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13話 聖女の彼女
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その日、俺とピリカはギルドへとやってきた。
そう、彼女を勧誘するために。
「アルガさん、それで……いったいどんな人を仲間にするのですか?」
「あぁ……お、いた。彼女だ」
俺が指さす方にいるのは、机に突っ伏す少女。
片手には空になったグラスを握っており、どうやら飲み潰れているらしい。
「《酒精浄化》」
俺は彼女の側に近づき、回復魔法を施す。
キラキラとした光が彼女を包み込み、彼女のアルコールを浄化していく。
「ん……、ちょっと!? 誰よ!! 私の酔いを醒ましたのは!?」
「俺だ」
「……誰よ、アンタ」
キッと俺を睨みつける眼は、湖のように深い藍色。
飲酒の弊害か金の髪は若干ギトッとしているが、洗えば絹のように美しいだろう。
口調とツリ目が合わさり若干怖い印象を覚えるが、150センチほどの小さな身長がそれを緩和させる。
身長と比例するかのように、顔付きも幼く見える。
服装は絹のローブ、それ以外の装備品は身に着けていない様子。
彼女の名前はラブリ・ファースト。
元々は某国の聖女だったが、妹がより強力な聖女に覚醒した故に捨てられてしまった。
だが彼女自身は悲嘆する様子はなく、むしろ冒険者という自由な仕事を好んでいるようだ。
……それが最悪な結末を迎える原因となることなど、彼女はつゆ知らずに。
「俺の名前はアルガ・ラメンタービレだ。ラブリ・ファーストよ、俺たちとパーティを組まないか?」
「……パーティ? アンタ、私のこと知らないの?」
「もちろん知っているさ。回復魔法師の上位互換である『聖女』。あらゆる回復魔法を使いこなし、癒せない傷はないとされている。そんな素晴らしい職に就いていることくらい、知っているに決まっているだろう」
そしてそれが原因となり、5年後に処刑されることも。
……悔しいが、それが正史の彼女の末路だ。
「……やっぱり、何も知らないのね。私がカイト達から追放されたことを」
「……何?」
今、聞き捨てならないことを聞いたぞ。
カイト達から……追放されただと?
「えぇ、そうよ。……説明するのも嫌だけど、私は実力不足だったらしいの。だから……追放されたのよ」
「キミほどの実力者が……力不足? ……やはりというかなんというか、ヤツらは見る目が無いな」
俺が知る歴史では、彼女は最強の聖女として大活躍した。
最強の回復魔法を使用し、あらゆる傷を癒す。
最強の解毒魔法を使用し、あらゆる毒を癒す。
最強の支援魔法を使用し、あらゆるデバフ・バフを施す。
特定のパーティに固執せず様々なパーティを渡り歩いた彼女は、その名声を大いに広めたのだ。
皮肉なことに大きくなった名声が原因となり、彼女のことが気に入らない妹の手によって処刑されてしまったのだが。
俺の知る歴史では、彼女はカイト達とは組んだことがない。
それが今回の歴史ではカイト達から勧誘され……追放された。
つまり、俺がカイト達と行動をしないことによって、歴史が大きく変動したのだ。
「……奇遇だな」
「……え?」
「ラブリ、喜べ! 俺もカイト達から追放された!!」
「……それ、本当?」
「あぁ、嘘をついても仕方ないだろう」
決して、嘘は吐いていない。
今回の歴史上では、追放はされていないが。
「……もしかして、同情で勧誘してくれているの? 気持ちは嬉しいけど、私……使えないわよ?」
俺の予想とは違い、ラブリは暗い雰囲気を漂わせてきた。
なんだ、俺の知っているラブリとの乖離が激しいぞ。
俺の知っているラブリだったら、ツンデレ節を披露してパーティに加入してくれるハズなのに。
カイトへの恨みつらみを、俺と共に晴らそうとしてくれるのに。
「おいおい、どうした。いつもの古き良きツンデレを見せてくれよ。そんなションボリ姿、見たくなんかないぞ」
「……いつものって、初対面よね? ……私、弱いみたいなのよ」
「そんなことない!! 回復魔法だけではなく支援魔法や防御魔法なども使えるオールマイティーな回復魔法師、聖女であるキミにしかできないことだ!!」
「……いったい、誰のことを言っているの? 私は回復魔法と解毒魔法しか使えないわよ?」
「何? ……あぁ、なるほど。理解した」
俺の知る歴史では、彼女は回復と支援のエキスパートだった。
だが、今回の彼女は回復魔法と解毒魔法しか使えない。
これはどういうことなのか、俺の明晰な頭脳は瞬時に理解した。
『バタフライ効果』と言われる現象が、その答えだ。
これはどんな小さく些細な事柄でも、それを起因として様々な現象を引き起こし未来を大きく変える可能性があるという現象を差す。
恐らく俺が過去に回帰して正史とはかけ離れた行動を取ったことにより、ラブリの能力に影響を与えたのだろう。
元々の歴史ではラブリは能力不足が原因で、国から捨てられてしまった。
だが捨てられた後すぐに、聖女として覚醒したのだ。
回復魔法だけではなく支援魔法や防御魔法なども使えるオールマイティーな回復魔法師、唯一無二にして歴代最強の聖女になったのだ。
恐らく、今回の歴史では俺が回帰したことが原因となり、彼女は覚醒していないのだろう。
「そうだな……ラブリ、キミには隠された力が存在する」
「隠された……力?」
「あぁ、キミの中には才能が眠っているんだ」
「……そう言ってくれるのは嬉しいけれど、でも……」
「騙されたと思って、俺についてきて欲しい。同じ追放仲間として」
正史では、ラブリは魔物に襲われたことが原因で覚醒した。
今回の歴史でも魔物にラブリを襲わせれば覚醒する……とは限らない。
大きく歴史が変わった今、彼女の覚醒条件も変わった可能性がある。
つまり正史と同じことをしても、彼女が覚醒するとは限らないのだ。
だがしかし、わざわざ彼女を覚醒させる必要はない。
彼女は元とはいえ、聖女だ。つまり覚醒せずとも元々のポテンシャルは、その辺の回復魔法師とは比べ物にならないほどにある。
覚醒させずとも、彼女に新たな力を与えれば……十分大きな戦力になる。
「信じてくれ、俺を」
俺はラブリに手を差し伸べる。
そんな時だった──
「おいおい、随分とロマンチックじゃねェか!!」
「追放された女如きが、こんな場所でエモに浸ってんじゃねェよ!!」
「そうだ!! ブッ殺すぞ!!」
突如として割り込んできたのは、大男3人。
……デジャブだな。
「……またお前たちか」
「前までの俺たちと一緒にするんじゃねェぞ!!」
「そうだ!! 以前は筋肉にのみ注力したが、今の俺たちはあの時とは違う!!」
「魔法への耐性も鍛えたんだ!! いくらテメェが最上級魔法を使っても、俺たちには通用しねェぞ!!」
大男たちは、何故か臨戦態勢を取る。
1人は大剣を、1人がメイスを、1人が斧を。
それぞれ構えだす。
「……ハァ、一体なぜこうなるんだ」
「あ、アルガ……」
「心配するなラブリ。こんなヤツら、簡単に捻りつぶしてやるさ」
なんというか、くだらないな。
追放されたからといって、無下にしていいわけがない。
彼女の真の実力を見極められなかった、カイト達こそ咎められるべきだ。
それなのに……ラブリを責めて、この人非人どもめ。
「かかってこい、下郎ども」
「調子に乗ってんじゃねェぞ!!」
「そうだ!! 死ねェ!!」
「ブチ殺してやる!!」
俺は剣を抜かず、構えを取る。
今回は剣を使用しない『シンエイ流剣術』を披露してやろう。
「はぁ? なんだそれ!!」
「魔法師が武術の真似事してんじゃねェよ!!」
「貧弱なテメェの肉体で、俺たちに勝てるハズねェだろ!!」
「試してみろよ」
『シンエイ流剣術』は、あらゆる局面を想定した剣術だ。
無論、それは剣を装備していない時も想定している。
つまり、”剣術”とは着いているが、武術にも応用の効く万能の戦闘技術なのだ。
「死ねェえええええ!!」
まず初めに、大剣を装備した大男が駆けてきた。
……今さらだが、室内で剣を振り回すなよ。
「ふんッ!!」
「ガハッ……!!」
俺は大男の剣を避け、カウンターを食らわせる。
背中側で体当たりをする技、いわゆる鉄山靠だ。
鉄山靠を食らった大男は、壁まで吹き飛んでいって気絶した。
「お、おい……アイツ、背中で攻撃しやがったぜ……。あんな攻撃見たことねェよ……」
「それにあんなヒョロヒョロなのに、マッシルの兄貴を……一撃で倒しやがった!!」
恐れおののく、大男たち。
見た目で人を判断するな。
少なくとも今の俺は、お前たちよりもパワーが優れているぞ。
「……残り2人か」
「う、うわぁあああああ!!」
「お、おらぁあああああ!!」
一心不乱に武器を振り回してくる大男2人。
攻撃が愚直だし、乱れている。
「はぁ、やれやれ。味方がやられただけで取り乱すなんて、お前たちは本当にA級か?」
難なく2人の攻撃を躱す。
仕方ない、お灸を据えてやろう。
「ふんッ!!」
「ガハッ……!!」
「ふんッ!!」
「ガハッ……!!」
メイスを装備した大男には、手の平で攻撃する技『発勁』を。
斧を装備した大男には、肘で攻撃する技『肘撃』を。
それぞれ食らわせて、壁まで吹き飛ばす。
もちろん、両者とも失神した。
「え、えぇええええええええええ!! ま、マッスルバスターズが一撃でやられたぞ!!」
「おいおい、なんだよ!! あの武術!! あんなの見たことねェよ……!!」
「あんな細い身体のいったいどこに、『マッスルバスターズ』の巨体を吹き飛ばすパワーがあるんだよ!!」
「最上級魔法に加え、武術まで最高峰とか……アイツ、何者だ?」
やれやれ、外野も頭が悪いな。
奴らは所詮、無駄に筋肉を膨らませただけの無能だ。
パワーに特化しすぎた弊害で、技などの大事なモノを捨ててしまったんだ。
そんなこともわからないなんて、やはり冒険者はバカが多いな。
「あ、アンタ……いったい、何者なの?」
「俺と組めば、わかるぞ。一度だけでいいから、俺を信じてくれないか?」
「……わかったわ、一度だけよ」
俺は彼女に──未来の魔法を教えることにした。
そう、彼女を勧誘するために。
「アルガさん、それで……いったいどんな人を仲間にするのですか?」
「あぁ……お、いた。彼女だ」
俺が指さす方にいるのは、机に突っ伏す少女。
片手には空になったグラスを握っており、どうやら飲み潰れているらしい。
「《酒精浄化》」
俺は彼女の側に近づき、回復魔法を施す。
キラキラとした光が彼女を包み込み、彼女のアルコールを浄化していく。
「ん……、ちょっと!? 誰よ!! 私の酔いを醒ましたのは!?」
「俺だ」
「……誰よ、アンタ」
キッと俺を睨みつける眼は、湖のように深い藍色。
飲酒の弊害か金の髪は若干ギトッとしているが、洗えば絹のように美しいだろう。
口調とツリ目が合わさり若干怖い印象を覚えるが、150センチほどの小さな身長がそれを緩和させる。
身長と比例するかのように、顔付きも幼く見える。
服装は絹のローブ、それ以外の装備品は身に着けていない様子。
彼女の名前はラブリ・ファースト。
元々は某国の聖女だったが、妹がより強力な聖女に覚醒した故に捨てられてしまった。
だが彼女自身は悲嘆する様子はなく、むしろ冒険者という自由な仕事を好んでいるようだ。
……それが最悪な結末を迎える原因となることなど、彼女はつゆ知らずに。
「俺の名前はアルガ・ラメンタービレだ。ラブリ・ファーストよ、俺たちとパーティを組まないか?」
「……パーティ? アンタ、私のこと知らないの?」
「もちろん知っているさ。回復魔法師の上位互換である『聖女』。あらゆる回復魔法を使いこなし、癒せない傷はないとされている。そんな素晴らしい職に就いていることくらい、知っているに決まっているだろう」
そしてそれが原因となり、5年後に処刑されることも。
……悔しいが、それが正史の彼女の末路だ。
「……やっぱり、何も知らないのね。私がカイト達から追放されたことを」
「……何?」
今、聞き捨てならないことを聞いたぞ。
カイト達から……追放されただと?
「えぇ、そうよ。……説明するのも嫌だけど、私は実力不足だったらしいの。だから……追放されたのよ」
「キミほどの実力者が……力不足? ……やはりというかなんというか、ヤツらは見る目が無いな」
俺が知る歴史では、彼女は最強の聖女として大活躍した。
最強の回復魔法を使用し、あらゆる傷を癒す。
最強の解毒魔法を使用し、あらゆる毒を癒す。
最強の支援魔法を使用し、あらゆるデバフ・バフを施す。
特定のパーティに固執せず様々なパーティを渡り歩いた彼女は、その名声を大いに広めたのだ。
皮肉なことに大きくなった名声が原因となり、彼女のことが気に入らない妹の手によって処刑されてしまったのだが。
俺の知る歴史では、彼女はカイト達とは組んだことがない。
それが今回の歴史ではカイト達から勧誘され……追放された。
つまり、俺がカイト達と行動をしないことによって、歴史が大きく変動したのだ。
「……奇遇だな」
「……え?」
「ラブリ、喜べ! 俺もカイト達から追放された!!」
「……それ、本当?」
「あぁ、嘘をついても仕方ないだろう」
決して、嘘は吐いていない。
今回の歴史上では、追放はされていないが。
「……もしかして、同情で勧誘してくれているの? 気持ちは嬉しいけど、私……使えないわよ?」
俺の予想とは違い、ラブリは暗い雰囲気を漂わせてきた。
なんだ、俺の知っているラブリとの乖離が激しいぞ。
俺の知っているラブリだったら、ツンデレ節を披露してパーティに加入してくれるハズなのに。
カイトへの恨みつらみを、俺と共に晴らそうとしてくれるのに。
「おいおい、どうした。いつもの古き良きツンデレを見せてくれよ。そんなションボリ姿、見たくなんかないぞ」
「……いつものって、初対面よね? ……私、弱いみたいなのよ」
「そんなことない!! 回復魔法だけではなく支援魔法や防御魔法なども使えるオールマイティーな回復魔法師、聖女であるキミにしかできないことだ!!」
「……いったい、誰のことを言っているの? 私は回復魔法と解毒魔法しか使えないわよ?」
「何? ……あぁ、なるほど。理解した」
俺の知る歴史では、彼女は回復と支援のエキスパートだった。
だが、今回の彼女は回復魔法と解毒魔法しか使えない。
これはどういうことなのか、俺の明晰な頭脳は瞬時に理解した。
『バタフライ効果』と言われる現象が、その答えだ。
これはどんな小さく些細な事柄でも、それを起因として様々な現象を引き起こし未来を大きく変える可能性があるという現象を差す。
恐らく俺が過去に回帰して正史とはかけ離れた行動を取ったことにより、ラブリの能力に影響を与えたのだろう。
元々の歴史ではラブリは能力不足が原因で、国から捨てられてしまった。
だが捨てられた後すぐに、聖女として覚醒したのだ。
回復魔法だけではなく支援魔法や防御魔法なども使えるオールマイティーな回復魔法師、唯一無二にして歴代最強の聖女になったのだ。
恐らく、今回の歴史では俺が回帰したことが原因となり、彼女は覚醒していないのだろう。
「そうだな……ラブリ、キミには隠された力が存在する」
「隠された……力?」
「あぁ、キミの中には才能が眠っているんだ」
「……そう言ってくれるのは嬉しいけれど、でも……」
「騙されたと思って、俺についてきて欲しい。同じ追放仲間として」
正史では、ラブリは魔物に襲われたことが原因で覚醒した。
今回の歴史でも魔物にラブリを襲わせれば覚醒する……とは限らない。
大きく歴史が変わった今、彼女の覚醒条件も変わった可能性がある。
つまり正史と同じことをしても、彼女が覚醒するとは限らないのだ。
だがしかし、わざわざ彼女を覚醒させる必要はない。
彼女は元とはいえ、聖女だ。つまり覚醒せずとも元々のポテンシャルは、その辺の回復魔法師とは比べ物にならないほどにある。
覚醒させずとも、彼女に新たな力を与えれば……十分大きな戦力になる。
「信じてくれ、俺を」
俺はラブリに手を差し伸べる。
そんな時だった──
「おいおい、随分とロマンチックじゃねェか!!」
「追放された女如きが、こんな場所でエモに浸ってんじゃねェよ!!」
「そうだ!! ブッ殺すぞ!!」
突如として割り込んできたのは、大男3人。
……デジャブだな。
「……またお前たちか」
「前までの俺たちと一緒にするんじゃねェぞ!!」
「そうだ!! 以前は筋肉にのみ注力したが、今の俺たちはあの時とは違う!!」
「魔法への耐性も鍛えたんだ!! いくらテメェが最上級魔法を使っても、俺たちには通用しねェぞ!!」
大男たちは、何故か臨戦態勢を取る。
1人は大剣を、1人がメイスを、1人が斧を。
それぞれ構えだす。
「……ハァ、一体なぜこうなるんだ」
「あ、アルガ……」
「心配するなラブリ。こんなヤツら、簡単に捻りつぶしてやるさ」
なんというか、くだらないな。
追放されたからといって、無下にしていいわけがない。
彼女の真の実力を見極められなかった、カイト達こそ咎められるべきだ。
それなのに……ラブリを責めて、この人非人どもめ。
「かかってこい、下郎ども」
「調子に乗ってんじゃねェぞ!!」
「そうだ!! 死ねェ!!」
「ブチ殺してやる!!」
俺は剣を抜かず、構えを取る。
今回は剣を使用しない『シンエイ流剣術』を披露してやろう。
「はぁ? なんだそれ!!」
「魔法師が武術の真似事してんじゃねェよ!!」
「貧弱なテメェの肉体で、俺たちに勝てるハズねェだろ!!」
「試してみろよ」
『シンエイ流剣術』は、あらゆる局面を想定した剣術だ。
無論、それは剣を装備していない時も想定している。
つまり、”剣術”とは着いているが、武術にも応用の効く万能の戦闘技術なのだ。
「死ねェえええええ!!」
まず初めに、大剣を装備した大男が駆けてきた。
……今さらだが、室内で剣を振り回すなよ。
「ふんッ!!」
「ガハッ……!!」
俺は大男の剣を避け、カウンターを食らわせる。
背中側で体当たりをする技、いわゆる鉄山靠だ。
鉄山靠を食らった大男は、壁まで吹き飛んでいって気絶した。
「お、おい……アイツ、背中で攻撃しやがったぜ……。あんな攻撃見たことねェよ……」
「それにあんなヒョロヒョロなのに、マッシルの兄貴を……一撃で倒しやがった!!」
恐れおののく、大男たち。
見た目で人を判断するな。
少なくとも今の俺は、お前たちよりもパワーが優れているぞ。
「……残り2人か」
「う、うわぁあああああ!!」
「お、おらぁあああああ!!」
一心不乱に武器を振り回してくる大男2人。
攻撃が愚直だし、乱れている。
「はぁ、やれやれ。味方がやられただけで取り乱すなんて、お前たちは本当にA級か?」
難なく2人の攻撃を躱す。
仕方ない、お灸を据えてやろう。
「ふんッ!!」
「ガハッ……!!」
「ふんッ!!」
「ガハッ……!!」
メイスを装備した大男には、手の平で攻撃する技『発勁』を。
斧を装備した大男には、肘で攻撃する技『肘撃』を。
それぞれ食らわせて、壁まで吹き飛ばす。
もちろん、両者とも失神した。
「え、えぇええええええええええ!! ま、マッスルバスターズが一撃でやられたぞ!!」
「おいおい、なんだよ!! あの武術!! あんなの見たことねェよ……!!」
「あんな細い身体のいったいどこに、『マッスルバスターズ』の巨体を吹き飛ばすパワーがあるんだよ!!」
「最上級魔法に加え、武術まで最高峰とか……アイツ、何者だ?」
やれやれ、外野も頭が悪いな。
奴らは所詮、無駄に筋肉を膨らませただけの無能だ。
パワーに特化しすぎた弊害で、技などの大事なモノを捨ててしまったんだ。
そんなこともわからないなんて、やはり冒険者はバカが多いな。
「あ、アンタ……いったい、何者なの?」
「俺と組めば、わかるぞ。一度だけでいいから、俺を信じてくれないか?」
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