追放賢者のやり直し ~『お前は弱い』と言われてパーティから追放された賢者は過去に戻り、これまでに培った知識を活かして世界最強になる~

志鷹 志紀

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19話 ついに、ついに、ついに、ようやく

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「で、どうしてテノールなんかを救ってあげるのかしら?」

 ラブリが泊っている宿に帰ってくるなり、ラブリがそう聞いてきた。
 まぁ、当然気になるよな。
 俺と同じくカイト達から追放されたラブリは、彼らと関わることを良しとしないだろうから。

「……わたしも、気になります」

「ちゃんと説明しなさいよね。事と次第によっちゃ……悪いけれど、このパーティを抜けるから」

「まぁ待て、俺の話を聞いてくれ」

 この話を聞けば、必ず彼女たちも理解してくれるだろう。

「結論から話すと、俺はカイトたちのインタビューで彼らの悪行を暴露しようと考えている」

「……悪行ですか?」

「なるほど、確かにカイト達は数々の悪行を積んでいるわ。賄賂や闇賭博、私のほかにも追放した人も大勢いるみたいだからね」

「……ですけれど、わたし達がそれを暴露したところで……誰が信じてくれるんですか?」

 確かに、ピリカの言うとおりだ。
 カイト達は人気が高く、対して俺たちは人気が低い。
 例え俺たちが正しいことを言ったとしても、世間は人気の低い連中の言うことなど信じないだろう。

「もちろん、俺たちだけが暴露するわけではないさ」

「……なるほど、アンタって……よくそんな悪いことを思いつくわね」

「……まさか、救出したテノールさんという方にも、告発させるんですか?」

「ご明察、だな」

 俺の作戦は、次の通りだ。
1.テノールを救出する
2.カイト達のインタビューに参加する
3.サプライズと評して、テノールを呼ぶ
4.テノールに、カイト達の悪行を暴露してもらう
5.俺たちも同調するかのように、暴露をする
6.カイト達の人気は下がる

 俺たちの話だけでは、世間は決して信じない。
 だが、カイトパーティのメンバーであるテノールの話ではどうだろうか?
 彼はカイトパーティの中でも知名度と人気、両方とも高い。
 少なくとも俺たちだけの暴露に比べると、圧倒的に信じてもらえるだろう。

「……よくそんな悪いことを考えつくわね」

「誉め言葉として受け取ろう。で、どうだ俺の作戦は」

「……最高ね!!」

 ニカッとラブリが笑う。
 彼女も俺と同様に、カイト達には並々ならぬ恨みを持っている。
 彼らをおとしめる作戦には、嬉々として参加してくれるようだ。

「わたしはカイトさんたちには恨みはありませんが……アルガさんが決行するのでしたら、異論はありません」

「助かるよ」

 ピリカの同意も得られた。
 これで俺の作戦に反発する人はいない。

「でも、それだと……テノールはどうやって貶めるの? 救出されて暴露しても、テノールには何の被害もないじゃない」

「いや、テノールは俺に救出された時点で、再起不能なほど被害は甚大なハズだ」

「……どういうことですか?」

 そうか、2人にはまだ語っていなかったな。
 俺とテノールの関係性を。

「俺とテノールは、魔法学院で同学年だったんだ」

「へぇ、そうだったのね」

「才能が近しい者同士、よく競い合っていたんだ。いわゆる、ライバルってヤツだな」

「アルガさんと才能が近いって……やっぱり魔法学院って、バケモノ揃いなんですね……」

 それだと、俺までバケモノ扱いだぞ。
 ……まぁ、それは良いとして。

「だが悔しいことに……テノールの方が才能が上だった。俺よりも若干だが、テノールの方が優れていたんだ」

「それは……つらいわね」

「成績はテノールの方が、いつも俺よりも少し上。実技の授業でも、テノールの方が優れた結果を残していた」

「アルガさんよりも優れているって……本物のバケモノですね」

 悔しいが、認めざるを得なかった。
 かつてのテノールは、俺の上位互換だったと。

「だからこそ、テノールは俺のことを見下していたんだ。自分よりも何もかもが劣っている、完全下位互換だとな」

「……最低ね」

「テノールはプライドが高い。そんなヤツだからこそ、俺が救ってやるんだ。プライドの高いヤツが、自分よりも劣った人間に救われたら、いったいどうなると思う?」

「……プライドが傷つきますね。最悪の場合……発狂してしまうかもしれません」

「あぁ、その通りだ」

 仮に発狂しても、俺の回復魔法で治癒してやるんだけどな。
 俺は回復魔法だけは、テノールよりも才能に優れていたから。

「つまりテノールはアンタが救出することでプライドを傷つけて、カイト達はインタビューで社会的に殺すってことよね?」

「あぁ、そういうことだな」

「性格の悪い作戦ですね。……嫌いではありませんが」

「誉め言葉として、受け取ろう」

 そうと決まれば、さっそく行動に移そう。
 
「それでは明日、テノールが囚われているという『ディシート迷宮』に挑もう」

「あ、明日ですか!? か、カイトさん達って……性格はともかく、実力だけは確かなんですよね? そんな急に挑んで……攻略できるんですか?」

「できるんじゃない? 少なくともピリカ、アンタの実力はカイトを大きく上回っているわよ?」

「ほ、本当ですか……?」

 ラブリの言うとおり、ピリカの実力はカイトを大きく上回る。
 ラブリ自身の実力も、回復魔法師としては極めて高い。
 俺も魔法師としては全世界で最高峰、剣士としても上の下程度の実力はある。
 つまり……カイト達が攻略できなかったからといって、俺たちが攻略できない道理はない。

「で、でも……いったいどうやって、テノールさんが捕らえられている迷宮に辿り着くんですか? 確か迷宮って、冒険者パーティごとに内装を変化させるんですよね?」

「カイト達から譲り受けた、この帰還石を持っていれば問題ない。帰還石を所持した状態であれば、依然挑んだ迷宮と同じ迷宮に挑めるんだ」

「つまり、この帰還石を所持していれば、テノールが捕らえられている迷宮に挑めるってわけよ」

 ピリカは田舎出身だから、こういった詳しい事情は知らないのだろう。
 今度教育を実施する必要があるな。

「それでは明日、ディシート迷宮前で待っているぞ」

「えぇ、楽しみにしているわ!!」

「が、頑張ります!!」

 俺たちは明日に備えて、本日は解散した。
 
 ……ついに、ついに、ついに、ようやくだ。
 ようやく、カイト達への復讐を実行できる。
 俺の最終目標はカイト達よりも早くフォルテ迷宮を攻略することだが、カイト達を貶めることも目標の1つである。
 その目標がついに……達成できるのだ。

 今回貶めるカイト達は、俺を追放したカイト達とは違うカイト達だ。
 だが、それで構わない。カイトが苦しむのであれば、違うカイト達でも構わない。
 俺が満足できるのだから、それで構わないのだ。
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