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第1章 失われた命
11 綺麗事
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今日は、父さんと母さんが、ゼギウス府へ行く日・・・・
僕は、家の前で2人を見送る・・・
だけど、とても嫌な予感に襲われるんだ・・・行っちゃダメだ、2人とも・・・
絶対・・・・
マーベル「父さん、母さん・・・本当に行っちゃうの?」
マーベル父 「ああ、私たちが行って情報収集してこないと、革命軍が勝つことはできないだろう?」
マーベル母「良い子でお留守番しててね。学校はサボっちゃダメよ。」
危険な任務がこれから待っているというのに、その日のマーベルの両親は、いつも通りの笑顔で
息子に語りかけていた。
マーベル「なんで?だって2人は科学者だろ?それも革命軍の中で一番優秀な・・・2人は新兵器の開発だけしてればいいじゃないか!なんでそんな危険な任務をやらなきゃいけないんだよ・・」
マーベル母「革命軍も人が足りないのよ・・・大丈夫、すぐ帰ってくるから・・・」
マーベル「でも、もし・・もし政府の連中に、2人が革命軍のスパイだってことがバレたら・・・」
不安そうにそう叫ぶマーベルに、父は優しい笑顔で語りかけた。
マーベル父「いいかい?この世には役割というものがあるんだ・・・
お前も、この長い人生の中で、自分で、自分の心で決めた【自分の役割】を見つけなさい・・・
そうすれば、この悲しくて残酷な世界の中で、少しは生き易くなるはずだ・・・
覚えておきなさい。」
父は、そう言ってマーベルの頭を優しく撫でた・・
マーベル父「それに科学者として、革命軍の宿舎にずっと閉じこもっているわけにもいかない・・・
人類政府の優れた技術力も盗み見なくてはならないしね・・・」
なんで・・・・なんで・・・・・
マーベル「なんで、父さんも母さんも、そんなに明るくいられるんだよ!なんでいつもそんな笑顔で優しくいられるんだよ!この世は、こんなに悲しくて残酷なのに!今も戦争で人が死んでいるのに!
いくら頑張ったって、いくら理想を追いかけたって、いくら努力したって・・・
いくら革命軍が戦ったって・・・
ずっと焼け石に水だったじゃないか!
なんで、そんなに頑張れるんだよ!」
マーベルは思いの丈を全て、ぶつけた・・・・
そうだ、「努力は裏切らない」なんて綺麗事だ・・・とんでもない噓つきだ・・・
いつだって、「努力は裏切る」ものなんだ・・・・
努力は、冷たく人間を裏切る・・・・それは歴史が証明しているじゃないか・・・
300年、子供をイケニエにしてきた、この忌まわしき人類史が・・・・
でも、それを2人はよくわかっているのに・・・・なんで・・・
すると、父は穏やかな顔でしゃがんで・・・マーベルの肩を握り、優しく、でも力強くこう言った・・・
マーベル父「世界を変えたいなら、まず綺麗事を語れ・・・・・昔、ある偉大な哲学者がこう言ったそうだよ・・・」
綺麗事・・・・
マーベル父「こんな非常な時代だから、誰かが綺麗事を言えば、みんなバカにするように非難するかもしれない。
だけど、誰も綺麗事を語る者や信じる者がいなくなれば、それこそ、この世は本当に終わりだろう?
父さんと母さんは革命軍を信じている・・・人間の力を信じている・・・
自分が言う綺麗事の力を信じている・・・
いつか人類が神の支配から解き放たれ、誰一人子供が犠牲にならない社会が来ることを信じている・・そのための役割なら、命も惜しくないんだ・・・
お前たちにとって、幸せな時代が来るなら・・・」
マーベルは、そう語る父の一言、一言をかみしめながら、我慢していた大粒の涙を流していた。
マーベル「絶対、帰ってきてね・・・」
マーベル父「ああ、もちろん帰ってくるとも・・・必ずだ・・・」
マーベル母「私たちがいなくても、しっかり学校で勉強するのよ・・・」
マーベル「うん・・・・」
2人が、家の扉を開く・・・
出発間際、父はもう一度、マーベルの方を振り向き・・・
マーベル父「マーベル・・・・・大丈夫だ。お前が動けば、この世は変わる・・・・信じるんだ・・・」
お前の中の綺麗事を・・・・
父さんの噓つき!母さんも大嫌いだ!
自分たちの理想なんて、一つもかなっていないじゃないか・・・・
何も変わってないじゃないか!
僕を置いていくなんて・・・・僕を置いて、死んじゃうなんて・・・
マーベルは、両親の出発間際の記憶を思い出して、泣きながら、魔界の森の中を走っていた・・・
クソ!
クソ!
クソ!
何で・・・何で・・・・先に死んじゃうんだよ!
僕がこんな地獄みたいな学校に入ったのは、父さんと母さんの綺麗事を信じて、いつか人類が神々に勝てると思っていたからだ・・・
でも、でも、それを言った当人が・・・
言い出しっぺが・・・
一緒にその綺麗事を成し遂げる前に・・・いなくなっちゃうなんて・・・・
どうしてだよ!どうして先に死んじゃうんだよ!
マーベル「父さん・・・母さん・・・」
足を止め、溢れる涙を服の袖でふく・・・
その時だった!!
ハ!
数メートル先に、恐らく生徒だと思われる子達が3人いる・・・
一体、何をしているんだろう?
あ、あれは・・・・
さっきの新入生のタカトとカホ!・・・・
それから、ギルデロイ・・・・
ヤ、ヤバい・・・・
ギルデロイがカホを殺そうとして・・・・タカトが【魔女の聖水】を飲もうとしている!
マーベル「ちょ・・・・」
だが、その時、いつも学校のみんなが言っている言葉が、マーベルの脳裏によぎった。
学校で、みんなが人類新聞を読みながら言っていたこと・・・
「こいつら指名手配犯は、身勝手な行動で、ゼギウス府の俺達の家族を殺した奴らだぞ。例え不可抗力の事案であっても許せない・・・どんな理由があったって・・・」
そうだ・・・・許せない・・・・
あいつは・・・・タカトには・・・少しも申し訳なさそうな態度もなかった・・・
父さんと母さんは・・・二度と戻ってこないのに・・・・
だけど・・・
マーベル「く・・・・・」
だけど、もう一つの言葉が、頭の中でずっと周り続けていた・・・
マーベル父「世界を変えたいなら、まず綺麗事を語るんだ」
また、父の言葉が、マーベルの頭を支配する。
マーベル・・・父さんは、信じている・・・人間を・・・人間の優しさを・・・
長い闘いの果てに・・・きっと、私たちはわかるはずだ・・・
憎しみは、憎しみしか産まないことを・・・・その連鎖なんだと・・・
それがわかった時、始めて人類は1つとなって、神々と闘うことができるようになるだろう・・・
人を信じろ・・・人を許せ・・・・どんなにこの世が試練ばかりをもたらしても・・・
どんなに隣人が醜い所業を繰り返していても・・・
目に映る全てが憎かろうと・・・・
お前だけは、人も世界も信じろ!
お前が動けば、この世は変わる・・・・信じるんだ・・・
マーベル「クソ・・・・・」
父さん・・・・僕は、バカな父親の綺麗事を・・・信じることに決めたよ・・・
マーベル「タカト!その水を飲んじゃダメだ! カホー!今すぐ逃げるんだ!」
ギルデロイは、不意にやってきたマーベルに、虚を突かれたように、剣を持った手の動きが止まる。
タカト「え?」
カホ「え?」
!!
カホは、ギルデロイが自分を剣で殺そうとしていたことがわかり、走って、タカトの元へ駆け寄った。
マーベル「タカト!その川の水は、【魔女の聖水】と呼ばれる毒水だ!飲んだら、身体の全ての内臓器官が動かなくなり死んでしまう!飲んじゃダメだ!ギルデロイは、君らを殺す気なんだ!」
マーベルは、剣を持ったギルデロイと向かい合った・・・
ギルデロイの顔は、タカトとカホに親切だった時の表情は一切なく、鬼のような形相でマーベルを睨みつけた・・・
そして間一髪、タカトが川の水を飲むことはなかった・・・
タカト「ギ、ギルデロイ・・・・・お、お前・・・・」
タカトは、まだ信じられないようだ・・・・こんな良い奴が、俺らを殺そうとしていたなんて・・・
ギルデロイ「マーベル・・・一体、どういうことだい?僕が、こいつらを憎んでいたことはよく知っていただろう?邪魔をしたからには、君もただでは済まさないよ・・・・」
ギルデロイの剣は、マーベルに向けられた・・・・
僕は、家の前で2人を見送る・・・
だけど、とても嫌な予感に襲われるんだ・・・行っちゃダメだ、2人とも・・・
絶対・・・・
マーベル「父さん、母さん・・・本当に行っちゃうの?」
マーベル父 「ああ、私たちが行って情報収集してこないと、革命軍が勝つことはできないだろう?」
マーベル母「良い子でお留守番しててね。学校はサボっちゃダメよ。」
危険な任務がこれから待っているというのに、その日のマーベルの両親は、いつも通りの笑顔で
息子に語りかけていた。
マーベル「なんで?だって2人は科学者だろ?それも革命軍の中で一番優秀な・・・2人は新兵器の開発だけしてればいいじゃないか!なんでそんな危険な任務をやらなきゃいけないんだよ・・」
マーベル母「革命軍も人が足りないのよ・・・大丈夫、すぐ帰ってくるから・・・」
マーベル「でも、もし・・もし政府の連中に、2人が革命軍のスパイだってことがバレたら・・・」
不安そうにそう叫ぶマーベルに、父は優しい笑顔で語りかけた。
マーベル父「いいかい?この世には役割というものがあるんだ・・・
お前も、この長い人生の中で、自分で、自分の心で決めた【自分の役割】を見つけなさい・・・
そうすれば、この悲しくて残酷な世界の中で、少しは生き易くなるはずだ・・・
覚えておきなさい。」
父は、そう言ってマーベルの頭を優しく撫でた・・
マーベル父「それに科学者として、革命軍の宿舎にずっと閉じこもっているわけにもいかない・・・
人類政府の優れた技術力も盗み見なくてはならないしね・・・」
なんで・・・・なんで・・・・・
マーベル「なんで、父さんも母さんも、そんなに明るくいられるんだよ!なんでいつもそんな笑顔で優しくいられるんだよ!この世は、こんなに悲しくて残酷なのに!今も戦争で人が死んでいるのに!
いくら頑張ったって、いくら理想を追いかけたって、いくら努力したって・・・
いくら革命軍が戦ったって・・・
ずっと焼け石に水だったじゃないか!
なんで、そんなに頑張れるんだよ!」
マーベルは思いの丈を全て、ぶつけた・・・・
そうだ、「努力は裏切らない」なんて綺麗事だ・・・とんでもない噓つきだ・・・
いつだって、「努力は裏切る」ものなんだ・・・・
努力は、冷たく人間を裏切る・・・・それは歴史が証明しているじゃないか・・・
300年、子供をイケニエにしてきた、この忌まわしき人類史が・・・・
でも、それを2人はよくわかっているのに・・・・なんで・・・
すると、父は穏やかな顔でしゃがんで・・・マーベルの肩を握り、優しく、でも力強くこう言った・・・
マーベル父「世界を変えたいなら、まず綺麗事を語れ・・・・・昔、ある偉大な哲学者がこう言ったそうだよ・・・」
綺麗事・・・・
マーベル父「こんな非常な時代だから、誰かが綺麗事を言えば、みんなバカにするように非難するかもしれない。
だけど、誰も綺麗事を語る者や信じる者がいなくなれば、それこそ、この世は本当に終わりだろう?
父さんと母さんは革命軍を信じている・・・人間の力を信じている・・・
自分が言う綺麗事の力を信じている・・・
いつか人類が神の支配から解き放たれ、誰一人子供が犠牲にならない社会が来ることを信じている・・そのための役割なら、命も惜しくないんだ・・・
お前たちにとって、幸せな時代が来るなら・・・」
マーベルは、そう語る父の一言、一言をかみしめながら、我慢していた大粒の涙を流していた。
マーベル「絶対、帰ってきてね・・・」
マーベル父「ああ、もちろん帰ってくるとも・・・必ずだ・・・」
マーベル母「私たちがいなくても、しっかり学校で勉強するのよ・・・」
マーベル「うん・・・・」
2人が、家の扉を開く・・・
出発間際、父はもう一度、マーベルの方を振り向き・・・
マーベル父「マーベル・・・・・大丈夫だ。お前が動けば、この世は変わる・・・・信じるんだ・・・」
お前の中の綺麗事を・・・・
父さんの噓つき!母さんも大嫌いだ!
自分たちの理想なんて、一つもかなっていないじゃないか・・・・
何も変わってないじゃないか!
僕を置いていくなんて・・・・僕を置いて、死んじゃうなんて・・・
マーベルは、両親の出発間際の記憶を思い出して、泣きながら、魔界の森の中を走っていた・・・
クソ!
クソ!
クソ!
何で・・・何で・・・・先に死んじゃうんだよ!
僕がこんな地獄みたいな学校に入ったのは、父さんと母さんの綺麗事を信じて、いつか人類が神々に勝てると思っていたからだ・・・
でも、でも、それを言った当人が・・・
言い出しっぺが・・・
一緒にその綺麗事を成し遂げる前に・・・いなくなっちゃうなんて・・・・
どうしてだよ!どうして先に死んじゃうんだよ!
マーベル「父さん・・・母さん・・・」
足を止め、溢れる涙を服の袖でふく・・・
その時だった!!
ハ!
数メートル先に、恐らく生徒だと思われる子達が3人いる・・・
一体、何をしているんだろう?
あ、あれは・・・・
さっきの新入生のタカトとカホ!・・・・
それから、ギルデロイ・・・・
ヤ、ヤバい・・・・
ギルデロイがカホを殺そうとして・・・・タカトが【魔女の聖水】を飲もうとしている!
マーベル「ちょ・・・・」
だが、その時、いつも学校のみんなが言っている言葉が、マーベルの脳裏によぎった。
学校で、みんなが人類新聞を読みながら言っていたこと・・・
「こいつら指名手配犯は、身勝手な行動で、ゼギウス府の俺達の家族を殺した奴らだぞ。例え不可抗力の事案であっても許せない・・・どんな理由があったって・・・」
そうだ・・・・許せない・・・・
あいつは・・・・タカトには・・・少しも申し訳なさそうな態度もなかった・・・
父さんと母さんは・・・二度と戻ってこないのに・・・・
だけど・・・
マーベル「く・・・・・」
だけど、もう一つの言葉が、頭の中でずっと周り続けていた・・・
マーベル父「世界を変えたいなら、まず綺麗事を語るんだ」
また、父の言葉が、マーベルの頭を支配する。
マーベル・・・父さんは、信じている・・・人間を・・・人間の優しさを・・・
長い闘いの果てに・・・きっと、私たちはわかるはずだ・・・
憎しみは、憎しみしか産まないことを・・・・その連鎖なんだと・・・
それがわかった時、始めて人類は1つとなって、神々と闘うことができるようになるだろう・・・
人を信じろ・・・人を許せ・・・・どんなにこの世が試練ばかりをもたらしても・・・
どんなに隣人が醜い所業を繰り返していても・・・
目に映る全てが憎かろうと・・・・
お前だけは、人も世界も信じろ!
お前が動けば、この世は変わる・・・・信じるんだ・・・
マーベル「クソ・・・・・」
父さん・・・・僕は、バカな父親の綺麗事を・・・信じることに決めたよ・・・
マーベル「タカト!その水を飲んじゃダメだ! カホー!今すぐ逃げるんだ!」
ギルデロイは、不意にやってきたマーベルに、虚を突かれたように、剣を持った手の動きが止まる。
タカト「え?」
カホ「え?」
!!
カホは、ギルデロイが自分を剣で殺そうとしていたことがわかり、走って、タカトの元へ駆け寄った。
マーベル「タカト!その川の水は、【魔女の聖水】と呼ばれる毒水だ!飲んだら、身体の全ての内臓器官が動かなくなり死んでしまう!飲んじゃダメだ!ギルデロイは、君らを殺す気なんだ!」
マーベルは、剣を持ったギルデロイと向かい合った・・・
ギルデロイの顔は、タカトとカホに親切だった時の表情は一切なく、鬼のような形相でマーベルを睨みつけた・・・
そして間一髪、タカトが川の水を飲むことはなかった・・・
タカト「ギ、ギルデロイ・・・・・お、お前・・・・」
タカトは、まだ信じられないようだ・・・・こんな良い奴が、俺らを殺そうとしていたなんて・・・
ギルデロイ「マーベル・・・一体、どういうことだい?僕が、こいつらを憎んでいたことはよく知っていただろう?邪魔をしたからには、君もただでは済まさないよ・・・・」
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