデロイ「みんな、誰かのせいにしていないと、やってられないんだよ・・・神々のイケニエにされないために、小さな頃から親元を離れ、反政府組織である革命軍に入隊し、ずっと家族や兄弟に会えない日々を過ごしてるんだ。

それでも、いつか社会が変わると思って、この地獄のような環境の中、日々、授業と訓練に耐えているんだ・・・

いつか革命軍が勝って、人類の独立を取り戻せる・・・みんな、それを希望に、それを信じてるんだ・・・

でも、それが達成される前に、突然、大事な人たちを亡くして・・・・

きっと、論理では君らのせいじゃない、ってことは、みんなわかっているんだよ・・・

でも新聞が根も葉もないデマを流したり・・・

やり場のない感情を誰かにぶつけたいんだ・・・」


タカト「そうだよな・・・それなのに、俺、あいつに酷いこと言っちまった・・・・」


タカトは、マーベルのことを思い出し、どうやら深く反省していた・・・


ギルデロイ「でも、君たちと同じ状況になったら、僕だって、たぶん必死で逃げていたさ・・・・だから、僕は君たちを責める気にはなれない・・・しょうがないんだよ・・・」


ギルデロイのその言葉に、タカトとカホは少し感動したように、じ~んとしていた。

やっと仲間ができた・・・そう思える瞬間だった・・・


タカト「ありがとな・・そう言ってくれて・・・・あの・・・俺、こんな奴だけど・・・友達になってくれるか?ギルデロイ・ハーバー・・・」

タカトが手を差し出す。

ギルデロイ「もちろんだよ・・・タカト・ヤマト・・・」

2人は、固い握手を交わした・・・・


カホは2人の様子を、ちょっと涙ぐんで嬉しそうに見つめていた・・・



タカトの顔が、ちょっと赤らんでいる・・・


タカト「そ、そうだ・・・な、なんか喉が渇いたな・・・・」

ギルデロイ「ああ、それなら、この近くに川があるよ・・・ここは死の森だけど、水は綺麗で飲めるものだから安心して飲んできなよ。」

ギルデロイの指差す方向には、とても綺麗な川が流れていた・・・

タカト「マジか!ヤッホー、ずっと歩いてきたから、助かったぜ!」


タカトは、ギルデロイとカホより、先に走って川へ行こうとする・・・・




ギルデロイは、そんなタカトの様子を見ながら、ニヤリと笑う・・・



そのまま、その川の水を飲んで、苦しみながら死ぬといい・・・

それは【魔女の聖水】と呼ばれる毒水・・・・・・・・・・



そう・・・・仕方なかったんだ・・・・誰も君たちのことは責められない・・・

誰だって、君らと同じ状況になれば、同じ行動をとる・・・・

だけど、僕はやっぱり、君らのことを許せない!

僕も、みんなと同じさ・・・

君らを責任者にしないと、心が収まらないんだ!

許してくれ!こんな僕を・・・・




そう心の中で思い、ギルデロイは剣を抜いた!

そして、背中を向けているカホに・・・・思いきり斬りかかった・・・・












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