浜辺のスローライフ~カニさんたちとの異世界生活日誌~

かにすごくうまい

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42話:出汁が取りたい!

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異世界生活三十二日目



「メグミ、起きて!大変だよ!」



「なーに、ミコちゃん……あとちょっと……」



「ワタルくんとナイトくんがケンカしてるの!」



「ええっ!?すぐに止めなきゃ!」



住処から飛び出すと、入り口でワタルくんとナイトくんが睨み合っていた。



「二匹ともどうしたの?ミコちゃんが心配して、私を起こしに来たんだよ?」



「あ、メグミさん、起こしてしまいましたか。いえ、この新入りが我々の守備体制にケチをつけてきまして」



「メグミ様。このワタリガニたちは規律がなっていません。住処の入り口に見張りが立っていない時間があったのです。主の安全を守る体制とは言えません」



「ぐぬぬ……我々はこれまで、メグミさんを一度も危機に陥れたことはないぞ!それを後から来たやつがごちゃごちゃと!」



「はい、ストップ!仲良くして!」



私は二匹の間に立つ。



「ワタルくん、今までみんなを守ってくれてありがとう。でも、ナイトくんはそのやり方では不十分かもしれないって思ってるんだよね?」



「その通りです。今までは運が良かっただけ。実際、我々が攻め込んだとき、撤退以外の選択肢がなかったはずです」



「ぐぬぬぬ……それは、確かにそうだが……」



「今は味方も増えたし、ナイトくんはブルークラブたちの指揮も得意でしょ?だから、気になるところはナイトくんに任せて、ワタルくんたちはこれまで通り自分のやり方で見守っててくれたらいいと思うんだ」



「了解しました、メグミ様」



「うう……メグミさん、お手数をおかけしました……」



「じゃあ、朝ごはんにしよう!昨日採ってきたキノコでスープを作るね!」



「おおっ!そういえば忘れていました!」



「今日の料理の気配を察知してやってきましたぞ!」



「キノコって美味しいんすかねー?」



「私の記憶が正しければ、すっごく美味しいはず!」



「それは楽しみじゃのう」



「……料理とは、なんです?」



「ナイトくんは新入りだから知らないっすね~。メグミが作るごはんは、いろんな手順を踏んでから食べるっすよ。それが料理っす!」



「なるほど。儀式的な何かでしょうか?」



「うーん、ちょっと違うけど、料理することで素材そのままより美味しくなるんだよ!」



私は陶器に水を入れ、切ったシイタケを入れて煮る。



グツグツ……



途中で塩ありと塩なしに分けて、それぞれに薄切りのマツタケを浮かべて、ひと煮立ちさせたら完成!



マツタケのお吸い物!



マツタケなんて食べたことないけど、すごくいい匂い!



「では、いただきます!」



ひと口飲んでみる。



「うん、うーん?マツタケの香りはいいけど、シイタケの出汁がいまいち出てないような……」



「え?十分おいしいですよ、メグミさん」



「キノコにこんな食べ方があるとは……感動ですぞ!」



「悪くはないんだけど、私が知ってるお吸い物はもっとこう、じんわり美味しいんだよね……」



「何かが足りんかったんかのう?」



「うーん……そうだ!出汁の種類が足りないんだ!」



「キノコだけでは、うま味が弱いということですな?」



「うん。私の故郷では『昆布』っていう海藻と、『カツオ』っていう銀色で堅い魚から出汁をとってたんだ。でもカツオはここにいるかわからないから、よく見る鯖でも代用できると思う」



「じゃあ、昆布とカツオのイメージをみんなで共有しようね!」



「え、ミコちゃん、そんなことできるの!?」



「そういえばハンガーの時もしてたような……」



「ふーむ……これがカツオ。昔見たことがあるような気がするのう」



「昆布はこちらでしょうか。青の一族の住処の近くにあった気がします」



「ほんとに共有できてる……」



「よし!じゃあまずはナイトくんに案内してもらって、昆布を取りに行こう!」



「ええ。住処のみんなにもメグミ様の姿をお見せしたいですしね」



こうして、私たちはブルークラブさんたちの住処へと向かうことにした。
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