浜辺のスローライフ~カニさんたちとの異世界生活日誌~

かにすごくうまい

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19話:スナホリガニ

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異世界生活十日目(続)



みんなの熱烈な歓迎が終わり、少し落ち着いてきた頃。



「それじゃあ恵ちゃん、俺は東方に帰るから。また何かあったら呼んでね」



「勝さん、帰っちゃうんですか?」



「この海域は徹君の担当だからね。長居すると怒られちゃうんだよ。それに、東方のヤドカリたちの家がまだ作りかけだから、ちゃんと仕上げてあげないといけないし」



「それにね、恵ちゃんの住処は俺にはちょっと小さすぎる!背景の岩山にはなりたくないからさ!」



たしかに……と思ってしまった。



「同郷のよしみで熱く語りたいんだけどね、どうにもジェネレーションギャップってやつがある気がするんだよ!」



そう言いながら、勝さんは巨大なハサミを振りつつ、ズンズンと海へ入っていった。



「勝さん、ありがとうございましたー!」



わたしは、ありったけの感謝をこめて念話を送った。



「王が帰ってしまいましたなあ」



「ケイちゃん、これからは私たちで、ここを立派な住処にしていかないとね!」



「というわけで、ミコちゃん。オカちゃんとヤマトくんを呼んできて!海水プールを作るよ!」



「はーい!すぐ呼んでくるね!」



ミコちゃんが、ちょこちょこと走っていく。



「メグミ殿、なぜ海水プールを?」



「モクさんとカムリさん、今は海からわざわざ来てくれてるでしょ?大変そうだから、長期滞在できる場所を作ろうと思って」



「なるほど。モクさんたちは、これからもメグミ殿の服作りに精を出したいそうですし、それは喜ばれるでしょうなあ」



「うん。だから、ケイちゃんも工事、頑張ってね!」



「拙者は……たいして役に立ちませんぞ!」



「なーに言ってんだお前は!土木チームだろうが!」



オカちゃんが現れて、ケイちゃんを有無を言わさず連れていった。



「それでメグミ、海水プールの仕上がり具合はどんなイメージなんだ?」



ヤマトくんの質問に、わたしは床にガリガリと絵を描いて説明する。



「真水の水路と混ざらないように、反対側に設置してほしいの」



「なるほど……モクさんたちの数を考えると、かなり大規模になりそうだな。しばらくかかるかもしれないぞ」



「うん、時間は気にしなくていいから、無理せず作ってね」



ーーー



しばらくして。



「メグミ、大変だ!砂が掘りにくい!助っ人が必要だ!」



「ええ!?オカちゃん、その言い方だと……あてがあるの?」



「ある!だからメグミに、そいつに会ってもらいたい!」



「わかった、すぐ行くよ!」



肩にミコちゃんを乗せ、オカちゃんに付いていくと、そこには奇妙な姿の生き物がいた。



【スナホリガニ】

・スナホリガニ科。体長3cmほど。エビとカニの中間のような姿をしたカニの仲間(異尾下目)。

・海岸の砂浜、波打ち際に生息。後ろ向きに素早く砂に潜り、波に乗ってくるプランクトンを食べる。

・食用可。唐揚げや塩茹でにすると、香ばしくスナック感覚で食べられる。



あ、久しぶりのカニペディアだ。なるほど、エビとカニの中間みたいな姿だから、一目ではカニってわからなかったんだ。



……でも、スナック感覚では食べないからね!どんなにオススメされても絶対に食べないからね!



「君が砂を掘りたいって言ってるのかい?」



「あ、はい。浜辺を掘って、海水プールを作ろうと思ってて」



「ふうん、僕らに興味を持つなんて珍しいね。空の鳥のエサくらいの価値しかないのに」



「そんなことないですよ!オカちゃんから、砂掘りがとても上手って聞きました!」



「まあ……砂に潜れないと、僕らすぐ食べられちゃうからね。それくらいはできるさ」



「それで、お願いなんですが――お手伝いしていただけませんか?」



「……君たちと一緒にいれば、鳥に食べられる心配はなさそうだし。いいよ」



「ありがとう!私はメグミ!じゃあ君はホリくんね!」



「え!?名前? 本当に君は変わってるね、フフフ」



こうして、わたしたちは――砂堀の名手、スナホリガニのホリくんを仲間に加えた。

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