僕、魔女になります‼︎ 2巻

くりす

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第5章〜彼女が『剣の巫』と呼ばれる所以〜

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 「森内悟、意識消失。これにより、石川・森内ペアの戦闘続行不可能になりましたので、勝利は紲名玲、紲名明日花、桐崎咲夜、結月朱莉のパーティとなります。」
 そんな機械音声が流れている間に僕と姉さん、朱莉さんは咲夜へと駆け付けて、お互いにハイタッチを交わすことで互いの健闘を称え合う。
 そこに会場の様々な賞賛の言葉が混じった音声がこの戦闘フィールドにも聞こえるようになり、普段よりも一段と高いテンションの月兎先生の声が僕らの耳に入って来る。
 「試合しゅーりょー‼︎試合開始当初は戦場が2つに分かれるという実況泣かせな展開だったけど、正直、この試合内容と結果の両方を予想出来た人は誰もいないんじゃないかな?稲葉先生はこの試合を見てどう思った?」
 「そうですね…。試合としては実質1科生と3科生の1対1が2つ行われて、その2つ共に1科生側が勝利する結果でしたからね。お互いに情報が少ないために、運の影響は決して小さくは無いですが、それを踏まえても紲名玲さんと桐崎咲夜さんの戦い振りは凄まじいの一言でしたね。」
 月兎先生や会場の雰囲気につられたためか、いつもより稲葉先生の言葉には熱が入っていたとように感じた。
 「いや~、本当に凄い試合だったねー♪彼女たちが来月の学園祭でも素晴らしい試合にしてくれる事を願って改めて拍手を!」
 試合開始前にも出ていた電子ディスプレイからは多くの喝采と拍手を送ってくれる会場の人たちの様子が映し出されている。
 それを見た姉さんは嬉しそうに笑顔を浮かべながら僕に声を掛けて来る。
 「これは学園祭も頑張らないといけないわね、玲?」
 「そうだね、姉さん。」
 『魔法戦』に勝利出来たからか、または皆からの応援のおかげか、僕は自然と頬を緩めて姉さんに返事をした。
 それを聞いていた咲夜と朱莉さんの2人も明るい表情を見せながら頷いていた。
 「では、今回の『魔法戦』は此処まで♪実況は私、月兎リト、そして解説は稲葉睡蓮でした~♪」
 こうして僕らと石川先輩と森内先輩との『魔法戦』を終えて僕ら4人は『剣の巫』との闘いに向けて士気を高めることが出来た。
 余談にはなるが試合終了後、石川先輩と森内先輩が僕らに声を掛けて来た。その内容は試合内容に対する称賛と学園祭での『魔法戦』を応援すると言う話だった。
 (ーー色々あったけど、石川先輩たちも別に悪い人では無いんだよなぁ…。)
 

 それから2週間程が経過して長期休暇が始まる前日の日。
 今日、僕らは『仮想世界』にて稲葉先生との訓練を行なっていた。
 「今回は…、私たちの勝ちですね。稲葉先生。」
 「そのようですね。結月さん。」
 そこには身体の様々な部位に切り傷等の負傷をしている僕ら4人と片膝を地面に落とした体勢で首筋には結月さんの剣が接している稲葉先生がいた。

 「それにしても…、本当に素晴らしい成長速度ですね、皆さん。まさか、この短期間でこれほど強くなるとは…。」
 本日の訓練を終えて現実世界に戻って来て、今回の訓練内容を振り返りと明日から行う『剣の巫』対策について話し合うため『仮想訓練棟』の一室に移動した後、稲葉先生が僕らにそのような言葉を掛けてくれた。
 「いや~、私たちも精進しないとね♪稲葉先生♪」
 「そうですね。『魔女』になるのが終わりでは無く、むしろ始まりですからね。」
 (ーーこれ以上、この2人が強くなるとか、一体どう能力を伸ばすのか…。)
 月兎先生たちとの会話を聞いて僕は頭の片隅で思考を進める。
 実際石川先輩たちとの『魔法戦』を経て、僕ら4人は更に強くなる為の試行錯誤や訓練を積み重ねて来たおかげで、訓練を開始した頃とは比較にならないほど強くなれた。特にパーティの連携能力や個人では魔力制御や反応速度の成長が顕著に現れている。
 当初は先生たちの行動に対して反応することさえ難しかったが、今ではそれなりの近距離でも4人とも反応し、連携を意識した行動を自然に起こせるくらいには実力が身に付いている。
 そのため月兎先生たちと4対1という圧倒的なハンデ有りだが大分安定して勝ちを取ることが出来るようになって来た。もちろん、基本的にギリギリな状態での勝利ではあるが…。
 「それじゃあ、そろそろ『剣の巫』こと桐崎千華さんの対策について話をしていこうか♪」
 「先ず参考資料として『剣の巫』の公式で行われた『魔法戦』の動画を皆さんの『デバイス』に送ります。これを見ながら、彼女についての説明と対抗案を考えていきましょう。」
 「「「「はい!」」」」
 「よし♪いい返事だ♪じゃあ、『剣の巫』について基本的な所から抑えて行こうかな♪彼女の魔法属性は『剣』で、中遠距離も闘える近接戦が得意でパイスペックな戦闘特化型の『魔女』って言うのが世間での評価って感じ♪次に彼女の魔法についてだけど…。」
 月兎先生が動画を操作しながら桐崎さんの魔法について説明してくれる。それによると、桐崎さんの魔法は『魔術剣』と『法術剣』と呼ばれる2つの種類に大まかに分ける事が出来るらしい。
 『魔術剣』ーー火や風等の属性を剣の形にして創り出す魔術。剣を振り抜きながら魔術を解放すると、その属性の攻撃を広範囲に及ぼすことが出来る。他にも大きな『魔術剣』を創る等して相手の攻撃魔術を防ぐことも可能。
 『法術剣』ーー彼女用に特注で『法術』を用いて造られた指輪を基にして様々な剣を創り出す。そしてその剣を複製したり、形を状況に合わせて作り変えて臨機応変に対応する。

 「私が思うに彼女のズバ抜けているのは、この『法術』の技量だと思うんだよね♪一般的に『法術』って素材の量が少ない程、必要になる魔素量や変形時間が多くなるんだけど…。彼女の場合は指輪って言う小さい素材から凄まじい速度と精度で様々な形の剣を生み出せるんだよ♪」
 「その生成速度と近接戦技術の高さを基盤にして、まるで神事で舞う巫女の様に闘う様から彼女は『剣の巫』と呼ばれていると言う事です。」
 「そして、そんな彼女に君たちがどうやって闘って行くかを考える訳だけど、先ず勝利する為に必要な条件になるのは…。」
 そこまでの説明を聴いて僕は月兎先生が言おうとしているであろう言葉を先回りする。
 「人数差を活かしてと連携で近接戦を制する、ですかね?」
 「まぁ、そうなるよね♪あの近接戦を得意としている『剣の巫』が遠距離戦に付き合ってくれるはず無いだろうし。そもそも、遠距離の有効な魔法が使えるのは玲ちゃんと明日花ちゃんだけだから、決定打も決め難いからね♪」
 月兎先生は明るい笑みを浮かべて僕の発言を肯定しながら、言葉を付け足した。
 「それと今回に限った話では無く、武器系統の魔法属性を有してる『魔女』と闘う場合に注意しておきたいのは、相手の魔法属性に該当者武器を使うのは避けた方が良いですね。『剣の巫』だと朱莉さんの武器とかになります。」
 「それは魔法属性による恩恵でダメージを効果的に与えられないからですか?」
 稲葉先生から挙げられた注意事項に対して朱莉さんは首を傾げて理由を尋ねる。
 「ダメージを与えられないだけならともかく、場合によっては『法術』等を用いて武器の制御権を奪い盗る事も出来る人もいますからね。可能な限り控えた方が得策でしょうね。もっとも、魔法属性による恩恵の大きさや技量は人によって個人差が結構ありますから、ケースバイケースですけど…。少なくとも『剣の巫』なら制御権を奪うことぐらい造作もないので。」
 「なるほど。確かにそれは避けるべきですね。」
 朱莉さんは納得を表すように何度か頷いた。
 実際、過去に行われた公式戦の動画の中には相手の剣を操っているシーンが含まれいた。剣等の刃物は『魔女』が持っている多種多用な武器の中でも比較的にメジャーなため、桐崎さんはその魔法属性だけでも割と多くの『魔女』に対して優位性を持つことが出来るらしい。とは言え、咲夜や先生たちが言うには桐崎さん自身は基本的に『魔法戦』への出場数は多くなく、魔物退治や犯罪者の確保に力を入れており、最近ではその傾向が進んでいるとのこと。
 (ーーなんと言うべきか…、真面目な人だな桐崎さんって…。『魔女』の力は一般人を守るためにあって、競うためにあるのでは無い、とか考えてそう。)
 僕は桐崎さんの情報を聴いて、そんな一種の畏敬に似た感想を抱いてた。
 「それで、基本的な戦闘の方針は決まったのは良いけど…。それだけだと多分、咲夜ちゃんのお母さんに勝つなんて出来無いわよね?何か作戦とか必要なんじゃない?ねぇ、玲?」
 「確かに姉さんの言うように格上を相手にするんだから、闘いの主導権を取り続けないと勝ち目は無いだろうね。後、対桐崎さん用に役割とか陣形を決めておいた方が良いかな、と思う。」
 (ーー戦いにおいて相手に主導権を与えない限り負ける事は無いのは当たり前だし。)
 「まぁ、それを考えるのが今回の話し合いのメインみたいな感じだしね♪それと…、後1つ決めてもらいたい事があるんだよね~♪」
 「それって何ですか?」
 僕の問い掛けに月兎先生は少し戯けた雰囲気で口を開く。
 「君たちのパーティにおけるリーダーを決めて欲しいんだよ!」


 予想外の発言に僕らは少しの間、言葉を失っていた。
 (ーーどうして、このタイミングで決める必要があるの?)
 「えっと…、それは今決めるべき事ですか?」
 「モッチロンだよ♪本来はもうちょっと後でも良いかなって私も思ってたんだけど、君たちが学園祭に出場する以上はリーダーを決めておかないと実況をお願いする人たちからすると、パーティの代表とかハッキリしてる方が望ましいからね♪」
 「あぁ…、なるほど。」
 月兎先生の言葉に僕は頷きを返した。
 (ーー確かにペアならともかく、4人もいるんだから何かしらの代名詞的なのはあった方が良いのか。毎回4人の名前を出すのも面倒だろうし…。さて、どうしたものかな?)
 因みにだが、前回の石川先輩たちとの時は五十音順で並べていたとの事。
 そこまで説明を聴いていた咲夜が律儀に右腕を挙げながら月兎先生に質問する。
 「と言うことはパーティ名とかも決めた方が良いんですか?」
 「あー、それは今すぐじゃなくても大丈夫かな?何か希望があるなら一応聴いておくけど。もし学園祭で発表しちゃうと、それ以降でパーティ名を変えるのが難しいかもしれないから、慎重に考えるのをオススメするよ♪」
 「なるほど。それだったら、リーダーだけでも決めておきましょうか?と言っても話し合いをする必要も無いかもだけど…。」
 「え?それってどう言う意味、姉さん?」
 僕は意味深な笑みを浮かべながら僕の方を見ていた姉さんに意味を聴いた。
 その答えは姉さんではなく、別の所から聞こえてくる。
 「まぁ、玲ちゃん一択だと私は思うけど?」
 「そうですね。私もそれで異論はありません。」
 「へっ?」
 朱莉さんと咲夜の予想外な言葉に素っ頓狂な声を出してしまった。
 そして、それが当たり前のように頷きながら姉さんも続いた。
 「普通に考えたら、そうなるわよね~。」
 「うん♪先生もそうなるかなって思ってたよ♪普段の戦闘でもパーティの軸になってるなぁ、とは感じてたし。それに玲ちゃんは反応速度と判断力もパーティ内で一番優れてるからね~♪今まで何か特殊な訓練でもしてきたのかな?」
 「いえ、特別な事はしてないつもりですけど…。多分。」
 (ーー強いて言えば、前の世界で格ゲー等のゲーム全般を姉さんと共にやりまくってたぐらいだけど…。流石にそこまで影響して無いよね?)
 そんな僕の曖昧な返答を聴いた月兎先生は感心したように言葉を吐く。
 「ほ~?じゃあ、生まれながらの素質になるのかなぁ?取り敢えず、パーティの代表は玲ちゃんと言う事で話は通しておくね♪」
 「既に決定事項なんですか?」
 「だって多数決的に考えたら、そう言う結論だしね♪それに~、玲ちゃんがリーダーをしても特に不都合な事は無いでしょ?」
 「確かに、そうかもしれませんけど…。」
 「だったら、けってー!」
 こうして、何故か半ば強引にリーダーになることになってしまった。
 (まぁ、仕方ないのかな?)

 「それで、リーダー。今回の魔法戦の話だけど…。既に何か考えてるでしょ?」
 「わざわざ、そんな呼び方しなくて良いよ、姉さん。一応は考えついてはいるけど…。」
 僕がリーダーになることが決定すると、話し合いは直ぐに次の話題へと移った。
 「流石、玲!是非、聴かせてちょーだい。」
 見渡すと咲夜や朱莉さん、月兎先生たちもそれぞれの感情を出しながら、僕の方を見つめて来た。
 僕は自分の気持ちを落ち着けるために1回短い深呼吸をした。
 「……じゃあ、基本的な役割から説明するね。主な役割は防御、攻撃、そして防御と攻撃の切り替えをサポートする支援の3つなんだけど。先ず桐崎さんの攻撃に対処する防御担当が僕と朱莉さんの2枚でやろうと思う。多分だけど、桐崎さんは僕らが咲夜と行動してる限りは『魔術』での攻撃を控えて、『法術』をベースにした近接戦を狙ってくるはず。そうすると、このパーティで防御力に長けている僕と朱莉さんが防御をやるのが自然だと思う。」
 「じゃあ、残りの攻撃と支援を私と明日花さんが担うと言う事ですか?」
 咲夜の質問に僕は小さく首を横に振って否定する。
 「いや、単純に1人1つの役割だと直ぐに桐崎さんに見抜かれた上で対処するだろうから、1人に2つの役割を兼任して貰って状況に応じて行動する方針で行こうと考えてる。もちろん、複数の役割をやる以上はそれを実践するのは難しくなるけど、桐崎さんに勝つ以上はこれが必須になると思う。」
 「なるほど。それぞれが複数の役割を臨機応変に担当することで、役割分担に柔軟性を持たせようという考えね、玲ちゃん?」
 「一応、そのつもりだよ。ただ、それが上手く機能するかは本番にならないと分からないけどね。」
 朱莉さんの台詞に僕は頰を掻きながら苦笑いを浮かべて答えた。
 (ーーとは言え、上手くいかないと桐崎さんを相手にまともに闘えるとは思えないな…。この動画を見ただけでも、この人の実力があるのは明らかだから。)
 そんな事を考えている僕に話を進めるように姉さんから声を掛けられる。
 「それで玲?結局、攻撃と支援は誰が担当するの?」
 「ああ、うん。攻撃は僕以外の3人で、支援については僕と姉さんで行こうと思う。」
 そこまで説明を終えると、再び咲夜が質問して来る。
 「えっと、そうすると私は攻撃だけを担当するんですか?」
 予想していた質問だったため、僕は落ち着いて咲夜の疑問に答える。
 「基本的にはそうだよ。ただ咲夜には次に話す作戦の重要なキーになるから、そっちがメインと考えて貰ってもいいと思う。」
 「了解しました。それで、その作戦はどのような内容ですか?」
 「じゃあ、それについて説明するね。説明中に何かアイデアとかあったら、遠慮無く発言して欲しい。」
 そう言い終えると僕は桐崎さんから主導権を獲るための考えを披露する。


 「以上が僕の考えた内容だけど…、何か質問とかはあるかな?」
 一通りの説明を終えて僕は皆に問い掛けた。
 それに対して、月兎先生や稲葉先生を含めた皆は各自でこの作戦について吟味している。
 「私は玲の作戦で問題無いと思う。多分、私たちが咲夜ちゃんのお母さんに勝つ為には最善に近い気がするし。咲夜ちゃんの強さを分からせることも出来るでしょ?」
 「でも…、明日花ちゃんは本当にその作戦を実行出来るの?話を聴いた限りだと、明日花ちゃんの担当もかなり厳しいと思うけど?」
 姉さんの同意の声に朱莉さんが疑問を投げて来た。
 (ーー確かに朱莉さんの言うように、姉さんの役割は普通に考えれば相当難しいと思うけど、姉さんなら問題無い。)
 そんな僕の期待に応えるように、姉さんは自信満々の笑みを浮かべる。
 「それについては大丈夫よ。とは言っても、その証明自体は本番じゃないと出来ないだろうから私の事を信じてもらうしか無いけどね。」
 「ズルい言い方ね、明日花ちゃん。そう言われると、信じるしかないでしょ。了解、だったら私も異論は無いわね。」
 姉さんの言葉を聴いた朱莉さんは納得したように表情を和らげた。
 「咲夜はどうかな?」
 僕は残りのパーティメンバーである咲夜の意見を聴いてみた。咲夜は覚悟を決めた強い意志をそのサファイアブルーの瞳に映した。
 「私も特に問題ないと思います。それに…。」
 「それに?」
 咲夜の言葉を僕が鸚鵡返しで尋ねると、出会った当初では想像出来ない柔らかな笑みを浮かべる。
 「それに…、私は玲の事を信じていますから。」
 「っっ!」
 咲夜の笑顔を見て僕は言葉を失ってしまった。
 「おやおや♪随分と仲良くなったね~♪いや~、良い物を見せてもらったよ♪」
 月兎先生の茶化した声に僕は慌てふためき、誤魔化す様にいつもより少し大きな声で話をすり替える。
 「そ、それで月兎先生はこの作戦について、どう思いますか?何か問題点があれば指導をお願いします。」
 「うーん、皆が実行出来ると思ったなら私からも特に無いかなぁ?目の付け所も良いとは思うし、桐崎さんの意表を突くことも充分可能だと思うよ♪スイちゃんはどう?」
 「月兎先生、スイちゃんは辞めて下さい。それで作戦についてですが、私も大丈夫だと思います。ただ、ちゃんと分かっているとは思いますが、余り作戦に固執し過ぎ無いように。作戦を使えるかどうかをしっかり見極めよう意識しておく事が大事ですよ。」
 「だって♪ただ残念なのが1つあるんだよね♪」
 月兎先生の予想していなかった言葉に僕は勢いよく食い付く。
 「それは一体、何でしょうか?」
 「私と稲葉先生が居た意味が殆ど無かったな~って思ってね♪正直言って、君たちだけで話が決まっちゃったからね♪本当、君たちは優秀だね♪」
 月兎先生が頬をポリポリと掻きながら出した言葉を聴いて、僕は感謝の想いを込めて応える。
 「そんな事無いですよ。月兎先生や稲葉先生が指導してくれたお陰で、この短期間でここまでの実力を付ける事が出来ましたから。これからもご指導をお願いします!」
 「「「お願いします!」」」
 (ーー本当に、この人たちには感謝しきれないよ。)
 僕らの言葉を受けて月兎先生は普段よりもご機嫌な雰囲気を見せる。
 「本当にいい子だね、君たちは。オッケー♪私も頑張って行くよ♪」
 「そうですね。一緒に強くなっていきましょう。」
 こうして僕らの桐崎さんとの『魔法戦』に向けた話し合いは無事に終える事となった。
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