ラストヒーロー:魔王軍全戦力vs.僕1人

混沌世界終焉

文字の大きさ
21 / 31
第2章/アイシクル王国

第20話/夢は叶う

しおりを挟む
「多分、ゼノンはヴィーネに勝てない
 だろうな…」

実力の差がありすぎるんだ。
ヴィーネは本気を出すと言っていたけど、
多分あれは嘘だろう。
女王ヴィーネの実力は、あんなもんじゃない
のだろう。まだまだ隠している力がたくさん
あるはずだ。

そんな奴に、ゼノン1人では勝てない。

ゼノンには”王宮の地下室を見て来てほしい”
と言われたが、ここは一旦ゼノンの元に
戻って、ゼノンの手助けをした方が良いな。

*   *   *

「ゼノン…?は、こんなに…?
 これ、ゼノンは生きてるのか?」

ゼノンの状況は、思っていたよりも数倍
ひどい状況だった。
全身から出血している。
でも、幸いなのは、女王ヴィーネがここには
いないという事だ。
もうどこか違う場所に行ったのか…?
もしかして、王宮に行ったのかも。

でも、どちらにせよ好都合だ。
今のうちに、早くゼノンを連れて逃げよう。

「魔力解放80%”爆炎/紫 デュアル”
  
 これで、少しでも移動出来れば…」

僕は、自分の爆炎の風で、遠くに飛んだ。
走るよりかは全然速いな。

「ゼノン、起きろ、目開けろ…!」

クソっ、まだ目は覚さないか…
とりあえずフォルトゥーナに頼んで、ゼノンの傷を癒してもらおうか。

「フォルトゥーナ、すぐに頼む。
 ゼノンの傷を癒してやってくれ。」

フォルトゥーナは何も言わずに、ゼノンの
治療を開始した。

「魔力治療300%”ミカエル”」

魔力治療、神だけが使用を許される魔術。
人間は絶対に使用できない。
だから、まだまだ謎も多い魔術だ。
でも、今はゼノンが治るならそれで良い。

*   *   *

数十分後、フォルトゥーナの肩の力が一気に
抜けるのが分かった。

「治療が、終わったの…?」

「うん、終わったよ。
 魔力治療って、集中力メッチャいるから
 大変なんだよね~。」

ああ、フォルトゥーナが何も話さなかったのはこれが理由か。

「ありがとう、本当に…」

フォルトゥーナには、感謝しても仕切れない
な。僕には、ご飯を奢ることくらいしか
お返しが出来ないから…

すると、ゼノンが目を覚ました。

「え、お前ライメルか…?
 ヴィーネは、どこ行ったんだよ…」

「ヴィーネはもう居ないよ。
 僕が君を見つけた時には、すでにどこかに
 行ってしまっていた。」

「そうか…って事は、俺は負けたんだな…
 あんだけ勝てるって、自信満々で言った
 のに、普通に負けて…」

ゼノンは、かなり落ち込んでいる様だ。
それもそうだ、圧倒的な実力差を思い知らされて、平常心ではいられないだろう。

でも今は、僕がサポートしてあげないと。

「一緒に、国を出よう。
 ゼノンは前に、冒険者になりたかった
 って言ってただろ?
 しかも、戦いが終わったら、一緒に
 行こうって言ったし。」

少し風が吹いてきた。
空に雲が増えてきて、雨が降りそうだった。

そして、ゼノンの目には涙があった。
彼は静かに、1人で泣いていた。

それから少し時間が経つと、雨が降り始め
たから、僕らは雨宿りをしようと思い、近く
にある木の下に身を隠した。

*   *   *

それから僕は、宿に荷物を取りに行った。
そして、セレネにゼノンの事を伝えた。

「あのさ、ゼノンをパーティに入れたい
 んだけどさ…」

僕は言葉が詰まった。
僕だけが勝手に、ゼノンをパーティに入れると話を進めてしまったから。
セレネが納得しなかったらと思うと、少し
怖かった。

「良いですよ、ライメルが良いなら。
 私も貴方に賛成です。
 まあ、戦力は多い方が良いですし。
 その方が私たちも助かりますね!」

セレネはゼノンをパーティに加える事に
大賛成だった。

*   *   *

次の日、僕らはアイシクル王国を旅立った。

「どうだ、ゼノン。
 初めての旅だろ?そもそもアイシクル王国
 から出た事がなかったんだろ?」

「ああ、そうだな。
 思ったよりも、感動出来てないな…
 まだ、ヴィーネの事が引っかかって。」

まあ、仕方ないか。
ゼノンにとっては、かなりのトラウマか。
今まで女王の側近で、女王の為に仕事を
頑張ってきたのに、その女王が魔王軍の幹部
だと知ったら…

「今は、そっとしておこう。」

*   *   *

僕とセレネとゼノンは、無言のまま、ただ
ひたすらに道なりに沿って進んだ。
行き先も決まっていない状態で。

まあ、たどり着いた国でとりあえず休もう。

*   *   *

おかしい、どこにも辿り着けない…
ここはどこだ、どこに居るんだ?

「セレネ、ゼノン…?
 なんで居ないんだ…?」

確かに、後ろを確認はしていないけど、
ずっと2人の足音は聞こえていた。

でも、いつからかパタリと消えた。
その足音はも、気配も、何もかも。
まるで、もともと2人は、この世界に存在
していなかった様な…

嫌な予感がする。

すると、目の前にいきなり、枯れ果てた木々
と、大量の墓が現れた。

ここは、何なんだ…?

とりあえず、生きることだけ考えろ。
絶対に生きて帰れ、そうすれば必ず、2人
にもまた会える。

「2人ともっと、旅したいしな。」

ここでは、まだ死ねないな。

そして突然に、僕の意識は途切れた。

第20話/夢は叶う


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界配信〜幼馴染みに捨てられた俺を導く神々の声(視聴者)

葉月
ファンタジー
コルネ村で、幼なじみであり恋人でもあったユリアナと、ささやかな幸福を分かち合って生きていたロイド。 だがある日、ユリアナは女神の愛子として目覚め、国王の命により王都へと連れ去られる。 突然、日常を奪われ、運命に引き裂かれたロイドは、抗う術も持たぬまま、否応なく大きな流れへと呑み込まれていく。 これは、奪われたものを取り戻すため、そして理不尽な運命に抗おうとする、一人の少年の物語である。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~

かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。  そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。  しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!  命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。  そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。 ――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

処理中です...