浜辺のスローライフ~カニさんたちとの異世界生活日誌~

かにすごくうまい

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28話:洗剤が欲しい!2

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異世界生活十八日目(続)



私たちは、「泡の出る実」がなる高地を目指して森を進んでいた。



サワキさんの案内で、沢まではスムーズにたどり着けた。



「サワキさん、この先どれくらいで高地に着くの?」



「そうだな。日が沈んで、また昇る頃には着くと思うぞ」



「おお! じゃあ泊まりがけだね!」



「勝さんに乗ってた時は、森を一気に突っ切ったからな~。じっくり行くのは初めてだね」



「メグミ殿、なぜそんなに楽しそうなんですぞ……。絶対、危ないですぞ」



「俺は楽しいっすよー! 高地は初めてっすから、ワクワクするっすー!」



「ケイちゃん、行ったことない場所に行くって、ワクワクするもんなんだよ」



「拙者には理解しかねますぞ」



「見たことない土とか、あるかもな~!」



「……オカちゃんまでワクワク組でしたぞ」



森を進む私たちは、順調そのものだった……が。



――ギチギチギチ。



「メグミ殿、なんかヤバそうな音がしますぞ……!」



「うん……確かに変な音が――」



――ブゥゥン。



私たちの目の前に、ありえないほど大きなスズメバチが現れた。



「しまった、この道に巣ができていたのか……!」



サワキさんも驚いている。予想外だったらしい。



「で、でもまだ近くを飛んでるだけだから、そーっと通り過ぎれば……」



「いや、どう見てもこっち睨んでますぞ」



「ああ……ずっと威嚇されてたのに、気づかずに縄張りに踏み込んじまったんだ」



「メ、メグミ殿、拙者の後ろに!」



「えっ、ケイちゃん、大丈夫なの?」



「大丈夫ではありませんが、メグミ殿が刺されるよりはマシですぞ! 拙者のほうが多少は頑丈ですから!」



ケイちゃん……私は言われた通り、ケイちゃんの大きな甲殻の後ろに隠れた。



――ギチギチギチ……ブゥン!



様子をうかがっていた巨大スズメバチが、ついにこちらへ飛びかかってきた。



それと同時に、巣の奥からさらに複数の巨大スズメバチが現れ、コメちゃんズにも迫ってくる。



――ガキィン!



ケイちゃんがその巨大な針を甲殻で受け止めた。



「隙ありっす! どっせーい!」



ヤッシーが、弾かれたスズメバチを渾身の力で殴り飛ばす。



スズメバチは、悲鳴のような羽音を上げて森の奥へすっ飛んでいった。



「ケイちゃん、大丈夫?」



「なんとか……針には耐えましたぞ……。死ぬかと思いましたぞ……」



「大げさっすよ~。あいつらの細い針じゃ、俺たちの甲殻は貫通できないっすよ~」



あ、でもコメちゃんズは――?



様子を見ると、真っ赤に熱したハサミを掲げてスズメバチを追い払っていた。



「メグミ! 今のうちに縄張りを抜けるよ!」



ミコちゃんの号令で、オカちゃんたちが私を抱えて森の中を一気に駆け抜ける。



しばらく走ると、森の音が静かになってきた。



どうやらスズメバチの縄張りを抜けたようだ。



「……みんな、はぐれてないよね?」



「だいじょうぶー」



「みんないるよー」



コメちゃんズも無事、全員揃っているようだった。



「……やっぱり、森は危険ですぞ……」



「すまなかった。俺の調査不足だ」



「サワキさんのせいじゃないよ。自然なんだもん、何が起こるか分からないのが当たり前だよ」



「いや……これからは、もっと森の調査にも力を入れるよ。どこで何が必要になるか分からないからな」



サワキさんは、やっぱりまじめだ。



「じゃあ、そろそろ日も傾いてきたし……。臨時の巣穴を掘るぜ!」



オカちゃんたちが、ものすごいスピードで穴を掘り始める。



――いつ見ても、早すぎる。



「あくまで急ごしらえだけど、これなら一晩くらいは安心だ!」



「ありがとう、オカちゃん」



こうして、仮の拠点で過ごす高地への道、一日目の夜がやってきた。
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