追放賢者のやり直し ~『お前は弱い』と言われてパーティから追放された賢者は過去に戻り、これまでに培った知識を活かして世界最強になる~

志鷹 志紀

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4話 サムライル迷宮 1/2

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 サムライル迷宮の内部は、洞窟のようになっている。
 壁は湿った岩で、地面も湿気た土。
 天井に群生したヒカリゴケから放たれる、淡い光のみが光源になっている。

「確かサムライル迷宮は5層の迷宮だったな。最終層の5層にボスがいて、4層に隠し武器が眠っているハズだ」

 そんなことを呟きながら歩いていると、さっそく魔物が現れた。

「ゴブラァアアアア!!」

「ゴブリィイイイイ!!」

 現れたのは2匹のゴブリン。
 1匹は短剣を、もう1匹は短槍を装備している。

「純種のゴブリンか。グレートゴブリンやレッドゴブリンを討伐したことは記憶に新しいが、純種のゴブリンは久しいな」

 こんなところでも、エモさを感じてしまう。
 しかし、ゴブリンたちにとっては、俺はただの敵に過ぎない。
 感傷に浸っていると、さっそくだがゴブリンたちが襲い掛かってきた。

「おいおい、もっとエモに浸らせてくれよ」

 しかしゴブリンの攻撃など、容易く避けられる。
 所詮は最弱の魔物だ。数百年の戦闘経験を持つ俺の敵ではない。

「《下級の火球ファイア・ボール》《下級の火球ファイア・ボール》」

 2つの火球を放ち、ゴブリンどもに命中させた。

「ゴ、ゴブラァ……」

「ゴ、ゴブリィ……」

 ゴブリンは瞬く間に、灰へと化していく。
 俺は腐っても魔法学院首席卒業者だ。
 ゴブリン程度、容易く殺せる。

「よし、勘は衰えていないな」

 肉体こそ全盛期にほど遠いが、それでも十分戦える。
 初心者向け迷宮であれば、俺は余裕で無双可能のようだ。

「この調子で、さらに潜ろう」

 俺はさらに深淵へと、脚を踏み入れた。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 あれから数十分後、ついに4層へとたどり着いた。

「確か……この辺に隠し扉があったハズだ」

 壁をガンガン叩きながら、一歩一歩前へと歩んでいく。
 貧弱な今の肉体では、この作業が地味にキツい。
 俺の細腕で岩壁をそれなりの強さで叩くと、反動で腕が痛むのだ。
 ……早く見つかってくれ。

「まだか、痛いな……おっ」

 唐突に、ガコッと壁の一部が凹んだ。
 次の瞬間、俺の目の前にあった壁が、ゴゴゴッと砂埃を立てながら開いていく。
 ようやく俺は、隠し扉を見つけたようだ。

「よし、それでは……」

 隠し扉を少し進むと、すぐに突き当りだった。 
 そしてそこには、豪勢な宝箱が2つ置いていた。

「これだよこれ。これを探してたんだよ!」

 俺は早速、2つの宝箱を開く。
 1つ目の宝箱には、銀色の片手剣。
 2つ目の宝箱には、金色の腕輪が収められていた。

「『吸血魔剣ヴァンプ・ソード』と『筋力強化の腕輪』、とりあえず一歩前進だな」

 『吸血魔剣ヴァンプ・ソード』、その名の通り血を”吸い取る”魔剣だ。
 刀身に付着した血を吸収し、持ち主の魔力を回復する効果を持つ。
 その性質から剣士よりも、魔法師に好かれている。
 最強クラスの武器と比べるとさすがに劣るが、初心者には破格の性能だ。

 『筋力強化の腕輪』、文字通り装備者の筋力を強化効果を持つ腕輪だ。
 その上昇値はおよそ1.5倍。魔力を消費せずにこれほど強化できるのだから、素晴らしいとしか言いようがない。
 単純にパワーが上昇するだけではなく、筋力の強化故に敏捷性スピードも上昇する。
 元々筋力に優れた前衛の強化に使用するもヨシ、筋力に恵まれない者を底上げするもヨシ。
 どんな使用をしても一定以上の活躍を期待できる、極めて優れた魔道具だ。

 この2つこそが、正史では今から60年後に発見される武具だ。
 この2つの武具が発見されたことで、冒険者界隈に激震が走った。
 この2つの武具を入手した初心者たちの成長速度が急激に上昇し、E級に所属していた冒険者たちが一気にランクアップしたのだ。
 おかげで一時期はE級冒険者の人口が0になるという、珍事件まで起きてしまったほどだ。

「よし、それじゃあ……さっそく装備しよう」

 腕輪を左腕に、剣を右手に装備する。
 その瞬間、自分の力が急上昇したことが体感でわかった。
 『筋力強化の腕輪』の効果が、さっそく現れたらしい。

「とりあえず『サムライル迷宮』での目的は達成したが……せっかくだから、『ボスドロップ』も狙ってみるか」

 迷宮の最下層には、道中の魔物よりも強力な魔物である『ボス魔物』が存在する。
 ボス魔物は強力で討伐が難解なものの、討伐に成功すればボスからしか入手できない道具や素材を入手できる。
 そのボスからしか入手不可能な道具や素材のことを、一般的に『ボスドロップ』と呼ぶのだ。

「『サムライル迷宮』のボスドロップはあまりおいしくないが、いずれ役に立つときが来るかもしれないからな」

 俺はブツブツと呟きながら、迷宮のさらに奥へと向かった。
  
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