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16話:次元の穴
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異世界生活九日目(続)
信じられないほど巨大なヤドカリさんが、目の前に現れた。カニペディアの反応によれば――この方が「海の王」らしい。
「ん? あれ~? 俺、海の中にいたはずなのに……ここどこ?」
とても“海の王様”とは思えない、軽い感じの念話が頭に響く。
「うおっ!? 女子高生!? なんで!?
えっ、もしかして俺、元の世界に戻ってきた? ……いや、待て、俺デカい。とんでもなくデカい。
このサイズだったら日本なら警察が飛んでくるはず……ってことは、ここはクルストフィアのままで、女子高生が異世界に来たってことか~。なるほどなるほど」
勝手に納得してる……なんだろうこの、不思議な安心感。
「あ、あの……私は磯野恵といいます。海の王様、蟹江勝さん、ですよね?」
「おお、名前で呼ばれるのってなんか新鮮だな~。
ヤドカリたちから“王様”って呼ばれてるけど、まあ合ってるよ。それで、君が俺を呼んだのかな?」
「はい、多分……。物知りの王様に会いたいって願ったら、急に光に包まれて、気づいたら目の前に……」
「なるほど~。君、カニにならない代わりに不思議な能力を手に入れたんだね」
「カニになるって……どういうことですか?」
「ん? ああ、異世界に来た人間は、基本的にカニになっちゃうんだよ。俺ともう一人、徹君しか例がないけどね。
ちなみに君、日本人でしょ? 異世界人って、だいたい同じ世界から来てるっぽいんだよね」
「はい、日本から突然この世界に来てしまって……それで、帰る方法を探してるんです」
「そっか~。俺も徹君も、元の世界では死んでるから未練はないけど……突然来たなら帰りたくなるよね」
勝さんは、しばらく考えるように静かになり――
「……ちょうどいいタイミングだな。ここ、西大陸だろ? だったら、“次元の穴”に行こう」
「次元の穴……?」
「この世界が魔力に満ちていたり、転移者や転生者が来る原因みたいなもの。
大陸の中央、誰も近づかない土地にあるんだ。そこからなら、帰れる“可能性”がある。
俺はデカすぎて入れないけどね! ハハハ!」
「そ、それってやっぱり……危ない場所なんですか?」
「うーん、魔力が濃すぎて、普通の生き物は……まあ、死ぬよね。
でも君は大丈夫そうだよ。雰囲気でわかる」
「えっ、じゃあ……そちらの光ってる殻に乗って行くんですか?」
「そうそう。これは元々、超古代人が使ってた乗り物でね。どっかから入れるはず。中は広いから快適だよ」
「その……仲間のカニさんたちも、一緒に連れて行ってもいいですか?」
「カニと会話できるの? あ、そうか。君、俺とも自然に話せてるもんな~」
「はい。この能力のおかげで、今日まで元気に暮らしてこれました」
「そっかそっか、いいことだ。ハハハ。
まあ、あんまり大量に乗せるのは無理だけど、何匹かなら問題ないよ」
「ありがとうございます! ちょっと、みんなを呼んできます!」
しばらくして、仲間たちが集まってきた。
「こ、これが海の王ですぞ……デカすぎますな……。拙者もこのサイズなら、怖いものなしですな」
「まさかメグミが、王を呼び出すとは……たまげたのう」
「甲羅が震えます……とてつもない迫力です」
「……私、帰るために勝さんに“次元の穴”へ連れて行ってもらおうと思うの。
だから、みんなと一緒に行けたらって」
「僕は、どこへでもついていくよ!」
「メグミといっしょにいくー!」
ミコちゃんとコメちゃんズは、即答だった。
「わしも“次元の穴”には興味があるのう……」
「拙者は、ここでメグミ殿とお別れしますぞ。うしろこうらを引かれたくないので。この巣穴は、オカガニ殿たちとともに、ずっと守ってまいりますぞ!」
「……ベンケイガニさん……ありがとう」
「いや、勝手に留守番にするなよ。まあ、ミコちゃんとガザ爺が行くなら、俺たちはここでいいか」
職人カニさんたちも、残ることを選んだようだ。
「我らは陸に上がれぬからな。服作り、楽しかったぞ、メグミ」
「まだたくさん、着てほしい服がアリマシタガ……仕方アリマセンネ」
モクズショイさんとオオカイカムリさんも、笑顔で見送ってくれる。
「みんな、今まで本当にありがとう! 帰っても、絶対に忘れないから!」
「私たちの方こそ、メグミさんのこと、ずっと忘れません」
「それじゃ、そろそろ出発でいいかな?」
勝さんに促され、私たちは光る殻のもとへ。
壁がスライドして、入口が現れた。まるでSF映画みたい……すごい。
わたしたちは、超古代の殻に乗り込み、次元の穴へと旅立った。
信じられないほど巨大なヤドカリさんが、目の前に現れた。カニペディアの反応によれば――この方が「海の王」らしい。
「ん? あれ~? 俺、海の中にいたはずなのに……ここどこ?」
とても“海の王様”とは思えない、軽い感じの念話が頭に響く。
「うおっ!? 女子高生!? なんで!?
えっ、もしかして俺、元の世界に戻ってきた? ……いや、待て、俺デカい。とんでもなくデカい。
このサイズだったら日本なら警察が飛んでくるはず……ってことは、ここはクルストフィアのままで、女子高生が異世界に来たってことか~。なるほどなるほど」
勝手に納得してる……なんだろうこの、不思議な安心感。
「あ、あの……私は磯野恵といいます。海の王様、蟹江勝さん、ですよね?」
「おお、名前で呼ばれるのってなんか新鮮だな~。
ヤドカリたちから“王様”って呼ばれてるけど、まあ合ってるよ。それで、君が俺を呼んだのかな?」
「はい、多分……。物知りの王様に会いたいって願ったら、急に光に包まれて、気づいたら目の前に……」
「なるほど~。君、カニにならない代わりに不思議な能力を手に入れたんだね」
「カニになるって……どういうことですか?」
「ん? ああ、異世界に来た人間は、基本的にカニになっちゃうんだよ。俺ともう一人、徹君しか例がないけどね。
ちなみに君、日本人でしょ? 異世界人って、だいたい同じ世界から来てるっぽいんだよね」
「はい、日本から突然この世界に来てしまって……それで、帰る方法を探してるんです」
「そっか~。俺も徹君も、元の世界では死んでるから未練はないけど……突然来たなら帰りたくなるよね」
勝さんは、しばらく考えるように静かになり――
「……ちょうどいいタイミングだな。ここ、西大陸だろ? だったら、“次元の穴”に行こう」
「次元の穴……?」
「この世界が魔力に満ちていたり、転移者や転生者が来る原因みたいなもの。
大陸の中央、誰も近づかない土地にあるんだ。そこからなら、帰れる“可能性”がある。
俺はデカすぎて入れないけどね! ハハハ!」
「そ、それってやっぱり……危ない場所なんですか?」
「うーん、魔力が濃すぎて、普通の生き物は……まあ、死ぬよね。
でも君は大丈夫そうだよ。雰囲気でわかる」
「えっ、じゃあ……そちらの光ってる殻に乗って行くんですか?」
「そうそう。これは元々、超古代人が使ってた乗り物でね。どっかから入れるはず。中は広いから快適だよ」
「その……仲間のカニさんたちも、一緒に連れて行ってもいいですか?」
「カニと会話できるの? あ、そうか。君、俺とも自然に話せてるもんな~」
「はい。この能力のおかげで、今日まで元気に暮らしてこれました」
「そっかそっか、いいことだ。ハハハ。
まあ、あんまり大量に乗せるのは無理だけど、何匹かなら問題ないよ」
「ありがとうございます! ちょっと、みんなを呼んできます!」
しばらくして、仲間たちが集まってきた。
「こ、これが海の王ですぞ……デカすぎますな……。拙者もこのサイズなら、怖いものなしですな」
「まさかメグミが、王を呼び出すとは……たまげたのう」
「甲羅が震えます……とてつもない迫力です」
「……私、帰るために勝さんに“次元の穴”へ連れて行ってもらおうと思うの。
だから、みんなと一緒に行けたらって」
「僕は、どこへでもついていくよ!」
「メグミといっしょにいくー!」
ミコちゃんとコメちゃんズは、即答だった。
「わしも“次元の穴”には興味があるのう……」
「拙者は、ここでメグミ殿とお別れしますぞ。うしろこうらを引かれたくないので。この巣穴は、オカガニ殿たちとともに、ずっと守ってまいりますぞ!」
「……ベンケイガニさん……ありがとう」
「いや、勝手に留守番にするなよ。まあ、ミコちゃんとガザ爺が行くなら、俺たちはここでいいか」
職人カニさんたちも、残ることを選んだようだ。
「我らは陸に上がれぬからな。服作り、楽しかったぞ、メグミ」
「まだたくさん、着てほしい服がアリマシタガ……仕方アリマセンネ」
モクズショイさんとオオカイカムリさんも、笑顔で見送ってくれる。
「みんな、今まで本当にありがとう! 帰っても、絶対に忘れないから!」
「私たちの方こそ、メグミさんのこと、ずっと忘れません」
「それじゃ、そろそろ出発でいいかな?」
勝さんに促され、私たちは光る殻のもとへ。
壁がスライドして、入口が現れた。まるでSF映画みたい……すごい。
わたしたちは、超古代の殻に乗り込み、次元の穴へと旅立った。
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