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一章 入学旅行一日目
1-07b 赤い瞳のアデル 2
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光の発生源は、二人がそれぞれホルダーに収めて斜め掛けしている辞典だった。霧が辞典を開くと光は収まり、パラパラとページが勝手にめくられたのち、あるページでピタリと止まる。
そこには、こう書かれてあった。
――――――――――――――
魔法士学園 入学旅行 第1540年度
【第24班 6名 以下50音順】
1.アデル・ダリアリーデレ
2.アルビレオ・ファルステーロ
3.キリ・ダリアリーデレ
4.トリフォン・ワイズマン
5.リューエスト・ダリアリーデレ
6.リリエンヌ・ラエラ
■課題1/現在実行中
第24班のメンバー全員と合流せよ
以降、入学旅行中は上記ツアーメイトと協力し合うこと
なお、初めてツアーメイトと半径2メートル以内に接近すると、辞典が輝いて知らせてくれる
■課題2/課題1完了後に開示される
――――――――――――――
霧の辞典にはもちろん、こんなページなど、なかった。不思議なこの世界の魔法で、新たに追加されたとみえる。
(ああ……そうか、これ、台座に辞典を置いたときに作られた、入学旅行の課題用ページだ。そうそう、これ、物語の中にも出てきたわ。地上に降り立って初めて、自分の所属する班と、ツアーメイトが判明するやつ。……ということは、私は24班所属で……アデルとリューエストが同班ってことか。やったぁ! おっ、それにアデルの幼なじみのリリエンヌもいる! 最高ぉ! それからえっと……あとの2人は、知らない名前だなあ)
このページに書かれた6人の名前のうち、1のアデルと、3のキリの文字だけ黒くはっきりしていて、あとの4人は薄い灰色だ。確か、全員と合流できたら、すべての文字が黒くなり、次の課題2が表示される仕組みだったはず――と、霧は物語を振り返る。
――とすると……と、霧は目の前のツインテール美少女に視線を送った。彼女もまた、光り輝いていた自分の辞典を開き、表示されたページを見ている。その表情は険しく、不満そうに眉がしかめられていた。それを見て、霧は居心地悪く身じろぎする。
(たはーっ! やっぱりこの子、アデルだったんだな! しっかし思いっきり嫌がられてるような……。まあ、目の前でこけた、へっぽこ魔法士見習いなんかとツアーメイトだなんて、プライド高いアデルにしたら「うへぁ」もんだよなぁ……。ま、第一印象は最悪だが仕方ない。挨拶しとくか)
そう思いながら霧が口を開こうとしたところ、アデルが先に声をあげた。
「あなたが私の入学旅行のメンバー、ツアーメイトの一人なの?! しかもあなた、ダリアの一族?! ホントに?! だってさっき、あんな、あんな、無様に……っ!!」
がっかり。残念。幻滅。最低。
そんな単語がゴロゴロ零れてくるような表情と口調だった。
――他人のこういう反応には、慣れている。霧はそう思いながら溜息をついた。もはや腹も立たない。
悪かったなぁ、こんな妙齢の不器用女がツアーメイトで。自虐をこめてそう言おうとしたとき、背後から下品な笑い声が飛んできた。
「ギャハハハハハ!! よお、アデル、すげぇ当たりを引いたじゃねぇか!! グハハハハッ!! ヒィーーーッ、ヒヒヒヒヒッ!! だせぇ!! 究極にだせぇぜ!そのだせぇ地面激突オバサンがおまえのツアーメイト!! ヒィッ、ヒヒヒヒ、おまえにゃ似合いだぜ、アデル! ヒィッヒヒヒ! だっせぇー、すげぇだせぇぜ!!」
(「だせぇ」を何回言った?)
振り返って声の主の男を見ながら、霧は思った。ひどいボキャ貧だな……と。
それにしても何がそんなにおかしいのか。霧はドン引きして眉間に皺を寄せ、ただひたすらに呆れていた。その男は体を二つに折って、まだ馬鹿笑いをしている。よく見れば相当な男前――金髪碧眼のイケメンなのだが、笑い方が下品過ぎて男前に見えない。
霧がそうやって冷静に観察していると、アデルがその男に向かって吠えた。
「うるさいわよ、ガスティオール! あんたみたいな無能な空っぽ頭よりかは、ドジオバサンの方が数倍ましだわ!」
グサッ! 霧の胸に「ドジオバサン」という破壊力に満ちた単語が刺さる。
一方、ガスティオールと呼ばれた男は、笑い過ぎてむせながらも、ゲス顔満載の表情で吐き捨てるように言った。
「ヒヒヒ、その強がり、いつまで続くか見ものだな、エセダリアのアデル!」
サッと、アデルの顔が強張った。
同時に霧もまた、ガスティオールの投げつけた言葉に不快感を示し、片方の眉を吊り上げる。
(「エセダリア」……ひどい侮辱だ)
そこには、こう書かれてあった。
――――――――――――――
魔法士学園 入学旅行 第1540年度
【第24班 6名 以下50音順】
1.アデル・ダリアリーデレ
2.アルビレオ・ファルステーロ
3.キリ・ダリアリーデレ
4.トリフォン・ワイズマン
5.リューエスト・ダリアリーデレ
6.リリエンヌ・ラエラ
■課題1/現在実行中
第24班のメンバー全員と合流せよ
以降、入学旅行中は上記ツアーメイトと協力し合うこと
なお、初めてツアーメイトと半径2メートル以内に接近すると、辞典が輝いて知らせてくれる
■課題2/課題1完了後に開示される
――――――――――――――
霧の辞典にはもちろん、こんなページなど、なかった。不思議なこの世界の魔法で、新たに追加されたとみえる。
(ああ……そうか、これ、台座に辞典を置いたときに作られた、入学旅行の課題用ページだ。そうそう、これ、物語の中にも出てきたわ。地上に降り立って初めて、自分の所属する班と、ツアーメイトが判明するやつ。……ということは、私は24班所属で……アデルとリューエストが同班ってことか。やったぁ! おっ、それにアデルの幼なじみのリリエンヌもいる! 最高ぉ! それからえっと……あとの2人は、知らない名前だなあ)
このページに書かれた6人の名前のうち、1のアデルと、3のキリの文字だけ黒くはっきりしていて、あとの4人は薄い灰色だ。確か、全員と合流できたら、すべての文字が黒くなり、次の課題2が表示される仕組みだったはず――と、霧は物語を振り返る。
――とすると……と、霧は目の前のツインテール美少女に視線を送った。彼女もまた、光り輝いていた自分の辞典を開き、表示されたページを見ている。その表情は険しく、不満そうに眉がしかめられていた。それを見て、霧は居心地悪く身じろぎする。
(たはーっ! やっぱりこの子、アデルだったんだな! しっかし思いっきり嫌がられてるような……。まあ、目の前でこけた、へっぽこ魔法士見習いなんかとツアーメイトだなんて、プライド高いアデルにしたら「うへぁ」もんだよなぁ……。ま、第一印象は最悪だが仕方ない。挨拶しとくか)
そう思いながら霧が口を開こうとしたところ、アデルが先に声をあげた。
「あなたが私の入学旅行のメンバー、ツアーメイトの一人なの?! しかもあなた、ダリアの一族?! ホントに?! だってさっき、あんな、あんな、無様に……っ!!」
がっかり。残念。幻滅。最低。
そんな単語がゴロゴロ零れてくるような表情と口調だった。
――他人のこういう反応には、慣れている。霧はそう思いながら溜息をついた。もはや腹も立たない。
悪かったなぁ、こんな妙齢の不器用女がツアーメイトで。自虐をこめてそう言おうとしたとき、背後から下品な笑い声が飛んできた。
「ギャハハハハハ!! よお、アデル、すげぇ当たりを引いたじゃねぇか!! グハハハハッ!! ヒィーーーッ、ヒヒヒヒヒッ!! だせぇ!! 究極にだせぇぜ!そのだせぇ地面激突オバサンがおまえのツアーメイト!! ヒィッ、ヒヒヒヒ、おまえにゃ似合いだぜ、アデル! ヒィッヒヒヒ! だっせぇー、すげぇだせぇぜ!!」
(「だせぇ」を何回言った?)
振り返って声の主の男を見ながら、霧は思った。ひどいボキャ貧だな……と。
それにしても何がそんなにおかしいのか。霧はドン引きして眉間に皺を寄せ、ただひたすらに呆れていた。その男は体を二つに折って、まだ馬鹿笑いをしている。よく見れば相当な男前――金髪碧眼のイケメンなのだが、笑い方が下品過ぎて男前に見えない。
霧がそうやって冷静に観察していると、アデルがその男に向かって吠えた。
「うるさいわよ、ガスティオール! あんたみたいな無能な空っぽ頭よりかは、ドジオバサンの方が数倍ましだわ!」
グサッ! 霧の胸に「ドジオバサン」という破壊力に満ちた単語が刺さる。
一方、ガスティオールと呼ばれた男は、笑い過ぎてむせながらも、ゲス顔満載の表情で吐き捨てるように言った。
「ヒヒヒ、その強がり、いつまで続くか見ものだな、エセダリアのアデル!」
サッと、アデルの顔が強張った。
同時に霧もまた、ガスティオールの投げつけた言葉に不快感を示し、片方の眉を吊り上げる。
(「エセダリア」……ひどい侮辱だ)
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