ラストヒーロー:魔王軍全戦力vs.僕1人

混沌世界終焉

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第2章/アイシクル王国

第19話/狂人

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本性をさらけ出せ…
もうコイツは、女王じゃないんだ。
ただの怪物、魔王軍幹部、悪人なんだ…
昔の女王ヴィーネは、もう居ない。
ここに居るのは、倒すべき敵だ。
もうそろそろ、腹を括れ…!

「死ねや、クソ女王ッ…!

 固有スキル:魔力干渉

 魔力付与”爆炎/黒(体外魔力)”
 →魔剣グレイス

 魔力解放60%”魔炎/黒”」

俺の全て、誰にも見せなかった固有スキル。
これも、隠す必要はない。
もう、自分を偽るのはやめて、本当の自分で
生きてみよう…!

久しぶりに使ったな、魔力解放…!
魔炎を普通に使うなんて、いつぶりだろう。

ヴィーネは目を見開いていた。
多分、僕が魔力解放で攻撃した事に、相当
驚いたんだろう…
それもそうか、女王ヴィーネの前では、
魔力付与以外、使った事なかったしな。

いいや、驚いたのはそれじゃないか。
僕が、魔力付与と魔力解放を、同時にした
ことにビックリしたのか…

魔力付与する為には、絶対に50%の魔力
が必要なのに、その後に僕は、60%で
魔力解放をした。
合計で使った魔力は110%。
普通の人間なら、これでもう死ぬはず。
でも、僕は死んでいない。

「驚いただろ…?
 俺が魔力解放を使わないと思ったか!
 そんな訳ないだろ…?」

「いいや、違う。ゼノン、お前は何故、魔力
 を110%も使っているのに死なない…?」

ああ、やっぱりソレに驚いてたのか。

「俺の固有スキルだ。
 このスキルは、体外(空気中)の魔力に
 干渉できる能力だ。
 俺はさっき、この辺りに存在する魔力を
 操って、魔剣グレイスに付与したんだ。
 じゃ、説明も済んだ事だし…

 こっからは、ノンストップで行くぞ。

 魔力解放60%”爆炎/黒”」

「望むところっしょ…!
 私も久々に楽しいって思ってる…!
 この時間が、永遠に続きますようにって、
 今も願ってる…

 魔力解放60%”雨ノ聖剣/十”」

俺とヴィーネが、同時に魔力解放…
初めてだ、こんな戦いをしたのは。

気分が高揚している。俺は今、楽しいのか?
うん、多分そうなんだろう。

攻撃はヴィーネに当たらない。
それでも、すごく楽しいんだ。

自分をさらけ出すって、ここまで気持ちの
良い事だったんだな。

「ああ、思い通りって、こんなにっ…!
 こんなに心地いい…!」

今までの自分とは、もうサヨナラ。
ここからは、俺の出番だ…!

炎を纏った剣が、ヴィーネの体中に突き
刺さる感覚がする。
人を傷つけるのは好きじゃないけど、今だけは心地よく感じるんだ…

「ゼノン、君は今、何を思って戦って
 いるんだ…?
 目がおかしい…君は一体、何を見るの?」

「自分のでも、何を見てるのかは分からない
 んだけどさ、楽しいんだよ…!
 何でだろうな、全部面白いんだ。」

何言ってんだ、俺は。
楽しすぎて、頭がおかしくなったのか。
まあ、それならそれで良いや。

苦しいより、楽しい方が良いに決まってる。

「そう、君が楽しそうで、何より…
 でもね。それじゃ私がつまらないの。
 私が勝てなきゃ、つまらない…

 魔力解放 無限10%”プリマヴェーラ”」

無限10%…?聞いたこともないぞ、そんな
魔術は。

どうする、何の攻撃が来るかも分からない。
一旦、守りの体制に入ろう。
それが今できる、最善の行動だろう。

ヴィーネから放たれた魔術は、水で出来た
花びらの様なモノだった。
それが、桜吹雪のように、周囲に散りながら
僕の体を切り裂いていく。

でも、これだけなら、全然耐えれる。

「魔力解放40%”爆炎/紫”
    
 多分、これでこの攻撃は防げる。」

思った通り、水の花びらは弾けて消えた。
でも、瞬く間に次の花びらが飛んでくる。

「なんで、また花びらが…?
 まあ良いか、もう一度、爆炎で…!」

僕は再び、花びらを爆炎で吹き飛ばす。
しかし、それでも花びらは消えない…

「なんだよ、無限って…!
 なあ、ヴィーネッ…!」

「ゼノンに言う訳ないでしょ?
 もう、私の側近でもないんだし…」

その時、今度は違う攻撃をしてきた。

「魔力解放80%”カリプソ•フ•ルール”

 楽しかったけど、もう…ツマンナイ。
 じゃあね、ゼノン。

 君じゃ、私には勝てないでしょ?
 私、さっき本気出すって言ったけどさ。
 あれ、嘘だから。

 私がお前ごときに、本気出す思った?
 やっぱり君、馬鹿だね。」

なるほどな、俺はここで、殺されるのか。
そういえば、さっきもこんな事あったな。
ゲーテとの戦いだったか…
まったく、今日は何回死にかけるんだ?
まあ、そういうのも、刺激的で良いけど。
俺にとっては、死の恐怖さえも、楽しく
感じられる。

*   *   *

今まで、俺は人の為に仕事をしてきた。
魔剣士になったのも、女王の側近になった のも、全部自分の意思じゃない。

言われたんだよ、周りの人たちに。

お前は”こうなれ”って。
“女王の側近になれ”って。言われてきた。

俺、本当は冒険者になりたかったんだ。
でも、周りに逆らえなかった。

だから、今まで女王の側近を続けた。
本当はやりたくなかった仕事。

*   *   *

でも、もうそんな事しなくて良い!

ヴィーネから放たれた攻撃は、荒れ狂った
水で作られたドラゴンの様な見た目をして
いて、少し恐怖を感じた。

「受け止めてやるよ、クソ雑魚女王…!
 狂人の強さは、こんなもんじゃない。

 魔力付与90%+90%(体外)”魔炎/黒”
 →魔剣グレイス」

この魔術で、俺はヴィーネの魔術と勝負
をする。

この攻撃で、俺らの勝敗が、決まるだろう。

楽しい時間も、もう終わりか…!

俺は、恐ろしい水のドラゴンに、この魔剣を
突き刺して、ドラゴンを切り裂いた。
だが、ドラゴンが止まる事はなかった。

俺は、ヴィーネの攻撃には、勝てなかった。

第19話/狂人




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